497「安倍首相の中国・韓国訪問」(10月8日(日) 晴れ)

「靖国神社参拝問題を言わない」というのはうまい戦略だなあ、と思った。
日本国内に、首相に靖国神社に参拝して欲しい人も多い。仮に安倍さんが「やめてもいい」と思っても、それを口にすれば非難の大合唱になりかねない。ことに中国の政治的圧力に屈してやめたとの印象を与えることは最悪だ。一方中国としては、靖国カードと連動させて反日をあおってきた。しかしホンネでは中国の発展のために、日本のとの友好関係の確立は必要だ、との認識があろう。そろそろ引っ込めたいが、守旧派の意見もあるし、一度火をつけた国民感情は容易に沈静化できない。
考えてみれば靖国問題は、本来マイナーな問題なのだと思う。
最初は訪問していたのを、中曽根首相が訪問したときにある新聞がおかしいと騒ぎ、いわれてみればそうだ、と考えた中国が反対を唱え始めた、というのが真相と聞く。しかし「行こうが行くまいが個人の信仰の問題で自由じゃないか。」と、木で鼻をくくったような答弁を繰り返した小泉首相のやり方も、脳があるやり方とは思えなかった。

中国の政治について良く知っているわけではない。
しかし今の胡錦濤国家主席を中心とする勢力は、第4世代といわれ、1940年前後に生まれた人々である。
第三世代の江沢民等はこれより10歳以上年上である。第4世代が第3世代の影響力を除去したいと考えるのは当然のなりゆき。もう一つ中国の首脳には特色がある。ほとんどがエンジニアだ、ということである。政治や経済を専門に取り組んだものはいない。当然論理的、合理的に考える。一方で前の世代の反日は受け継ぐものの立場を考えて日本に強く出る。
対する日本側は現在の中国の首脳陣と小泉首相は同じ年代であったが、安倍首相は54年生まれというから、日本ならず中国でも「これは若いのが来た。」と驚いたに違いない。もちろんこの世代にとって第二次大戦は全く文字や伝聞で学んだものに過ぎない。とすれば靖国問題も論理で考えるのではないか。
太平洋戦争も1歩退いて歴史の一事実としてみる事ができよう。

微妙な言い回しではあるが、来年春頃までは靖国訪問はない、という条件で首脳会談が実現したようだ。夏以降になると思うが靖国参拝を再開するだろうか。難しいところだ。参拝するとして、そのときどのような事が起こるのか。日中関係が今までのように冷え込み、上海閥が勢力を取り戻しているのか。時の流れを見なければ分からないし、そのときに別の智慧を働かせる必要があるかもしれない。民主党のように今の時点で「行く行かないをはっきりさせねば、将来に禍根を残す。」などと、言っていては進むべきものも進まない。外交とはお互いの妥協できないところを智慧をだしあってまとめるところがポイントなのではないか。その意味で今回の訪問は正しいし、安倍首相は就任早々ワンポイント上げた、と評価できる。

最後に中国韓国の訪問が、新しい首相が誕生すれば恒例となっていた米国訪問に先駆けて行われたことは意義深いように思う。米国に守ってもらう、といいながら日本はアジアのリーダーであることを忘れてはならない。

後記(10月9日) 喜んだのもつかの間、安倍首相の訪朝にあわせるかのように北朝鮮が核実験を強行。世界を驚かせた。北東アジアの平和のために、日米中韓ロの協力が必要、というが、影響を最も受ける可能性があるのは日本であることを忘れてはいけない。しかしそれだけに訪問はクリーンヒットに映る。

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