414「地震はどこまで警戒するべきか」(12月14日(水)晴れ)

11月28日に建築強度偽装問題をとりあげたけれども、あれから半月、国会で姉歯元一級建築士、木村建設社長、東京支店長、中小ホテル建設に際し、これらを紹介したとされる総研内河所長などの証人質疑が行われている。不思議に最初の頃問題になった建築確認申請をおろした地方行政体の関係者がよばれていない。

議論をきいているうちに「住む人の安全がいつのまにか忘れられてしまった。」と感じる。
姉歯氏は木村建設東京支店長から何度も「鉄筋を減らしてくれ。減らせないなら他に頼む。」といわれてやむを得ずした、という。一方件の支社長は「法律をまげてやってくれ、などと言った覚えはない。」と突っぱねる。
どっちも嘘ではないのではないか、と思う。しかし両者は「許可が通ればなんでもいいのさ。」「少々減らしたって倒れることはあるまい」くらいに考えていたように思える。住み人間のことはいつのまにか忘れられた。それは、ヒューザーの社長が指摘されて「地震が起こった後で考えればいいじゃないか。」と言ったという、その発言に通じる。

確かに強度が不足していても、そのために倒壊するほどの地震はそう度々おこるものではない。運がよければ、一生そんなものを経験しないで住む人もいるかもしれない。それに日本ほど地震に厳しい条件を課しているところはないのではないか、と思う。
クアラルンプールのツインタワーは日本と韓国の業者が建設した。日本の業者は地震を心配したが、当局に地震はこない、と突っぱねられた、と聞く。この前の「インド洋地震」のときはそのことを覚えていたからすぐにしらべた。幸い震源地とは大分離れていたから影響はでなかったようだが・・・・・。地震はかなり地域限定的である。今後50年の間に東海地震が起こる確率は50%などというと、危険に見えるが、その地震が起こり、今いるマンションが倒壊する確率となると大分低くなるのではないか。

けしからんことではあるが、逆に考えると、社会一般はそれほど地震に対して神経質になっているだろうか。たとえば地震保険。この問題が起こって初めて考えたのだけれど、我が家も私のアパートも火災保険は入っているが、こちらは入っていない。入ろうと考えないでもいないが、万一のことを考えてか保険料もかなり高くなっている。心の中では「それは、そのときのこと」くらいに考えている。また、2,3日前には昭和56年?以前に建てられたアパート等には構造計算が義務付けられていなかった、そういうものが万単位であるとの報道も流れている。
世の中には危険は一杯ある。火災、地震、戦争、交通事故、殺人、隕石や飛行機の落下、食品衛生・・・・それらの一生の間に起こる確率はどのくらいなのだろう。そして人はそれらにどの程度準備すべきなのか、あるいはしているのか。


今回彼らを悪者にして、問題の本質を忘れては困る気がする。たとえば居住者に立ち退け、といっているのは、やはり性急すぎるような気がする。行政の責任逃れに見える。任意にしばらくの間はまかせてその間に資金の問題、あるいは補強策がとれないか、など考えるべきではないか。場合によっては、これも新しいビジネスチャンスになりうるのではないか。TVでは、鉄骨で補強したり、プリミテイブだが、れんがを積み上げた家とその周りをテープで捲いた家のゆれに対する強度比較の実験なども報道されていた。

註 ご意見をお待ちしています。
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(参考)「耐震強度偽造問題」(11月28日(月) 晴れ)

建築事務所による耐震強度偽造問題で建築業会がゆれている。
私の先輩にあたるY氏は、ある検査業界関連会社の社長をしておられるが、「建築事務所による耐震強度偽造は他山の石とすべし」というエッセイを送ってくれた。
「姉歯建築事務所が鉄筋の数を減らすために法で決められている「構造計算書」を偽造していた事が判明した。その計算書に基づいて経てた多くのマンションやホテルが、震度5強の地震で倒壊する可能性が指摘された。ホテルは休業に追い込まれ、マンション住民は安全性から引越しを求められる羽目になった。」
「お客さん(建築主)は目に見えない「骨の部分」は気にしない」のは「業界の常識」、しかも構造部分は工事代金の6-8割を占める結果、必然的にコストカットの対象になる。」
私も興味を持って、本質的には誰が責任をおうべきなのか、国や地方に責任がどの程度まであるのか、震度5弱の地震で倒壊する恐れがある・・・・との言い方はどの程度の確率で現実になるのか、など質問させていただいたりした。


以下、それらを踏まえて私なりの意見。
衆議院委員会参考人質疑では責任のなすりあいに終始した。
販売会社は「検査結果を信じ、適法に販売した。」建設会社は「鉄筋をへらせとは言ったが法令内でという意味だ。」検査機関は「構造計算書を一から百まで再計算するのは不可能。」姉歯一級建築士は出席していない。それぞれに言い分はあろう。
検査機関が失格であることは当然だ。建設会社はそのように脅していたかどうか、あるいは違反が予測できたか、その辺が鍵となろう。
しかしこの問題の最終責任は「姉歯建築設計事務所」にある。ただしマンション購入者が責任を追及するのはヒューザーなど販売者および建設会社である。後者は一般商品や自動車の販売に欠陥があった場合を思い起こせば容易に想像できる。


ところで今回一番驚いたのは、建築確認をする監督官庁ではないか。建築確認が容積率など土地利用方法に基づくチェックのほか、構造計算までつっこんで見なければいけない、とは考えなかったのではないか。「自分たちはチェックだけしていればいい。」と安易に考えていたのではないか。今回いくつかの行政が住民に12月中に引越しを要請し、出来ない場合は使用禁止にする、などと言っている。
Y氏によれば「震度と耐震強度は構造計算をきちんとすれば、判定が出来るのだと思います。震度6で倒壊するレベルを1とした場合、0.5以下で取り壊すとしていますが、このレベルが5弱との分水嶺になるのではないでしょうか。」


しかし、それでも私はかなり問題があるように思う。
通学・通勤等諸般の事情もあろうし、さらにマンション購入の借金の上にさらに公営住宅の家賃も払う、ということになれば住民はやってゆけまい。もちろん、震度5強以上の地震で倒壊する恐れがあることは知らせねばならぬ。しかしその確率はどのくらいか。交通事故の恐れがあるからといって道路を通行禁止にできぬ、と同じ理屈にもみえる。
ようやくこの問題に政府が腰を上げ始め、公営住宅の用意だの家賃の一時免除など言い始めた。考え方の基本は災害と同じということなのだろうか。