料理本でいつも感じるのは、まずはその目線の違い。
この本は見開きに「七面倒くさい下ごしらえや手順は省略、でもツボはおさえる、という著者開発の料理は、簡単に作れておいしいと大好評、本書でそのコツを紹介します。」とあるとおり、著者流の簡単なしかしツボを抑えた料理の仕方が、一流の家庭的?語り口と共に約170品目紹介され、読んでいても楽しい。
手元に「イタリア料理「ラ・ベットラ」のシークレットレシピ」なる本があり、そちらも簡単に作れることを自慢にしている。著者はイタリアで修行し、現在、銀座で同名のレストランを開いている。
詳細を省略するが、2冊の本のスパゲッテイの作り方は、日本流とイタリア流でこうも違うかと口をアングリするほど・・・・。
もう一つ感じるのは、読者自身のお好みがあるから、レシペが沢山掲載されていても、実際に作ってみる気がするものは案外少ない、ということ。これにはうまさの基準の違いがあるのではないか。著者は自分の基準でうまい、と思うものをレシピで紹介するが、読者の好みと一致するとは限らない。だから料理本は何冊もあっていいと思う。そして本当に自分に気に入ったものを作りながら、次第に自分流を完成させてゆけばいい。
この書物から、私は鯛茶漬けを作ってみた。
いつか松江の専門店で食べたところこんなうまいものがあるか、と思ったくらいだった。しかし、数年前、見ようみまねで作ったら生臭く、がっかりした。あれはイマイチ鯛が新しくなかったからではないか、と思う。そこで今回は刺身用の新鮮そうな鯛。
「あつあつのご飯の上に刺身をのせる。のせてから塩をかける。塩味がきいていないとつまらない味になります。で、わさびをのせる。刻み海苔か、もみのりを、ぱーっとかける。胡麻も余り多いと触るので、少しだけかける。」(46p)
ここから先彼女は、二つの道を紹介する。煎茶のアツアツをかける方法とだしをかける方法。後者を選ぶ。「水2カップに昆布を10センチほどに切って、ちょっと洗って、ほうりこむ。ぐつぐつ煮る。鰹節をいれてコトコト煮たったら、火をとめて消す。鰹節を軽くきゅっと絞って、少々濃い目の味をつける」この昆布や鰹節を煮立てるところが特色。それはその通りにしたけれど、何かオーソドックスな方法と違う感じがした。
手元に土井勝「NHK和風今日の料理」というのがあった。この本のレシペはかなり本格的である。だしについて「しょうゆ、みりん、化学調味料」とある。だしのとり方は小林式にしたが、しょうゆ味の方が私の好みと変更、みりんも少し入れることにした。しかしこうすると最初にご飯に塩をかける工程は、不要な感じがしてやめにする。
一応できあがり。早速食卓に運ぶ。口にいれる。
ぬるい!塩加減が少し弱く味にパンチがきいていない。鯛はおいしいし、だしもまあまあと思ったけれど・・・・。何か青いものも欲しいな。そんな自己採点評。だし汁を使わず日本茶も劣らずうまいのかも知れぬ、と感じた。
鰻茶のことも書いてあった。これはほうじ茶がいいそうだ。鰤に塩をふって3,4日風干しにし、これで茶づけを作る塩鰤茶づけもうまいそうだ。機会があったら挑戦してみたい。
この本では他に前の晩の残りメシでオニギリを作る方法が書いてあったが、これもなかなか参考になった。
註 ご意見をお待ちしています。
e-mail agatha@bekkoame.ne.jp
home-page http://www.bekkoame.ne.jp/~agatha