お笑いタレント2組4人が、10mの飛び込み台の上で困っている。
10mという高さは実際に上がってみると、存外高く、恐怖感を覚えさせるもののようだ。みんなおずおずと下を覗き込む。しかし恐そうに再び後ずさりしてしまう。
しかしそんな中でも女性タレントだけは比較的元気だった。彼女は何度も精神集中を繰り返したが、10分過ぎに意を決して足からドボンと飛び込んだ。やがてもう一人男が飛び込んだ。
このゲームは二組のお笑いタレント対決で、先に二人飛び込んだ時点でオシマイ。両チームに一人ずつが残り、上でどうしよう、と恐がりあっている。時間だけはドンドンすぎる。すんでしまった二人が声をかける。「あなたがチームには大切なのよ。」「これ、ボケ、お前、そんな意気地なしか」・・・・・・
結局女性タレントの相棒が最後に飛び込んで決着がついた。
飛び込み台は、目標となるプールの視野角が、上に行けば行くほど狭くなるから、回りにぶつかるような気がして怖いのだ。飛び込み板が大海原に突き出た板だったら、そんなに恐怖を感じないのじゃないか。落ちるということは、一瞬なりとも無重力状態に近づくことである。しかしこれも飛行機などで時々経験する。エアポケットか何かに入って100mくらい高度が下がる時もないではないらしい。しかし中の乗客それほど騒がない。周りが空で落ちていることが見られないからではないか。
そこに行くと飛び込み台は違う。つまり頭の中で作り出した恐怖がどんどん大きくなってゆく。
ただ、慣れは人に自信を与える。飛び込み選手で恐いと感じる人は聞いた事がない。そういえばお笑いタレントで一番最初に飛び込んだ女性も、飛び込む前は、結構うじうじしていたが、飛びこんでプールから上がる彼女に声をかけると「余裕だね」とVマークを作って見せた。
ところでこんな評論家のような文章を書いている私も、落ちることに対する恐怖感は結構大きい。
遊園地の絶叫マシーンははなから縁がないものときめているし、ジェットコースターは大の苦手である。
マッドマウスのようなものも恐い。これはジェットコースターに回転を加えたもので、前に突っ込んでゆくような気分がし、その瞬間にはチビりそうな気がする。一番恐いのはこれが暗闇の中で起こるもの、いつかデイズニーランドかなにかで乗ったときは、命がちじむ思いがした。趣向変わってバンジージャンプというのもあるが、名前を聞くだけで寒気がする。
不思議に、こんなことをいっても、子どものときは、こういったことがきらいというわけではなかった。親がしてくれる「高い、高い」を喜ぶように、はしゃいだものだった。恐いもの知らずだったのかもしれない。それが何時ごろ恐怖に感じるようになったのだろうか。
落ちる恐怖について私は
「1 歳をとるほど恐怖心が大きくなる。」「2 男性より女性の方が耐えられる」
と考えているのだけれど、実際はどうなのだろうか。年寄りは、本能的に老い先短いから自分が可愛くなる、女性はいざとなったら度胸が据わるのか・・・・。しかしこれは実は困るときがある。女・子供に誘われたとき、親の権威、男の権威との折れ合いをどうつける・・・・・・・。
ところでこれを読んだみなさんはどうですか。え?飛び込んだことはないけれどやれば絶対出来る、自信がある?そういう人は是非やってみてください。私も時間があれば見に行きます。それに落ちることに慣れておく事は、人生に役立つときがあるかもしれません。火災の際の緊急脱出チューブは、ゴムのチューブの中を滑って地上に生還するのだけれどあれなどそうです。
最後につけたしをもう一つ、仏教で一番恐い地獄は「無間地獄」というのだそうだ。何時までも落ち続けるのだそうです。何時までも落ち続けて最後はどこに行くのでしょうね。
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