517「フセイン元大統領の死刑執行」(12月30日(土)晴れ)

イラクでフセイン元大統領が絞首刑に処せられた。裁判で死刑が確定してからわずかに4日目である。
このことを決断したのはアメリカ人でなくイラク人であるというところがものすごく重要だ。
ナイーブな考え方かもしれないけれど、政権を負われた元首が殺されるような国は野蛮な国である、と思っている。韓国が昔そうだった。「生きて青瓦台を出られず」と言ったものである。最近は進歩したのかそういうことがなくなった。

アメリカによる統一後イラクはシーア派が政権をとり、今までフセイン大統領の下で少数派ながら威張りちらし、多数派のシーア派に虐待をくりかえしていたスンニ派が追い出された。しかしスンニ派のテロはやむことを知らず、イラクは内戦状態にあるとメデイアは伝えている。
「早くこの問題にけりをつけてイラクに和解をもたらしたい。」と当局はいっているのだそうだ。しかしこんなやり方で和解がもたらされるわけがない。憎しみが憎しみを生むだけだ。
死刑執行にアメリカは、本当はどういう態度でいたのだろうか。「人の噂も75日、さっさと殺した方がいいですよ。」とでも助言したのだろうか。それとも・・・・・・。
少なくとも日本人だったら死刑にはしないだろう。極東軍事裁判で死刑となった人たちは仕方がないが、講和条約後、刑に服していた人たちを皆解放してしまった。あまつさえ、一般並みに扱って恩給まで支給している。しかしそういうやさしさがあったからこそまとまって復活する事ができたのだと思う。

そもそもアメリカがイラクに出兵した事が間違いなのかもしれない。
核兵器開発を行おうとしているとか、ビン・ラデインの一味を援助しているとかでいろいろ難癖をつけた。ホンネは中東における原油確保にあったのだろう。そこで出兵した。日本も協力して自衛隊を派遣した。しかしうまく行かなかった。そこで協力して出兵した各国は兵をどんどん引き上げているし、アメリカではブッシュ大統領の求心力が急減している。議会は民主党優勢になり、あわててラムズフェルドを更迭したり、ネオコンを退場させたりしているが、それでも止まりそうにない。
しかし今あの出兵が間違いであったかと問われれば分からない、と答えるしかない。
逆に出兵していなかったらどうなっていたのか。圧政がもっと続き、西側の権益はもっと押さえられたのではないか。クウエートの時はとにかく出兵してことを納めたではないか。歴史の判断は何十年立ってから出なければできぬ、とある人が言っていたがそのとおりと思う。

ただこのことは、今現在どういう行動をとるべきか考えることとは別問題。このような状況でそろそろアメリカとしては手を引いたほうが懸命だろう、との判断は当然必要である。
またこれらは、死刑執行とはあまり関係がない、という点を忘れてはならない。
為政者というのは正しいと思うことを実行するために、度々後から考えればけしからんことを行う。
虐殺であったり、弾圧であったり、腐敗政治であったり・・・・・・。
しかし多くは彼個人の利得だけを考えたものではない。やり方は間違っていたかもしれないが、少なくともよかれと心に念じて政策を行う。その意味ではヒトラーだって、東条英機だって同じだ。だからそれで迷惑をこうむった他国からしてみれば憎い。殺すこともあるだろう。しかし殺す者が同じ国民とあってはなかなかに救われない。悲しいことだが、イラクには平和はまだまだ遠い、民族和解など夢のまた夢、巨大資本の投資などできるものじゃない、と思わざるをえない。

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