380「吊り橋、ゆらゆら、きゃーっ!」(8月2,3日(火、水))曇り、晴れ

寸又峡に行ってみようと考えたのは、大井川鉄道の紹介本の中に、湖の中に浮かぶ橋の写真をみつけて何となくロマンを感じたからだ。さらに、寸又峡は大井鉄道を千頭でおりること、大井鉄道はその先井川というところまで延びている事が分かり、是非乗ってみたいと考えるようになった。
静岡で新幹線から普通に乗り換えると、途端にのんびり気分。大井川を越えて金谷。
大井川は江戸時代幕府の政策により渡河の手段は人足に限られた。渡し地点の幅は1300m、深さは通常70cm程度で、肩車か蓮台にのって渡った。明治元年に橋がかけられた。

ここから大井川鉄道。
この鉄道はSLで有名だが、SLは1日2本より出ていない。
20-30分待ってのることもできたが、心がはやり、先を急いだ。3両編成のふるぼけた列車、客もまばらでのんびりとした旅。
SLに乗ると車内で汽車弁当というのが売られるらしい。しかし売店では売っていないのでかわりに竹の籠に入った大井川ふるさと弁当を買った。おむすび二つとやまめとしいたけの煮物などをぎゅうぎゅうにつめこんだ弁当だが素朴でなかなかうまい。
茶畑が時々広がる長閑な風景を楽しんでいると、いつのまにかうとうと、気がついたら千頭駅についていた。40分くらいかけてそこからバスで寸又峡温泉。寸又峡は大井川の支流でその渓谷を言うが秋の紅葉で格段に有名とか。
ホテルは奥大井観光ホテル翠紅苑。大正レトロ調で立派な露天風呂もあり悪くはないが、ほかにも十数件あり、ここでなければと言うほどではないかも知れぬ。

2時過ぎについたので、ホテルが事前に送ってくれた「あるっくMAP」にもとづき、プロムナードコースを散策。このコースのポイントは寸又峡観光の目玉である「夢の吊り橋」。長さ90m、高さ8m、チンダル現象でコバルトブルーに見える大間川の入口に、綾取りで作った橋のようにゆらゆらとぶら下がっている。橋の真ん中に二枚の板が敷かれ、人々はその上を肝をひやしながら渡るという寸法。下を見ると恐さが増すから、前だけ見て歩くようにする。対岸は300段余りの急な石段、結構息があがる。コースは上に出た後、さら上流のコンクリート製の飛龍橋を渡ってもどる。飛龍橋はかって森林鉄道のトロッコが材木を満載して走っていた。杉林が美しく、鹿や狸などもでるらしく自然の豊かさを感じる。プロムナードは1時間半のコース、温泉客の散策コースとして適当だが、それでももう10年もすればあの石段は登れまいと思う。

翌日、バスで奥泉に出て井川に向かう。千頭駅から井川にいたる井川線は大井川水系にダムを作るための資材を運搬するために中部電力等が作った鉄道。井川ダムが完成してその役割を終え、昭和34年より、井川線として営業を開始した。文字通り大井川に沿って、山の中腹を縫うようにして進む。わずか22.5キロの間にトンネルが50以上もあるとか。
アプトいちしろ駅と長島ダムの間は1000分の90という日本一の急勾配をアプト式機関車で登る。機関車に取り付けられた歯車車輪と、レールの中央に取り付けられたラックレールと呼ばれる歯車レールががっちりかみ合いながら進んでゆく。
あの写真のレインボーブリッジと奥大井湖上駅を通過、どうと言うことはなかったが、ほかにも南アルプスの渓谷に立てられた関の沢鉄橋、長島ダム、奥泉ダムなど見所は多く楽しめる。眼下に広がる杉の林の急斜面に肝を冷やしながら、最後に中空重力式の井川ダムとその向こうに広がる井川湖のある井川である。

電力館を見学し、ダムの迫力に喜び、駅前のおせじにもきれいとはいえぬが田舎っぽい味のある「やまびこ」で昼食をとった後、帰路は日に2,3本しかない静岡行きのバスを使う。2時間半、やがてバスは大井川より一つ東京よりの安倍川にそって進むようになり静岡に到着した。秘境ムードを楽しむにはなかなかのコースと感じた。

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