499「妻か、娘か」(10月17日(火) 晴れ)

TVでみたクイズ番組である。
「妻と娘がおぼれそうになりました。しかし船には二人しか乗れません。あなたはどちらを助けますか。」ボートに乗っている夫が、おぼれる二人をみておろおろしているイラストがでた。
「妻」と答えた者にその理由を聞くと「子どもはもう一度作れるじゃないか。」
「子」と答えた者にその理由を聞くと「妻もそれを願うに違いない。」
一人の女性が「私、一度そういう問題を夫に聞いた事がある。そのとき夫は「妻」と答えてくれたが、非常にいやな感じがした。じゃ、娘はどうなってもいいの。」
すると別の女性が「この問題はどちらかを選択する以外の答えを求めているんじゃないかしら。」
正解なるものが発表された。「嘘でもかまわないから、両方助ける、というのです。」

さすがに「両方棄てて、さっさと自分だけ逃げて帰ります。なぜなら娘がなくなれば夫婦二人、苦しみが残るでしょう。妻が亡くなれば、その後、娘を養わなければならないけれど、それは大変。」というような身勝手な答えはなかった。
しかし一方で「私が水に飛び込みます。そうすれば二人とも助かるじゃないですか。」というキリスト教牧師のような献身的な答えもなかった。
「その絵のようなら、誰か一人がボートをこぎ、二人は水の中でときどきオールに捕まって沈まないようにしていればいいじゃないですか。」というような工夫した答えもなかった。

ところで良く考えてみると、このような事件は、タイタニック号のようなケースでもない限り、実際にはまず起こりにくい、頭で考えた問題なのではないか。次の設問「恋人とデートしているところを妻に見つかったらなんと答弁するか。」と比べると感じられる。こちらの方は、現実に起こりそうな気がするけれど・・・・。
回答者の一人がフト言った言葉が印象に残った。「こういう問題を発するのは相手の心を試そうとしているからじゃないかしら。」考えてみれば、誰が聞いたのか明確にされていない。妻からか、子からか、恋人からか・・・。いづれでも一般的には、まともに取り合うことなんかない。模範解答のような調子のよい答えをしておけば、世の中マルク収まる?

この問題の面白いと思ったところは、いろいろ変形がありそうだからだ。
助けなければならないのが、妻と男の子だったら・・・・・。レデイファーストで行くべきなのか。両親だったらどうなる、子ども二人だったらどうなる・・・・。そうなると宗教的には自分を犠牲にするべきだとの答えが出てくるのかも知れぬ。

「二者択一」を迫られるケース、という風に幅広く解釈すれば、もっともっと問題が浮かぶ。社会、政治、経済いつでも迫られる者であるし、人生でもまた多くは分からぬままに選択をして生きてゆく。
ある先輩の言っていた言葉を思い出す。「トップに立つものは、必ず右か左か決定しなければいけない。どちらかに決定すればおのずと道は開ける。一番いけないのは決定できずに、迷ったままずるずると破滅の深みにはまってゆくことだ。」だとすれば、模範解答は実戦では零点の答えということになる。どちらかを選択しなければならぬ。
妻?娘?どっち・・・・・。ウーン、それは妻にどの程度愛情が残っているかによります、だって!!!。

後記 読者の一人からこのテーマについて次のメールをいただきました。

どちらも救わず、自分も飛び込んでみんなで成仏するというのは
なかったですか。回答集の選択肢には。
こういう質問は両刀論的でどう答えても反論されるのです。
昔帝国海軍は新兵を鍛えるのに次のような話があったと聞いています。
真偽のほどはわかりません。
「貴様は女の上半身と下半身とどちらが好きか」という質問がありました。
「下半身であります。」というと「貴様ぶったるんでるぞ」と海軍精神注入棒という
やつで
こっぴどくたたかれます。さりとて
「上半身であります。」とこたえると「貴様、うそをつくな」とたたかれるのです。
これについては模範解答がありますか。

註 ご意見をお待ちしています。
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