393「平和なときの疎開体験」(9月29、30日(木、金)晴れ)

魚沼市は、昨年11月に、新潟県北魚沼郡に位置する堀之内町、小出町、湯之谷村、広神村、守門村、入広瀬村の6町村が合併して出来た。東京都の43%ほどの広さを持ちながら、人口わずかに45000人、市の90%が山地という「田舎」である。
全国震災対策連絡協議会を主体として、阪神大震災のような災害が起こった場合の避難先を確保する運動がおこなわれている。その避難先の一つにこの魚沼市の入広瀬村が名乗りを上げている。
都会の人間も避難先との交流を深めておこうと、妙正寺公園ラジオ体操会は、毎年秋におこなわれる親善旅行の一つに、「疎開実践体験交流ツアー」を組み入れた。参加者はラジオ体操会世話人、関係者、出席者など31人。

魚沼市の名物といえばやっぱり魚沼産コシヒカリ。バスの中でこのコシヒカリでできた握り飯を食う。ふっくらとして少し甘みが感じられ実にうまい。
関越をひた走り、関越トンネルを越え、小出のインターをおり、そこから40分ほどで国民宿舎浅草山荘に到着。裏道を通ったが、普通は小出IC、252号、只見線の大白川駅前を左折して登ってゆくらしい。県南部浅草岳1585mのふもとに位置し、近くに破間川と多目的で作られた破間川ダムがある。近代的な建物ではあるが、山のうえ、人里離れ、テレビもBS放送以外届かぬ。

おいしいそばの昼食を取ったあと、バスを使って山菜会館、JAみのり館、ハーブ香園、野山の草資料館などを見学。JAみのり館ではみな今年取れたコシヒカリを注文している。
「米は生き物でなるべく早く召し上がってください、長く保存するときは呼吸できるように紙の袋に移し変えてください、できれば薪、そうでなければガス炊きがうまい」などと地元の浅井さんが丁寧に教えてくれる。
しかし気候、過疎化問題などこの土地特有の問題が見え隠れする。「ハーブ香園」では「なにしろここは日本一の豪雪地帯、少なくはなったがそれでも冬には5メートルの雪が積もる。そのたびに薬草が全滅してしまう。」国の補助金を使って建てたらしい立派な「野山の草資料館」も女性が一人のみ。片隅にあったマネキンのおっぱいを触ったら「そこは準備中でごらんになれません。」と飛んできて、あわてて柵を立てられた。

浅草山荘の湯は、純粋の源泉掛け流し温泉。源泉は41度というからぬるい。入ると硫黄のニオイがぷんとするナトリウム泉のようだ。窓の外の景色は今は緑ばかりだが、紅葉の時は素晴らしいという。
夜は、市長以下9人も出席して盛大に歓迎パーテイ。きのこづくしの料理がなかなかおいしく、会話もはずみ、人の温かさを感じる。入広瀬は「さんさい共和国」の宣言もしているとのこと。地酒がうまく、そのうち会長のカラオケなども飛び出し宴は盛り上がった。もう飲めぬ、と部屋に戻ると、TVが阪神タイガースの優勝を報じていた。
翌日、午前中はきのこ狩りが予定されていたが「まだ舞茸が育たぬ。」ということで、急遽芋ほりに変更になった。久しぶりに童心に帰る。食いきれぬほどの芋を掘りながら、まだあると土の中を探す。
しめは、もちつき大会に浅草山荘前の公園でバーべキュー。水を加えない腰の強い出来立ての餅の味は格別だった。バーベキューもふんだんで腹もはちきれんばかり。

魚沼市の暖かさが感じられ、それに天候に恵まれた。会長、理事長はじめ、幹事さんたちのおかげで予想以上に楽しい2日間となり、値段も安いと最高!誰かが「災害のない平和な時の疎開だから楽しいのさ。」と一言。
高速道路に乗る前に「道の駅いりひろせ」によりさらに買い物。調子に乗って芋に米にきのこにそのうえいろいろおみやげをかかえこみ、まるで買い物ツアーみたいになった人もいたようだ。私の場合、関越トンネルを今回が初めて越えた。「もう一度来たい。浅草山荘でも、たくさんある温泉のひとつでもいい。」などと感じながら、バスに揺られ、次第に眠くなってきた。

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