623「日経記事「YEN潮流」に思う」(1月8日(火) 晴れ)

元旦以来、日本経済新聞が「YEN漂流」なる記事を載せている。
サハリンの日本食レストランは今は裕福そうなロシア人たちでにぎわっている。サハリンプロジェクト関連の社員や高級官僚たちで、刺身やステーキなど値のはるものをドンドン注文する。逆に日本人は、1200円のカツ丼などで満足している。
中国人も購買力を急激に上げている。彼らは、海外に自由に持ち出せる外貨は一回の旅行で5000ドルと上限が定められている。しかしカードを使えば預金が底をつくまで使える。銀聯と言うカードが大流行で、これを使って100万円を越す買い物をするものもざらだ。
「日本向けセカンドライン」。ヨーロッパのメーカーは、本来は8万円もするスカートを、日本向けに3万円で売り出したが、それでも売れず2万円に下げるなどしている。これもユーロ高がもたらした現象。日本人は、欧米の高級ブランドを現地の人が驚くような値段で買い取って世界を驚かせた。その面影は今はない。

かって日本人が退職後に物価の安いスペインなどで優雅な老後を過ごすよう薦めた「シルバー・コロンビア計画」の北畠次官は、「退官後は天下りなんかせず、スペインに移住する」と公言してきたが、今悩んでいる。「ユーロ高に物価高も加わって、スペインの住宅購入費生活費も日本の2倍、住宅ローンも残っているのに優雅な生活どころではない。」
そしその極め付けが、4で紹介された元公務員(79)である。
彼は50年以上続けてきた日本株投資をやめた。持ち株全てを売り払いBRICs、東南アジア,東欧など新興国中心の外貨建て投資信託を購入し、今では年金以外の金融資産はすべて外貨建てだ。「少子高齢化が進む日本の将来に期待が持てない。この町を見れば分かる。勢いがあるのは外国だ。」若者が次々去り、景気もさえない。国や自治体の借金も一向にへらない。この国はお金を安心して託せる地ではない・・・・。

ただ、この記事もどこまでが真実で、どうすればいいか、と言うところには踏み込んでいない。少し、自分なりに考えて見たい、と思う。
円の今後について二つの見方がある。長期に見れば少子高齢化で日本の国力は衰えて行きそうだ。日本は諸外国にくらべて非常に低い金利政策を取っている。これが円キャリーを生んでいる。これらは円が安くなると予想される原因で、つい半年前までこの方向で進み、FXトレードなど行って金を儲けた人も多かったようだ。
しかしサブプライムローン問題で事態は一変した。遠い将来はともかく、今、国全体の企業業績が高く、通貨として安定しているように見える円を買おう、と言う動きである。そのために円は大きく値上がりした。仮に内外金利差がなければ、1ドル80円台でもおかしくない、という評論家も現れた。実際欧米の物価高、逆に言えば日本の物価安は、記事でも指摘されたとおりだ。前者の論が当たるとするなら持っている資産は外貨に変えるべきだが、後者なら変えないほうがいい。さらに米国やEUにも危機が訪れないだろうか。東南アジアやアフリカ諸国ともなると、むやみに飛びつくのは危険。明日は分からぬ。

もう一つ考えるべきなのは、こういった外貨による資産運用を証券会社も銀行が勧めているという点だ。株式売買に伴う手数料競争が厳しくなってきた。一方外貨は貨幣を変更するだけで、投信は運用するだけで多くの収入が得られる。顧客に株式投資を止めさせて、こちらを勧めても企業戦略として不思議ではない。日本の株式相場の低迷は銀行・証券会社自身がもたらしているのではないか、と疑いたくなる。

さらに日本の長期的な国力低下についても疑問が残る。東南アジア諸国やアフリカなどに比べれば、相対的な力の差は埋まって行きそうだ。しかし米国やEUと比べてどうなのだろう。少子高齢化をフランス等は克服している、と言うのなら、日本もその努力をすればいいではないか。子供を育てやすい環境を作ればいい。また中国もこれから少子高齢化の問題に悩むはずである。

いづれにしても自分の資産の管理はすべて自己責任、みなさんはどうされますか。

追記 「YEN潮流」はまだまだ続いており面白い。特に8の「「CO2本位」時代・・・排出権ビジネス乗り遅れ」は、これからの日本の大きな問題を指摘しており興味深い。

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