555「サルコジ氏の勝利」(5月8日(火)晴れ)

フランスの次期大統領に右派の与党国民運動連合党首サルコジ氏(52)が決まった。社会党女性候補ロワイヤル氏(54)との接戦が予想されたが、決選投票での得票率は6%以上開いた。
フランス国民は、サルコジ氏が唱える競争重視社会を選択したわけである。
それにしても二人とも若いなあ。安倍氏と同世代。我々の年代はもはや老人?

日経新聞社説によると選挙の焦点は二つあった。
第一は雇用である。フランスの失業率は10%にせまり、経済成長率も2%前後に留まる。いづれもEUの中では最悪の水準、このままではグローバル化の波の中で「負け組」になってしまうという危機感がある。そこで氏は米英型の市場主義の導入と構造改革の推進を主張する。労働者の保護策を減らし、雇用市場の競争を高めようというのだ。ロワイヤル氏は北欧型の高福祉社会や労働者の保護を目指した。
第二の焦点は移民政策である。サルコジ氏は治安対策の強化を掲げ、移民にフランス語の習得の義務を課すなど人材を選別する姿勢を示している。一方でロワイヤル氏は外国人労働者の差別撤廃を訴えた。フランスはグローバル化の潮流の中で自国の文化や伝統の独自性が失われる危惧が広がっている。サルコジ氏は排他的ナショナリズムに通じる国民感情をうまくとりこんだ。
サルコジ氏は就業時間など雇用契約に関する法制度を見直し、さらに法人税の引き下げも検討しているとか。またアフリカ系移民や同化政策の失敗が高失業率や治安悪化の要因と見ている。故に不法移民を排除し、新たな入国もフランス語やフランスの文化や国家意識を身につけなければ認めないなど条件を厳しくする。「移民・国家アイデンテイテイー省」を設立する方針とか。こうし状況を踏まえてフランス各地で騒ぎが起こっている。

ところでこの問題は、地球の裏側の問題とはいえ、日本の選択について非常に多くの示唆を与えているように思うのだ。
日本は幸いに景気が良い。従ってまだ「環境問題優先」と応用に構えていられる。しかし長期には日本の国際社会における力は弱くなろうとしている。それを考えれば、ドイツやイギリスに続いて市場経済優先に梶を切ったフランスの考えもわかる。
不法移民問題は、アメリカでも深刻で、来年の大統領選でも争点になりそうな雰囲気。日本は制度改革に議論にまだ火がついていないけれども、現実には外国人労働者は、増え続けている。しかし格差問題や福祉の問題を議論するとき、何故か対象者たる彼らの議論を避けているように見える。フランスの「移民・国家アイデンテイテイー省」は極論と思うけれども、ある程度の共感を覚える。日本は一体誰の国なのか。かってイギリスに留学していたとき知り合いの老夫人が言っていた。「イギリスはパガンの国になってしまった。」パガン・・・異教徒、つまりアラブ人が増えたことをさす。

サルコジ氏は、また、対外的にはイラク戦争で対立した米国との関係改善を強調している。しかし地球温暖化対策などで米国を国際的な枠組みに取り込む事が出来るのか、今後の推移をみなければなるまい。日本もアメリカにどこまで追従するかについて、議論が分かれている。同じような悩みを抱えているといえ,他山の石とすべきと思う。

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