603「秋は一寸無理してマツタケ」(10月29日(月)晴れ)

先日、TVである歌舞伎俳優が「男の作る家庭料理」を紹介していた。マツタケのリゾットで、ちぎったマツタケを無造作に鍋に放り込んでいた。「金ある奴は違うなあ。」と思いながら、にわかにマツタケが食いたくなった。
マツタケ前線というのがあるそうだ。8月下旬に東北・北海道、10月初旬に京都、中旬に中国、下旬に四国・・・・・おりしも今はマツタケシーズン。
荻窪の八百屋や西友を探すが、値段が高いから余りおいていない。何しろ物の本に由れば3-4本で5万円もするとか。根がケチだからもちろん懐も勘案し、カナダ産のマツタケ3本入りを2800円なりで買い求める。・・・・ま、庶民はこの程度?

ちょっと薀蓄。皆さん、知ってますか。マツタケなどきのこは植物ではない。微生物でDNAを持っており真核生物という、と少し難しいホームページ。マツタケは、笠のひだに出来た胞子が地面に落ちて発芽。菌糸をだし、赤松の細い根につき、細胞の隙間に入って菌根を作る。木の養分を吸って菌糸、菌根は増殖し、やがて我々がいただく子実体というものを地上ににょきりと出すわけだ。赤松と共生し、やせた土地を好む。

日本では万葉集の頃から親しまれていた。平安時代には「マツタケ」の名で登場し、徒然草では鮎、きじと並んで貴人に勧める食材と紹介されている。(118段)ただし土佐日記、枕草子、紫式部日記等にはでてこない。これはマツタケが表だって口にするのをはばかられる「隠語」であったから。
マツタケは昭和20年代には今の100倍もあったのだが、40年代に起こったマツクイ虫の繁殖で松の林が減ってしまった。また石油やプロパンの登場で薪や落ち葉を燃料としなくなり、山を手入れする人が、少なくなっために腐葉土が増し、生えなくなった。その結果が現在の高価格であるらしい。

日本では長野や岡山が生産量が多い。世界的には、中国、韓国、カナダ、モロッコなどでも取れる。しかし香りは日本のものが最高という。におい成分は桂皮酸メチルエステル、マツタケオールなどである事が、すでに1940年代に知られている。このうちマツタケオールは人工的に合成できるのだそうだ。外国産のものはDNAの配列がわずか違うがゆえに、ニオイが薄いとか。タカラバイオという会社で、マツタケゲノムを解明したという。これからマツタケの成長する遺伝子を特定し、将来は人工的にマツタケが出来るようになるのかもしれない。すでにこの会社はマツタケと並んで人工栽培が難しいとされるホンシメジのそれに成功し売り出している。

さて2800円のマツタケ、我が家に持って帰ってどう料理しようか。あれこれ悩む。結局、平凡に、炊飯器にすでに白い御飯がセットしてあったが、マツタケに下味をつけて放りこむ。醤油、酒、それから昆布、本当はだし汁で米を研ぐのだがもう遅い。少し余ったからお吸い物とそのまま焼いて食った。においは・・・・・鼻をくっつけてみれば分かる。庶民はこのくらいの香りの強さで我慢、我慢・・・・。

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読者から次のようなメールをいただきました。(抜粋)

小生もカナダマツタケは味わいました。結構良いです。
しかし、今年は何とか奇跡的に「本シメジ」を手に入れることが出来ました。
昔から「香りマツタケ味シメジ」というように、確かに食べてみたら
カナダマツタケは問題ではありませんでした。
もちろん価格はカナダマツタケより高かったです。

「松きのこ」というものがあるのだそうですね。松茸の菌を使って作るのだそうです。
大体 松茸 の茸はキノコといういみですから、松キノコとは面白いなまえですね。

・・・・・以下は私の返信

いや、まったく知りませんでした 。知っていたのは松たかこくらい・・・・・・・。
インターネットで調べたら松なめこというのもあるのだそうですね。お値段、形状はどんなのもなんでしょうか。
そいつも赤松の根に生えるんですかねえ。

・・・・読者氏

この前テレビで見たのですが、松きのこは外見上は松茸ににています。小生も現物は味わったことが有りません。
其の会社は松茸を作りたかったのですね。テレビによると遺伝子配列がほんの少し違うだけだそうです。