つい先日「硫黄島から手紙」と言う映画をみた。この前紹介したクリントイーストウッド監督の「父たちの星条旗」の続編で、今度は硫黄島での激戦を日本側から描いている。主演渡辺謙で彼は硫黄島に赴任する栗林中将の役を演じる。すでに制空権、制海権を握り、圧倒的な力で押し寄せる米軍に、弾薬、物資が欠乏し、援軍も期待できない日本軍では勝敗は最初からはっきりしていた。基本的には戦争は悲しいものだ、と訴えている映画であるが、立場におかれたとき男はどうするべきか、そのような見方も出来る映画に見えた。特にこの映画の視点が、従来のアメリカ映画特有のヒーローものでなく、ありのままに公平に伝えようとしている点がいい。米兵が降伏した日本兵を恐れから簡単に殺してしまうシーンなど、イラク戦争の反省でもなければ、とても描かなかった場面かも知れぬ。
60歳以上1000円を利用して、今日もまた映画をみた。「武士の一分」
三村新之丞はお毒見役である。殿様にお出しする食事を事前にお毒見するのである。三十石、ごく下級の武士で、家には美人の妻加世が待っている。
ところがある日のお毒見であたってしまった。藩主毒殺を謀った謀略かと一時は大騒ぎになったが、アカツブカイの中毒であった。新之丞は意識不明の日が続くがようやく回復、しかし失明してしまう。このままではお城勤めはならぬだろうから、彼ら夫婦の生活をどうしようか、と親類中が集まる。みな体面ばかり重視し、無責任。結局、加世は、幼馴染と称し、声をかけてくれた番頭の島田藤弥に助力を請う。しかしただではすまなかった。手篭めにされ、島田と関係を持つようになる。それが新之丞に露見する。殿様の決断で三十石は維持されたものの、新之丞は、加世を追い出し、剣の道に励む。そしてクライマックスの決闘。最後は加世も戻り、ようやく春がおとづれるという筋書きである。
落ち着いた田舎の風景、人物と共にこういう映画をみる心がおちつく。自分も日本人だなあ、と実感する。監督は山田洋次、ハッピーエンドで終える心の温まる彼らしい作品、と思った。しかし心の安らぎみたいなものを感じる。
二つの映画に共通してまず感じるのは男のあるべき生き様みたいなものである。どちらも環境条件は不合理である。しかし不満をとなえていても始まらない。かなわぬことが分かっていても敢然と立ち向かって行く。そこにみる者は共感を覚えるのだと思う。
もう一つ感じるのは男の優しさである。栗林中将も負けることは分かっていながらベストを尽くし、部下たちにことを考え、そして倒れてゆく。新之丞の場合も同じである。離縁し、復讐を果たしながら、自分がそうした事が加世と島田を不孝にしたことを後悔する・・・・そういったやさしさを持ちあわせている。いづれにしろ、どちらの作品も失われかかっている日本人の良さが描かれている作品と思った。
改正教育基本法が成立した。内容に賛成・反対はともかく、昭和22年に作られた法律である。その後の状況の変化を考えれば変えること事態は当然と思う。新しい法律では「我が国や郷土を愛する態度を養う」という表現で愛国心が盛り込まれた。しかし同時に教育でまずもって大事なのは「一生懸命やる。」、「物事に共感する」ではないか。民主主義の時代だから「愛国心」などより「人間は考える葦である。」と言う言葉を重視する人もいるかもしれぬ。しかしいづれにしろ、この二つの前提がなければ空疎にひびく・・・・。
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