新宿歌舞伎町広場。氷細工の展示会が行われるらしいがここはやっぱり映画館。
今夏のヒットは、家族向けに「皇帝ペンギン」「マダカスカル」、若者むけに「亡国のイージス」「電車男」カップルに「恋人は神父」「奥様は魔女?」あたりか。
16年生まれの私は、そんな映画に背をむけて、地下の薄暗い映画館に降りてゆく。シニアーで1000円の切符を一番に買い、「文芸春秋」を読み出す。時間近くになって後ろを見る。私より年上ばかりで3分のいり。
「同窓会」(監督向井寛)・・・・ぐっと地味に見える。
昭和17年、「旧制高等学校七高」ナインは夢中で白球を追っていた・・・・。しかし「アカガミ」が、それぞれの青春に終止符を打っていった。
戦後60年近く、彼らの人生にはそれぞれのドラマがあった。生き延びた彼らは、今、時々当時のキャッチャー勝洋(愛川欽也)の妹初恵(池内淳子)が女将を務める料亭「みらく」に集まって気勢をあげていた。
彼らのメンバーの一人で投手をやっていた俊作(加藤剛)は初恵と相思相愛の中だった。特攻隊員となったが、散って行った親友に対する罪悪感から戦後はペルーにわたり音信不通となっていた。その彼が不意に日本に戻ってきた。
物語は彼が、今は特擁施設に入っている勝洋を訪ねるところから始まる。勝洋は今は松葉杖とオシメのやっかいになっているが元気ではある。旧交を温めあった二人だが、俊作は「同窓会をしよう」という勝洋の誘いを断り、一人汽車に乗り込む。しかし勝洋は突然俊作の前に現れ「い、行こう。一緒に行っもんそ」勝洋は俊作の覚悟を見抜いていた。こうして二人の珍道中が始まる。
しかし、そのころ「みらく」では勝洋がいなくなった、と初恵、幼女の香代子、七高野球部の同窓生たちが騒ぎ出し、追跡を始める。
俊作と勝洋は鉄道員だった親の介護に専念する伊集院(コロッケ)、月光写真家・正子など様々な人々と出会い、生きる喜び、生命の尊さを感じる・・・・。
老人向けホームドラマである。
地元が協力したらしく、南九州の観光スポットが次々に紹介される。桜島、天文館通り、タンチョウヅルの出水、霧島温泉、黒川温泉、阿蘇、南九州新幹線等々。ただ特攻隊記念館のある知覧は出てこなかった。最後は鴨池球場で、もう80に近い五高(現熊本大学)と七高(現鹿児島大学)ナインが野球をする徹底ぶり。この3月に南九州をドライブした私としてはなかなかに懐かしかった。鴨池球場は県庁のすぐ近くの鴨池公園にあり、石壁に西郷隆盛を攻めて官軍が放った銃弾の後があったと記憶している。
難を言えば、全体の構成は季節の統一が感じられず、事件の起こり方も無理が感じられる。そのため、盛り上がりには欠けるように思う。南九州の人の温かさと言ったものが感じられればそれでよしとするか。
家に戻り、ウエブサイトを検索してみると、だれそれ君が出演した、と言った類の、映画に参加した人たちのホームページが次々に現れた。ふと演歌では「ご当地ソング」というのがあるけれども、ご当地映画というのもありか、などと考えた。
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