牡蠣のシーズン。夕食にカキフライを作った。
塩水で洗い、フキンなどで水気を取って塩コショウし、小麦粉・とき卵・パン粉の三重の衣をまんべんなくつける。油を十分に加熱し、それらを投入するが、引き上げるタイミングがむずかしい。加熱しすぎず、火はとおっていなければならぬ。1分くらいか。
魚屋に行くと牡蠣には加熱用と生食用がある。
何となく前者は少し古いのではないか位に思っていたけれど、違うようだ。生食用の牡蠣はプランクトンの少ない当局の指定された海域で育ったものを言う。一般に小粒なのだそうだ。加熱用の牡蠣はプランクトンの豊富な海域、つまり河口周辺などで育ったもので粒の大きいものが多い。
牡蠣の生産地は、日本では広島湾をトップに仙台湾、厚岸湾などが知られるが、世界に目を向けるとアメリカ、カナダ、フランス、オーストラリア、チリ、韓国、中国なども養殖されている。
養殖の歴史は古く、ヨーロッパでは紀元前にさかのぼる。日本では江戸時代初期に広島で始まったそうで、小林五郎左兵衛門という人が竹の枝にマガキが付着することにヒントを得て始めたそうだ。大正時代の垂下式養殖法が開発され、全国的に普及、生産量が増大した。
牡蠣とは、イボタガキ科の二枚貝の総称。牡蠣という字を見ると、牝は居ないのか、思う。実は雌雄同体。雌性の強いものと雄性の強いものがあり、産卵後や環境が悪くなると雄性が強くなる。
マガキ、ニセマガキ、シカメガキ、スミノエガキ、イワガキ、イボタガキ、ワニガキ、ケガキなどいろいろ種類がある。日本で20種、世界で100種以上とか。しかし日本の市場に出回っているものはほとんど養殖のマガキである。ほかにイワガキが最近人気がある。夏牡蠣とも呼ばれ、銚子や鹿島灘が産地。丸く、分厚く、生で食される。
食べ方も日本人は実に多彩な食べ方をする。フライに酢牡蠣に煮物に焼き物、吸い物・・・・。
しかしヨーロッパなどでは主として生食用。中国では生では食わないのだそうだ。塩蔵といって塩漬けにする。そのときできる上澄み液を処理したものがオイスターソースとか。しかし塩蔵した牡蠣をどのように食べるのか、私は知らない。
私の母方と遠い親戚が、昔、酢牡蠣にあたって亡くなったという話を聞いている。そのせいかフランスで何度か食べた事があるがどうも生の牡蠣というのは中毒を起こさないか、と恐い。しかし生でも殻つきのものは大丈夫のように思えるから不思議だ。20個くらい入った箱を亡くなった妻と一緒に食べたことを思い出す。付け根のわずかに開いているから所からナイフを差し入れ、足を切るとふたが開く。そうは分かっていてもうまく行かず。おいしかったけれど、手が血だらけになった。
貝の中毒と考えられるものは、貝毒によるもの、腸炎ビブリオ菌によるもの、大腸菌によるもの、ノロウイルスによるものなどがある。牡蠣の貝毒が発生する時期は毎年ほぼ共通しており、3-5月が一番警戒する時期、次が10月から11月。麻痺性貝毒、下痢性貝毒、記憶喪失性貝毒があるが、激しいものは二時間で死に至るともいう。しかし今は、管理が徹底されておりまず心配ないそうだ。貝毒以外の三つについては、そのほかの魚介類全般に言える。中心温度65度以上、1分以上加熱すれば熱に強いノロウイルスといえども死ぬそうだ。
物騒なことをかいたけれども、ドイツの初代首相ビスマルク、文豪バルザック、ナポレオン、武田信玄等も牡蠣が好きだったそうだ。中でもジュリアス・シーザーは「彼がイギリス遠征を行ったのは、テームズ川河口の牡蠣を手に入れるためだった。」という。彼らの誰一人として牡蠣の中毒で死んだ、という話は見つからなかったから、大抵のことでは問題ないのだろう。
牡蠣は「海のミルク」とも呼ばれ、アミノ酸、ビタミン、ミネラル等を豊富に含む食品、また多量に含まれる亜鉛は男性機能を若く保つ機能もあるというから、お勧め食品であることに間違いはない。
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