日銀総裁人事で、白川氏の昇格は認められたものの渡辺氏の起用は不同意となった。
その後を受けての福田首相と小沢代表の党首会談。いつもは役人のようおとなしやかに答弁する福田首相めずらしく感情むき出しで怒り、興味深かった。
小沢代表が質問を仕掛けると、それを制するように「今日の日銀総裁人事不同意について党首の考えをうかがいたい。」と切り出す。
「これで不同意にした人物は4人ですよ。」と手でしめし「人事権は政府にある。よほど変な人事でなければ、認めるのが国会人事だ。いくら一方で過半数を占めているからと言ってひどい。民主党のこういうやり方を権利の乱用というんですよ。」
さらに「責任ある人を出してください。」とも言う。これには裏がある。幹部会議で「先に武藤氏などを財務省出身である、と言う理由で否定したから、渡辺氏も否定するべきだ。」とする小沢氏等と受け入れようとする鳩山氏等が対立した上で、民主党は不同意を決定した。しかし自分自身が賛成であったものだから、鳩山氏は福田首相に「認める方向」と話したらしい。首相が誰を信用すればいいのだ、という気持ちになるのは当然だ。
この迫力には小沢代表のいう「財務省出身だから行けない、と言っているのじゃない。既得権益のようになっている事がいけない。」の主張もかすんでしまう。日本の現状を問題にしている様子をとりながら、まさにご都合主義にうつる。
小沢代表が「昨年の参議院選挙でわが党が過半数をとった。潮目が変ったと認識して欲しい。政策決定についても最初から一緒に議論させるべきだ。」といえば
「一緒に議論しましょう、と何度も申し入れているではありませんか。それを拒否される。それに民主党の決定はいかにも遅いのですよ。遅すぎる!」と切り返す。
道路特定財源の問題について、小沢代表が「首相が一般財源化するといっても、自民党が正式に決定したわけではない。そういう話にはのれない。」といえば「必要なら出来るだけ早い時期に決定しますよ。」その裏には首相の私がいっているのだ、信用できないのか、と脅かしているようにも聞こえる。
福田首相の感情むき出しの議論に対し、小沢代表は妙ににやにや笑っている。一般受けを意識して温厚な様子を演出しようとするが、何か馬鹿にしているようにも見える。
小沢代表は時間の問題もあり,次々と話題を変え、最後はチベット問題と北京オリンピックの関係にまで言及したが、時間切れとなった感じ。福田首相はまだ何かいい足りない様子で野党をにらんでいるようにも見えた。
さてこの議論、私は、福田首相に軍配を上げたい。男は時に怒っていい。いつも大人しくばかり心がける必要はない。福田首相という人は、答弁等の様子から見ると、内向的で、サラリーマン的まじめさのある人間のように見える。主義主張はもちろん大事だが、まず目前のやらなければならないことを一つ一つこなしてゆく。イデオロギーにこだわらず、状況とみなの意見を踏まえて進める感じに見える。そういうまじめ人間からみて最近の民主党のやり方が耐えられない、と言うのだろう。しかし一方では実務第一の首相は、はっきりした意見をもたないように見え、ここにあげた問題に加え、年金問題、防衛省、国土交通省、厚生省関連の各種問題発生とあわせて「何をやろうとしているのかわからない。」と多くの人に言わせるのだろう。
今内閣支持率はドンドン下がっている。もう20%台とも聞いた。しかし政党支持率はむしろ自民党がのびて、民主党は減っている。結局国民は、政府に実行力がない、と感じる一方、民主党が政権をとってもろくなことにならぬ、と感じはじめているのではないか。
自民党の中にはもう解散しかない、と考える一方、福田首相の支持は今が最低、そのうち持ち直す、と考える人もいるようだ。色々政策も考えもあろうが、もっとも重要なのは日本は現在苦しい立場にある、これを何とかしなければならない、という使命感だ。後者に期待したい。福田首相、頑張れ!
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読者から次のようなメールをいただきました。
福田さんという人は
区役所にいる戸籍係の小役人のイメージです。
何か冷たくしらけて小泉さん安倍さんのような情熱が
感じられません。要するに夢のないひとと写ります。
でも今回怒ったのは矢張り感情はあったのです。
意外な面を見たような気がしました。
戸籍係でも怒るとああなるでしょうか。