自動車の輸出が過去最高を記録した。しかし国内の需要はずっと減り続けているのだそうだ。
「ここまでガソリンの価格が上がりますと、みな自動車に乗らなくなりますよ。実際自動車用ガソリンの使用量が数パーセント減少しているそうです。自動車産業は実に多くの産業に影響し、景気もこれで左右されるのです。ガソリン税が廃止されて又復活、こんなとき自動車業界も何か言うべきじゃないのでしょうか。」
と株式評論家。彼が気にかけるのは自動車メーカーの株価である。
原油価格はバーレル130ドルを越えたとか。昔の記憶がはっきりしないからわからぬが、2倍以上になったのか。自動車用ガソリンは、1年少し前にはリットル大体100円だったように記憶する。今170円、2倍までは行かぬがそれでも大変な値上がり。自動車用ガソリンは原油価格の価格上昇をそのまま跳ね返しているわけではない。店頭に並ぶまでには、原油価格とは関係のない精製費用、為替差、税金などがかかるからだ。
原油価格の上昇の影響は自動車にとどまらない。ガスや電気も値上がりするし、衣料、食料品な度あらゆる分野で影響が出始めている。
原油価格の、株式市場の低迷などで世界の余剰資金が流れ込んでいるためだ、という。生活の元になるものを投機の対象にして遊ぶなどけしからん!しかも消費国が騒いでもOPECに代表される産出国は量的には十分である、などと言って、一向に増産しようとしない。自分たちが儲かるからそれでいい、と思っているのではないか。
しかし私は一方でこれこそ日本人が、しいては人類全体が石油というものに成り立った文明を見直す機会ではないか、と思っている。
昔から省エネルギーという運動があり、声高に叫ばれてきた。お役所も、電力会社、ガス会社も、個人もみんな大賛成と言って口をそろえた。しかし私は誰も本当は真剣に考えていなかったんじゃないか、と思う。何かの小説にある国際会議で「アジアの貧困を議論するために出席者たちは、キャビアを食べシャンパンを啜りながら議論した。」という下りがあった。あの伝ではなかろうか。本当に省エネルギーを推進しようとするなら、エネルギーに関する税金を倍にするくらいのことをすればいい、と思うのだ(*)。
今まで人々は便利であるがゆえに石油を無駄に使うことに何の抵抗も示さなかったように思う。歩いてゆくより鉄道で行くほうが便利だ、鉄道で動くよりは自動車で行くほうが便利だ、とどんどんと便利さ、快適さを追求し、資源のことは無視してきた。
自動車だけで見ても、加速性能がよいからと、排気量の多い車が好まれてきた。いつか自動車のガソリンの使用量を見ていて面白いことを発見した。燃費、つまりある距離を走るため個別の自動車のガソリン使用量は年々減っている。ところが1台あたり全体で見ると増えているのだ。これは人々がより大きな車に乗るようになるから、と気がついた。
輸送ということだけを考えるなら、小型車で大抵は大丈夫なのだ。大体至近距離なら歩いていけばいい、バスや鉄道を使えばいい!
石油はいつかなくなる。どのくらいで無くなるか。ある資料によると、石油の可採年数は1989年時点であと40年だったそうである。数字は変わっているのかもしれぬが、いずれ近い時期に石油不足の時代が来て、値段が今回のように又上がり続けることは十分に予想される。
石油以外にも石炭、ウラン、天然ガスなどのエネルギーがある。それをあわせれば、まだ100年くらい持つという話しもある。
他エネルギーへのシフトとあわせて、自然エネルギーの見直しが必要だ。自然エネルギーは、今まで利用の必要性が叫ばれながらそれほどには推進されなかった。理由は簡単、一般的にはそれを使う価格、不便さ等が石油より大きいからである。
近頃の原油の値上がり、それに伴うガソリンなどの値上がりは、天が我々に「エネルギーの使い方を考え直す機会を与えているのではないか、便利さのみを追求することを考え直し、個人個人が省エネルギーを真剣に考えるべき時代に来た」と告げているのではないだろうか。このようなことを言うと、ガソリン税議論のようにひどく多くの反対論が出てくる。しかしものの本質を見誤った、自分の利益だけに動かされたような意見は、たとえ民主主義の世の中とはいえ、押さえることもやむをえないと思う。
(追記)通信の585で私は「電力の使用量を大幅に下げ、しかも東京電力も、わずかだがその会社の株を持っている私も大満足するする方法を伝授しよう・・・・・電力料金を2倍くらいにあげればいいんです!」と書いた。今も私の考えはこれに近い。
註 ご意見をお待ちしています。
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読者から次のようなメールをいただきました。
阿笠さん
お元気のようですね。いつもagatha読んでいます。
私も、最近の石油、穀物をはじめ資源の高騰については疑問を感じています。
昔、経済学では物の値段は需要と供給のバランスで適正水準に落ち着くと教えられました。
経済のグローバル化でより適正な価格設定ができる、規制緩和をしないと世界に立ち迎えないとの議論が正統派でした。
しかし、現実は必ずしもそうではないのではないか、というう感じがします。
金融資本主義というのでしょうか、金の力で物の値段(金融商品はいうに及ばず)を左右する時代のようです。
基本的には金余り(過剰流動性)現象でマネーゲームの弊害が顕著のように感じます。
アメリカは世界帝国の覇者として、いろいろ正しそうな理屈をこねて、世界のマネーゲームを仕切る胴元で生き延びている感じすらします。
食糧生産が過剰な時は、自由貿易の旗印の下に、輸入を迫り、食糧不足になると国益の下に輸出規制をする。自由貿易とはいったいなんなでしょうか?
古典的な経済学は今やお経見たいなもので、大砲(武力)ではなくマネー(金融システム)で世界を支配する時代ではないのかなと危惧をしています。
いずれにしても、我々年金世代にしては対応が難しい時代になりますね。お互い被害を最小限に食い止めて老後の自人生を楽しみたいものですね。
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