海上自衛隊によるインド洋での給油活動の根拠法であるテロ対策特別措置法の期限がきれ、派遣部隊に撤収命令が出された。政府は給油活動を再開するための新法案を今国会に提出しているが、野党は反対しており、短期成立は困難な状態だ。
この撤退、米国や米国とともに海上活動を行っている国は渋い顔をするだろうが、当面は何も起こるまい。米国も、日本の給油活動は重要であるけれども、次善の策は考えてある、との口ぶりだ。しかし長期的な目で見れば、日本の国際的信用と言う観点からも、テロ防止と言う観点からも問題である、と思う。日米安全保障条約に基づく在日米軍が撤収してもすぐには問題が起こらないが、日本の安全は骨抜きになる。そして一旦事があった場合には、どういうことになるか。そういう問題と似ている。
1日の日本経済新聞の1面にあった「国際的な孤立さけよ。」とする編集員秋田氏の評論は的を得ているように見えた。抜粋してみると
「小沢氏は「米国は非常に孤立主義的な傾向が強く、他人に制約されるのを嫌う。わがままだ。今のやり方では(日本は)米国の軍事作戦に従って、世界中どこに行ってもよいことになってしまう。」として、派遣の判断基準を対米配慮でなく、国連のお墨付きがあるかどうかを判断基準とするよう要求する。」
この延長で小沢氏は「国連の要請があればアフガンに派兵することもある」と主張し、「それは憲法9条に違反する。」と主張する自民党と対立した。もちろん自衛隊の派遣など一切なく、平和だけは担保したいという共産党や社民党が驚いたのは承知のとおり。ふたたび記事の引用を続けると
「この対極にあるのが、小泉純一郎氏が首相当時に敷いた日米同盟優先路線である。根底にあるのは「日本が武力行使をうけたとき、役に立つのは国連か米国かといったら明らかに米国だ」と言う現実主義である。」
「だが「ねじれ国会」での討論はいっこうに深まる兆しがない。相次ぐ不祥事で給油活動継続のための新法案の審議に陰を落としている政府の責任は大きいが、給油の代わる国際貢献策をいまだに法案化できないでいる民主党の姿勢も問われる。」
そのとおりである。
日本の安全保障の機軸をどこにおくかは、政治家はもちろん国民一人一人が今こそ自分の問題として考えなければいけない問題である。
それには極東を取り巻く米、中、ロ、さらに南北朝鮮の力学が日本にどのように影響するかを考えなければなるまい。
北朝鮮は何時爆発するか分からない。そうでなくても南北統一の動きは無視できない。喜ばしいことに見えるが、日本にとっては、隣に強国が突然出現することになる。中国もこの記事にあるように「水とエネルギーの不足、少子高齢化が深刻だ。内部がもろくなった中国はやがて余裕を失い、対外的により強力に出かねない。」ロシアはロシアで、日本が拉致問題などで手をこまねいている間に、北朝鮮の懐深く食い込んでいる、と聴く。さらに何となく落ち着いて見えるが台湾問題・・・・・。
こんなことを考えると、この記事の最後近くにある以下は、正しいと思う。
「やみくもに対米追随に走れば、歯止めなき自衛隊派遣に繋がると言う懸念はある。だが国連安保理常任理事国である米、中、ロの外交戦が激しくなれば、寄り合い所帯に過ぎない国連の機能はさらに鈍る。日本が優先すべきなのは、国益を確保するために日米同盟のタガを締めなおすことであり、その上で国連のあり方を議論すればいい」
そう、大切なのは国益だ、それを守るために日本はどう行動すべきか、そこのところをもっと国会で正々堂々と議論して欲しいと願う。
註 ご意見をお待ちしています。
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読者からメールをいただきました。
A氏
本日(4日)の小沢さんの会見をご覧になりましたか?
民主の主張に同調して、
福田さんも国連議決の下でなくては、自衛隊を動かさないみたいですネ。
私は、小泉決断はやはり嫌いでしたので、
この方向は好きですが、貴兄の言うように、
肝心なところで、国連がわが国の安全に機能するとも思っていません(^^;)。
当然、アメリカも、自国の利益無く、日本のためには動くわけは無く、
どちらが守ってくれるかの天秤は本当は無いわけで、
鎖国しても生きてゆこうとする気迫が国民にあるかが基本だけど、
食糧自給、エネルギー貧窮の耐乏生活に我慢できる人はほとんどいないので、
まあ、流れのままにうまく漂うほかありませんネ(^o^)。
「破滅の美学」に走らないよう制御できるかが、
常に「日本」という国の最大の問題じゃないでしょうか?
「今、生まれてきた子供が幸せになれると思う?」と、
孫を作らない子供たちに囲まれ、
「墓は要らないので、散骨してくれ」と遺言している私にとって、
先日の三菱重工の戦闘機離陸テスト事故で失った120億円の無駄からも、
防衛ということはあまり重点におかず、
日本のすばらしい自然との調和に政治は力点をおいてくれたらと思うだけです
(^o^)。
B氏
いつも貴君のメッセージ拝読しています。
会社にいる時にはこんな政治的な話は全くしなかったように記憶していますが、考え
方はほぼ同じですね。
「国益」の定義はなかなか難しいとは思いますが、「国」と個人(国民)とが利害相
反するという立場の人とは所詮意見があわないと思います。
古代の部族の抗争の時代から現代の国家、民族(宗教?)闘争の歴史を見ても、国民
をいかに守るかという命題はすごく難しく、理念的な「平和」とはかけはなれた極め
て現実的な対応を迫られていると思います。インド洋におけるわが国の補給活動は、
現憲法下でできるぎりぎりの国際貢献だと思います。国益にかかるこの問題を政局に
してはいけません。内政問題では大いに議論し健全な財政のもと国民のためになる政
策を遂行すべきですが、外交政策を党利党略にすることは納得がいきません。それこ
そ国益で一枚岩になるべきでしょう。日米同盟がすべていいとは思いませんが、大東
亜戦争を強いられた根源的な原因は米中同盟であったと私は思っています。太平洋を
囲むアメリカと中国、日本はトライアングルです。単純ですが、基本的には民主主義
アメリカを友軍とするか、反日を国家政策とする共産党独裁の中国と結ぶか、結論は
おのずから明らかだとおもいます。
C氏
小沢さんは急にやめると言い出しましたね。これは何かの権謀術数なのでしょうか。
孫子の兵法を学んでいるのでしょうか。