484「世論をリードする!」(8月21日(月)晴れ)

終戦記念日に小泉首相が靖国神社を参拝して内外をびっくりさせた。しかし9月にやめるとあって「中国、韓国が反発しても限定的だろう。」との予想はあたった。もう世間の目は次ぎに選ばれるであろう安倍首相の動向にかかっている。

ところで日経新聞に18-20日に実施した世論調査の結果が掲載されていた。
調査は日経リサーチが全国の成人男女を対象に乱数番号(RDD)方式により電話で実施、有権者のいる1539世帯から891件の回答を得た者である。たかがその程度の調査で分かるのか、という疑問はある。しかしこのごろは他の新聞社も調査をやっているようで、結果も似たようなものらしい。誤差を仕方ないものとして信じることにする。

小泉首相の参拝について、賛成が48%で反対の36%を12ポイント上回ったというのである。賛成理由は「個人の思想・信条の問題」が38%と最も多く、ついで「首相が戦没者を追悼するのは当然」の36%、「中国韓国の反発を受けて参拝を見送るのはおかしい。」は20%、「参拝は首相の公約」は5%だった。
また次期首相の靖国神社への参拝について「賛成」43%、「反対」39%と賛否がほぼ二分した。小泉内閣への支持率は50%で、前回調査より4ポイント増加し、昨年12月調査以来の50%台を回復した。

私はこの記事をみて「おや、おや」と想わざるを得なかった。
というのは1ヶ月ほど前、富田元宮内庁長官の残した手記・手帳が発表され、昭和天皇がA級戦犯の合祀に不快感を示した事実が判明し、反対が賛成を大きく上回っていたことを思い出したからだ。あのころ靖国参拝反対のある友人は「こんなに反対が多くとも参拝するのか、意固地なだけじゃないか。」と怒っていた。

日経新聞は22日夕刊に「首相の判断 有権者が追認」という記事を載せた。
あの7月下旬の調査では賛成は28%で反対53%を大きく下回っていた。その前6月17日の調査でも「8月15日に参拝すべきだ」との意見は17%に留まっていたそうだ。
記事によると、こういう首相が決断すれば世論が追認する、という例は過去にも見られる。米同時テロを受けた自衛隊のイラク派遣を巡っては、2003年12月の調査で「賛成」が33%、「反対」が52%であった。それが陸上自衛隊などに派遣命令が下った後の調査では「賛成」が43%、「反対」が42%と逆転した。郵政民営化法案の否決を受けた昨年8月の衆議院解散総選挙は七月調査で「解散を辞さない首相の姿勢を支持する」は24%に留まり、「今国会の成立のこだわらず反対派の理解を得て成立を目指すべきだ」が43%、「成立に反対だ」が22%であった。ところが「郵政解散」に踏み切った直後の調査では「賛成」が53%と「反対」の33%を引き離した。与野党には今でも「解散直後の首相の緊急記者会見の迫力が支持を引き出した。」との見方が強いという。

こうしてみると小泉首相には世論をリードする強力な力がある、と認めざるを得ないし、次期首相候補にこれだけの力が期待できるか、考えてみればそれまでの何人かの首相にはそういったものがなかったのではないのか、とさえ思えてくる。
日経新聞記事は「否定的だった世論が首相決断後、急に肯定的になるという小泉長期政権の謎は「ポスト小泉」にも続くのかどうか。」と締めくくっている。こういった重要な問題でも自分自身で確とした意見を下すのはせいぜい反対・賛成ともに2割、残りは判断がつきかねるが世の中の動きを見てということらしい。ただ世論はふらふらしたもので、そのときそのときの選択はかなり場当たり的に見えるけれども、民主主義ならそれもしかたがない、かえってイデオロギーに固まった意見で突っ走ることのほうが危険、と解釈すべきか・・・・・。

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