日中でさえ、5度くらいにしか上がらなかった。この冬一番の寒さ。たまらず朝晩はストーブのお世話になった。
ガールフレンドのAさんに誘われて「レンプラントの夜警」なる映画を見てきた。街に出て気がついた。今日は成人式の日なのだ。新装成った杉並公会堂周辺、あるいはそこをめざして、あでやかな振袖姿、それに揃いも揃って白い大きなショールに身をつつんでしゃなり、しゃなりと歩いてゆく。何かお祭りの山車パレードを思い出す。
ただ、このように言えば格好いいけれど、普段着付けぬものだから、ヨチヨチ歩き。間尺に会わぬと小走りする女性もいる。振袖の模様はみなそれぞれきれいだけれど、何か画一的な気がする。髪型もそのままであったり、くるりと丸めた現代流であったり。その上、しゃべる言葉が我々からみれば何ともひどい言葉だ。
それでも考えてみれば彼らは今日は相当早起きしたに違いない。自分で切られるものは少なかろうから、美容院に行って大急ぎで着付けたに違いない。
Aさん曰く「学校の授業は遅れるのにこういう式は絶対に遅れない」
このお洒落をするには随分金も時間もかかるだろう。しかも大体は親の金?
現代は、和服を着る機会が極めて少なくなってきている。
新年になる和服姿の女性をいつも期待するが、今年あたり町ではほとんど見かけぬ。
だから高い金を出して買っても着るのは、今日だけなんてことになりかねない。
それでもなぜ成人式には和服を着たがるのか。もちろん、自分の制服は和服だ、と主張できる人に文句をつけるつもりはない。しかしそうではない人が多いように思う。
「結局は同姓に対する対抗意識よ。」とAさん。
どうせ公会堂でやる儀式である。彼らがきらう権力者のちょっとしたお説教をきくだけではないか。会社の上役がいるわけでもいない。卒業式や入社式みたいに個人にとって公的な行事と言うわけではない。
それでここまで張り切るのは、和服を着ていると私も含めて男どもがつい振り返る。
みんなが振り返ってもらえるのに、自分だけ無視されるのは面白くない。
それに成人式には同世代の若者が集まる。そこでも威張りたい。
それだけのことで、そこ日本的精神が宿っているなどと考えたら大間違いになりそうだ。
若者は長いものには巻かれろ、ではなく明確に未来を目指して欲しい。
原宿でお姫様をやりたければその姿で来ればいい。ロック歌手にあこがれるならエレキギター片手に擦り切れたジーンズをはいてきたっていい。みんなが振り返ること間違いなし!根性があるなら誰が何と言おうと私の制服はスーツ、と押し通すのもいい。
ついでに言うと男も羽織袴なんかで来るな、と言いたい。こちらも多くはイタについていない。男の制服はサラリーマン社会ではスーツで来るのが標準だ。しかし別の夢を追っているなら大工の着るツナギできたっていい。要はみんながやるから、みんなに負けたくないから、という大衆迎合的な考えからが私はどうも気に入らない。
これから日本にどんな事が起こるか、とても予想出来ない。とにかく変化は急激、しかもドラステイックになりそうだ。しかも国際的には日本の相対的な地位の低下がささやかれている。地球環境問題、食料、資源、エネルギー、水等は人類全体の問題。これらも負けず劣らず大変であろう。残念だが繁栄し、安定した社会は期待されているけれども、とても補償できぬ。そんな中で結局若者には自分で自分の道を切り開いてもらわねば成らぬ。古い、身についていないものにしがみつくような態度はもう止めにしたほうがいい。
最後に「じゃあ、和服姿の女性はお嫌い?」・・・・・いえ、それは大好きなんですけれど・・・。
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