492「ジヨロウ蜘蛛」(9月16日(土)曇り)

それにしても見事はおみ足である。
金と黒との縞模様。長々と前に4本、後ろに2本。真ん中の2本はそれほどでもないが見事、見事。腹も大きくなく、なかなかスリムなボデイ。
ジョロウ蜘蛛。空中に張られた糸の網に8箇所固定で重くもない体をらくらく支えている。
私の庭が余程気に入ったのか、三つも網を張っている。

それにしてもなぜ黄色と黒の縞なんだろう。身を隠して、鳥に見つかって食べられないようにし、同時に捕食するならもう少し目立たぬ色にすればいいのに・・・・・・。
この大きなジョロウ蜘蛛はメスに違いない。そばに少し小さめの赤みを帯びたオスのジョロウ蜘蛛。
空中に糸をはって餌のかかるのをじっとまち、かかれば糸でぐるぐる巻きにし、食ってしまうことからずいぶんひどい名前を貰っている。しかし生き物であるからには当然のこと、その行為を非難するならカミサマを非難するより仕方があるまい。良く見ればなかなか愛嬌のある生物でもある。それに存外臆病である。つつくと外敵侵入と考えるのか、まず一旦は逃げて様子を伺う。
今度はボールペンの先で雌の腹の真ん中をこちょこちょ。
これは彼女は予想しない行為だったらしい。電車の中でスカートの中に手を突っ込まれた気分か?どちらに逃げるべきか分からず身をよじって、とにかく災難を避けようとする。オスも一緒にあわてているがこちらはつつかれたわけではない。私は結構いたずらである。夕べも気になって網をこわしてやった。しかし何時間かで見事に修復する。働き者でもある。

少しウエブサイトを調べてみる。
きれいな写真が沢山出てきた。中にはセミを捕食して網でぐるぐる巻きにしている写真まであった。毒性は弱いそうだ。しかし弱いというのは人間にか、虫にか。前者であるとすれば、網にかかったセミでも結構きき動けなくなるのかもしれぬ。噛み付くだけではああは行かない気がする。糸は横糸に粘り気があって獲物にからみついてしまう、ともあった。

11月が繁殖期。もっとも蜘蛛が実際にどのようにセックスをするのかは知らぬ。
木の葉の裏に糸でネットを作り、そこに卵を産みつける。何千という数だそうだ。
翌年の5月か6月にいっせいに孵化。
しかし成虫になって網を張っているのは少ないから、大半は死んでしまうのだろう。とすれば、天敵は一体なになんだろうか。今頃網を張っているやつは、この5,6月に孵化し、どこかで網を張る能力をそなえ、生き延びてきたもの、ということになるのか。

ひどい名前は、遊女の女郎を連想するけれど、本来は違う。古人はジョロウ蜘蛛の姿を艶やかと感じ、当時の身分の高い女官の上臈になぞらえて命名したのだという。ただしそれがいつ女郎になり下がったかはわからなかったそうだ。

またジョロウ蜘蛛は、私は日本最大の蜘蛛と思っていたがそうではないようだ。ジョロウ蜘蛛はアシナガクモ科に属するけれど、似た名前で九州地方にアシダカ蜘蛛というのがいるそうだ。写真で見ると灰色でただ大きく獰猛にみえるだけ・・・・・・とてもその姿に美的センスはない。ゴキブリまで食うのだそうだ。家のゴキブリを退治するにはこの蜘蛛を放し飼いにしたらいい、とあったがぞっとしない。こんなのにあったらジョロウ蜘蛛も食われてしまうのだろうか。

後記 読者の一人からこのテーマについて次のメールをいただきました。

(メール1)蜘蛛に対するいたずらで最もたちが悪いのは
液体石鹸をかけるのだそうです。するとどうなるか??

ほかの虫は蜘蛛の巣に引っかかるのに
蜘蛛自身は引っかからない。あれは体から特殊な防護液
を出しているから、ところが石鹸でそれを中和してしまうと
自分の巣に絡まってしまう。いささかだらしのない話。

小生知識としてはそういう話を聞いていましたが、
実験する機会に恵まれませんでした。
事実かどうか確かめたことはありません。

(メール2)高校の生物の先生は実際は石鹸水を霧吹きにいれて、蜘蛛に吹きかけたそうです。
非常に気の毒な結果になったと授業のときに聞きました。それから約40年覚え続け
て居たわけです。霧吹きがいいですよ。やるなら。

註 ご意見をお待ちしています。
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付「アズキゾウムシ」(9月20日(水)曇り)

「暑さ、寒さも彼岸まで」・・・・今日当たり、この夏の最後の暑い日かも知れぬ。
「サンマを一匹・・・・」というと、魚屋のお兄さんは「そこにビニール袋が・・・・・」ともそもそ言いかけ、まずいと思ったのかあわてて包み、無言で渡す。つまりこんな安いもの、自分で包んでレジの持っていってくれ、といいたいらしい。しかし晩のおかずに一匹あれば十分だ。沢山買えばいいが、明日は別の魚が欲しくなるし、はらわたを抜けばべつだがそうでもしなければすぐに古くなる。
食品を買うとき、独り者はとにかく困る。そんな意味で最近みつけたレタスの氷保存法は私にとっては画期的なものである。レタスをちぎってボールに入れ、冷蔵庫に入れておくのである。こうするかなり長い間新鮮な状態で保てる。同じ方法で大根もできないかと今思案中。

豆類などというのも困る。赤飯など時に食べたくなる。煮豆もいい。こういうときは少し大きい豆がいい。それから大豆や黒まめ。これもちょっと洒落た料理を作るときには欲しい。しかしいづれも1回ではそれほど多くは使わない。今年の春ごろだろうか、それならいろいろ取り揃えておこうと乾物屋で少しづつ買い求めて缶にいれておいた。そのとき赤飯を食ったかも知れぬ。

今日、缶をあけて驚いた。小さな虫が、わっと飛び立ったのである。みると小豆を入れておいたビニール袋のところどころが破れ、粉を吹いたようになっており、缶の底には黒いつぶつぶが沢山。
ウエブサイトを使って調べてみるとアズキゾウムシらしい。
「体長2-3mm、赤褐色、翅鞘は白色毛を生じ、複雑な模様がある。畑で完熟豆に産卵するが、貯蔵豆にも産卵し、発育するので、乾燥小豆の大害虫として知られている。約40日で成虫になり、年間に4-5回世代交代する。良く似たヨツモンマメゾウムシもアズキを食害する。」
別のサイトには「幼虫は小豆の内部を食べて成長し、豆内部で蛹化、成虫となって楕円形の羽化脱出口をあけて小豆の外に飛び出します。被害を受けた小豆は黒色に変色し、異臭を放ち、味も落ちるため食べないほうがよいでしょう。」
さらに調べると鞘翅目カブトムシ亜目ハムシ上科マメゾウムシ科とある。同じマメゾウムシ科にはエンドウゾウムシというのもいるらしい。その上まで広げればカミキリムシやコクゾウムシが入ってくるとか。いづれにしろ、鞘翅目、前翅が鞘状になり後ろ翅を拡げて飛ぶ甲虫の仲間である。

しかし小豆をそのまま棄ててしまうのも癪にさわる。こういうところ私は案外ケチなのである。
ボールに件の小豆を移し、水をいれると、半分くらいが浮く。ゴミみたいなつぶつぶを丁寧に分離する。それを新聞紙に拡げ二階のテラスに干す。他の豆は食われている様子はなかったけれど、同じ様に干す。干している間にさらにコシアンの作り方を調べる。煮込んでやわらかくして同量の砂糖をいれ煮つめればよいようだ。豆は暑い日差しをあびてすぐに乾いた。それをビニール袋に丁寧に回収する。回収しながら小豆をしげしげ眺める。よくもこの小さい小豆に精密機械みたいにきれいに穴を開けたもんだ。8割くらいは穴があけてある。余り黒くなっているのはさすがに棄てた。考えてみれば穴のあいているやつはすでに虫の飛び立った後だから問題ない。しかしままだ開いていない奴は中に蛹か幼虫が入っているかも知れぬ。そうなると全部があやしい・・・・・?

夕食にガールフレンドのAさんが来る。早速アズキゾウムシの話をして得意になる。すると彼女は
「ダメよ、ダメ、棄てなさい。そんなものを私に食べさせないで・・・・、気持ち悪い。」虫が一匹くらい残っていたって加熱してしまえばたんぱく質、食えないことはあるまい、と説得するが全然受け付けてもらえそうもない・・・・・・・。