6「ウオーター・ビジネスコンサルタント」(10月7日 晴れ)

テレビで「水を金に替える男」(?)と題して、ミネラル・ウオーター開発コンサルタントの話をしていた。ミネラル・ウオーター市場は、年間6%の伸びが予想され、これからの非常に有望な市場なのである。男はこの業界で絶大なる権威をもち、世界全体のそういった業界の会議でも幅を利かせている。

ペリエはミネラル・ウオーターを供給している有力な国際資本である。しかし今、全米各地で不買運動が起こっている。そのひとつフロリダ州の様子が映し出された。ペリエは有力地主から、その敷地内の池から湧き出る水を取り出す権利を得ている。その周囲では地盤沈下が起こり、住宅に被害がで、名物のかんきつ類の生育がまるっきり悪くなっているらしい。しかし男と地主は「水を取りすぎたことによる影響ではない。また個人の敷地で得られる水を取ってはいけない、という法律はない。」と平然としている。町当局は「あそこは10年間水を取っていい許可をあたえた。今7年目である。少なくとも後3年は手が出ない。」と、これも平然としている。

この男はインド政府当局に「現在インドで売られているミネラル・ウオーターはいい加減なものである。しっかりした検査基準を作り、それに合格しないものは、販売しないようにさせるべきだ。」と働きかけた。確かにひどかったらしい。水道水を詰めてそのまま売り出している業者もいた。働きかけは成功し、50に上る検査項目が突然義務付けられた。

おかげで多くの地元の零細資本のミネラル・ウオーター供給業者が苦境に立たされる。男はそのような業者を訪問し、破産か、高い検査装置を備えるか、あるいは国際業者に会社を売るかだ、と迫る。

コカ・コーラ社はこの機会を千載一遇のチャンスととらえ、市場の拡大に躍起になっている。ミネラル・ウオーターの需要急増に伴い、インド水道局自身もこのような水を製造・販売し始めた。しかし水道局が作る水の量は一定である。インドでは水道局は水道管による供給のほか、給水車による供給を行っている。そちらに回る水の量がへり、庶民の怒りを買っている。

男は「零細業者がつぶれるのは仕方がないことだ。一般庶民がミネラル・ウオーターを買えないのはわれわれの責任ではない。」とこれまた平然としている。そして男は今日も新しい水源を求めてアフリカの奥地に足をのばしたり、人工的にミネラル・ウオーターを作り出すことに余念がない。確かに男の言うことは筋が通っているかもしれないが、これではアメリカ人が嫌われるのも当然だ。

いろいろ考えさせるところの多い番組である。

ガールフレンドのAさんに話したところ「ブッシュ政権のやり方そのものじゃない。私はアメリカの行きすぎた自由主義は絶対よくないと思うわ。あの時、ゴア政権になればよかったのに。」しかしアメリカの大統領を日本人が決めるわけには行かぬ。また自由主義を簡単に否定するわけにも行かぬ。

もともと人間はそんな高級な水などはいらなかった。雨水が少し浄化されていればそれでよかった。ところが文化なるものが発展して、人間は野生を失ってきた。そして安全を考え、ひょっとしたらもっと自分自身をよわくするかもしれないミネラル・ウオーターなぞ飲むようになった。

情けないことだが、時代の流れかも知れぬ。フロリダの場合は環境保護運動を盛り上げるべきだ、地下にある水はつながっており、それはみんなのものである、という考えをもたねばならぬ、現に日本でも過度のくみ上げは禁止になっている、位の議論しか思い浮かばぬ。インドの場合は、当局が小企業保護の考えをもうすこしとりいれるべきだった、企業の検査機器導入援助、法律施行までの猶予期間の設定、段階的設定などが必要ではなかったか、くらいか。
(10月30日)