衆議院選挙が面白くて、夜中までテレビに釘付けだった。
結果は自民党の地すべり的大勝利。
本来郵政法案に反対したいわゆる造反組を公認せず、刺客まで送り込んだのだから、その間隙をぬって民主党が伸びるはずだった。ところが両者の争いに埋没した。岐阜1区、4区、静岡7区、広島6区等刺客と造反組が死闘を演じ、民主党は3位に甘んじるというのだから救いようがない。
小泉首相は予想以上の勝利と言ったが、これに小選挙区制が追い討ちをかけた結果だと思う。選挙区では1位になれば勝ち、それにどんなに近くとも2位なら負け、東京などすべての区で自民党が勝ってしまった。おかげで比例代表の名簿に書いておいた30人全員が当選(比例7人、小選挙区23人)それでも足らずに議席をひとつ社民党に差し上げる、という椿事になってしまった。
「ひからびたチーズ」の話がある。
森元首相が解散総選挙をやめさせようと、雨の中を出向き、二人でビールを開け、「干からびたチーズ」をかじりながら、長時間にわたり説得したが、首相は拒否した、というのである。森氏が会談後「彼は変人以上だ。」と言ったとか・・・・。今から思うとこのとき森氏は、こんなに造反者を出して戦えば、民主党は漁夫の利を得る、ひょっとしたら自民党は下野することになるかも知れぬ、と考えたのではないか。しかし首相は郵政法案に反対か賛成か、改革は続けるべきか否か、で国民に問いかければ支持を得られる、少々減っても自公で過半数は取れるのではないか、くらいに考え、拒否したのだろう。あれだけ渋い顔だった森氏の当選確定後の笑顔のさわやかなこと・・・・。
自民党は296議席、あらゆる委員会に議長を送り込んだ上で過半数を維持できる絶対多数を大きく越えた上、公明党と合わせれば3分の2以上、たとえ再提出する郵政法案のような難しい法案が参議院で拒否されても、もう一度衆議院で3分の2の賛成を得て、成立させる事ができる、というのである。
民主党は争点を見出せなかった、いうのが今回の選挙の特色ではなかったか。
外国人記者の見方がどこかに載っていた。8月15日に小泉首相は靖国神社参拝をしなかったが、これで自民党勝利と読んだのだそうだ。なぜなら経済は、最近の株高などに見られるように、比較的うまく行っている、外交で問題ないと考えれば、国民は現状を肯定するのが通例だそうだ。「ほかにやることがある。」と年金問題や少子化問題などを持ち出してみても、議論がかみ合わぬだけで相手にされない。
元はといえば考えている事が同じことだからだ。本来だったら、改革を旗印に掲げる以上、郵政民営化は民主党が打ち出すべきテーマだった。ところが「反小泉ムードが高まっている。解散総選挙になればわが党が政権を取れるかもしれない。そのために造反派と組んででも反対し、解散に追い込もう。」と考えたように見える。しかし「民主党は何を考えているかわからない。」と皮肉られ、結果は見事な思わくはずれ・・・・。
最後に私個人としては、今回の結果を予想通り、日本にとってはこれでよかった、と思う反面、勝ちすぎだ、とちょっと恐ろしく感じる。
今後、憲法改正問題や消費税率引き上げ問題が課題となるかもしれない。外交問題も重要な課題だろう。しかし今回は首相の思わくどおり「郵政民営化」のみで争われた。これは明確に支持されたが、その他の議論はぬけおちた。そのため、国民が問題を統べて現内閣に白紙委任したわけではないようにも見える。首相は驕らずに議論を十分に尽くした上で改革にまい進してもらいたい、と願う。
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