あのひき肉偽装事件、私が最初に感じたことは、社長は時代の流れを読みそこなったな、と言うことだった。牛肉の代わりに安い豚肉や鶏肉を使う、牛の味がするように血をまぜる、雨水で牛肉を解凍させる、古くなりかけたコロッケをそっと使う等々。しかし20年前ならどこの業者もそっとやっていたのではないか。ひょっとしたら今度の事件で肝を冷やした業者さえ、まだいたかもしれない。
魚だって、ししゃもは、全部偽物とか、すずきと称しているのは実はメルルーサだとか・・・・そんな話が、最近になって少しは真実に近くなってきたという。そういえば赤魚なんかも昔は鯛で売っていたように思う。それでもまだ中国産の鰻は、一度日本の海に放してやれば日本産に変わってしまうなど怪しげな話が随分残っている。
食品以外に目を移すとブランド物。ヴイトンだってエルメスだって偽物大通りだ。それでも時代の流れを察知してか、大分そっとやるようにはなったようだが・・・。中国のコピー商品も同様。あれは当局自体が時代の変化を読みとろうとしないからなのか、あるいは自国の力でまだまだ嘘はつきとおせると思っているからなのか。
もっと大きな問題だって同じだ。
社会保険庁の問題はずさんなデータ管理が一番の問題だが、その元には、従来申請主義で申請があれば払ってやる、当局はできるだけ少なく払うとの考え方があった。この考え方は実は生命保険や損害保険にもずっとあった。それが最近になって発覚し、監督官庁や消費者から責められてあわてて謝り、今は考え方を変えようともがいている。監督官庁だって同じだ。税務署がいい例だ。一昔前は、申告に言って話を聞こうとしてもろくに教えてくれない。納める税金が少ないと脱税、脱税と騒ぐくせに、間違えて多く払いすぎても見て見ぬふりであったように思う。しかし世の中の空気を察したのか、今では大分改善されてきている。・・・もっとも、税金が高い、ことには変わりはないけれど。
話を元に戻す。5日の朝に視点論点で中村靖彦と言う大学の先生が「ひき肉偽装はなぜ起きたか。」と言う話をしていた。そこでは第一の原因に私と同様、時代の変化が読めなかったことをあげていた。しかしそのほかにもともと農業関係の法律は、農業保護の観点から出来上がったものが多い、消費と生産が遠く離れており、消費については後から付け加えたもので不足している、また北海道庁内の縦割り行政のおかげで問題が表面に出るまでに1年もかかった、など指摘していた。
今回の事件で会社は実は大した罪にならない、と予想されている。何故なら品質について消費者に販売する場合の罰則規定はあるが、業者間の売買についてJAS法では余り決めていないのだそうだ。時代遅れなのは、会社だけでなく法律をふくめたこういった商品の流通そのもののありかたなのかもしれない。ただ罰せられなくてもミートホープ社は信用を失い、倒産の危機、マスコミや世論によってみせしめにされた。また例によって例の如くこれによって官は無謬で、罰せられることは全くない!
今、社会全体に求められていることは、こうした時代遅れ解消なのではないだろうか。いままでこれくらいは許される、常識と考えられていたものをもう一度頭に中でリシャッフルし、検討を加えることなのではないか、と思う次第である。
後記 ミートホープで怒っていたら、今度は中国産の肉まんの話である。秘密工場社長の話。原料が高いから古いダンボール紙をソーダで溶かして混ぜていた、自分は食べません。何をか言わんや!
読者からつぎのようなメールをいただきました。
昔から流通の怪として言われていること。
肉100グラムよりひき肉100グラムのほうがやすく、
それよりハンバーグ100グラムはさらにやすい。
冷凍ハンバーグ100グラムは最も安い。
つまり加工が進むにつれてやすくなる。これが不思議でなくて
常識とされていたという土壌があるのですね。
註 ご意見をお待ちしています。
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