もう一度伊香保に行ってみようか、という気分になったのは「岸権」旅館の写真である。上州の山並みを見晴らす位置にあるらしい露天風呂の写真が旅情を誘った。
この旅館は、天正4年、1567年創立ということでものすごく古い。何でも信州松本の豪族だった岸権左衛門が、この地に落ちのび、旅館を初めたのだそうだ。
今回の旅行を機会にカーナビを買った。HDD埋め込み型で最新のものだが、余り運転者の技量のことは考えてくれないらしく、関越を渋川・伊香保インターでおり、旅館近くになって、ひどく細い道を通過させられ、冷や汗をかいた。それでも無事到着。
伊香保は、与謝野晶子が古代ローマの劇場のようだ、と唄った石段が有名である。「岸権」旅館創立と同じころ、長篠の合戦に敗れた武田勝頼が、真田氏に命じて作らせたもので、伊香保神社から一番下の関所までは約360段、高低差が80mある。旅館は、ちょうどその真ん中あたりで威張っている。
石段の下に、関所跡の建物がある。江戸時代、旅館12件が持ち回りで庄屋をやったそうだが、その庄屋が入鉄砲、出女などを厳しくチェックしたという。石段の左右にはお土産屋、喫茶店、コーヒーショップなどが立ち並ぶが、季節が悪いのか客は余り多くないようだ。珍しいつるし雛の展示をやっていた。中腹からわき道に入って少し行くと、ロープウエイ駅に至る。登ると展望見晴らし台。回りは公園風だが、まだ木々に緑は感じられず、寒々としている。眼下に氷の張っていないスケート場が見える。
再び石段に戻り、上まで登り、伊香保神社を抜けてゆくと源泉。この温泉の効能宣伝に一役買ったベルツ博士が来た明治のころは、こちらの方が中心だったそうだが、寂れた感じ。崖に沿って建つお土産屋がいまにもつぶれそうだ。公共の露天風呂がある。
戻るとちょうどよい時間。「岸権」旅館はさすがに老舗だ。自慢は、源泉掛け流しの温泉で、鉄分を含んだ茶色っぽい湯が体を温めてくれる。部屋、食事などもまずまずだが、細かいところに気を使っている。湯上りに冷えた麦茶、夜中に飲むようにと氷水が梅干と一緒に提供されるなどちょっとした心遣いがうれしい。おすすめ!
翌日は榛名湖に出ることにした。
榛名湖は、左に行けとカーナビ、右に行けと標識、迷ったがカーナビに従った。10キロくらい行くとカーナビが「新しいルートが見つかりました」とくるから、そちらを選択すると、車はぐるぐる回って出発地点に戻り、標識の方向に進みだした。もう!それから山道を登り始める。雪が少しの残り、ノーマルタイヤで大丈夫かと心配したが、どうにか峠らしいところを越え、いつの間にか榛名湖。
数十万年の火山活動の末、二重火山榛名山(掃部(かもん)が岳)1449mが出来た。火口近くに火口原湖榛名湖。東西1km、南北1.3
kmの小さな湖である。榛名山の西斜面に榛名神社、東に伊香保温泉が位置する。
オフシーズンで人陰は少なく、湖岸には雪が残っている。榛名富士1391mはロープウエイですぐ行けるが、何もなさそうとすぐに出発。
榛名神社。今度はカーナビが右に行け、というのを、標識に従って左に行き,正解。入口より約700m続く参道は、清流に沿い,老杉が続く。向かいの滝の下半分が凍って奇妙な景観を作り出している。参道沿いには弁財天、福禄寿、寿老人などの金属製像がぽつり、ぽつり、そして三重塔などの建物。矢立の杉を横目に石段を登ると本殿。その後ろに巨岩が覆いかぶさり、鉄片のひときわ大きな岩は、今にも転がり落ちそうだ。注連縄が飾ってあるが、どうやってつけたのだろう。岩石の中に御祭神が祀られているとか。
最後は思い切りカーナビのお世話になり、高崎ICにでて再び関越で戻った。
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