672「久しぶりに株主総会に出席」(6月28日(土)曇り)

株主総会を一部総会屋が握っていた時代は終わった。全体としてみれば、会社の状況を一般の株主にも知ってもらおうと立派な会場を用意し、多くの株主に呼びかけ、お土産を持たせたり、懇親会を開くところまで現れた。特にここ2,3年はファンドなどが新しい取締役を認めなかったり、配当政策の変更を求めたりするようになった。その結果ますます会社は、一般株主を味方につけたい、との思惑もでるのか、総会出席を歓迎するようになった。
ただ会社側のスタンスは、まだばらつきがあるように見える。一方はこの際情報をオープンにし、株主の意見にも耳を傾け、できれば将来の会社経営のヒントを得たい、と積極的に考える会社。当然このような会社は株主総会を祭りの一種くらいに考えるかもしれない。もう一方は会社とわが身を守るために1年に一度乗り越えねばならぬものと防衛的に考える会社。こちらは経営不振であったり、のっとりや不祥事の暴露におびえたりする会社だ。今回出席した三社は、それぞれを代表しているようにも見え興味深かった。

個人として、できるだけ株主総会に出席するべきだろう。株主になることは、その会社を経営する一員になったようなもので、会社に関心を持ち、会社を愛することを多少なりとも要求される。そこまで杓子定規に考えなくてもその会社の現状、将来、株価動向等を知る重要な機会を提供してくれ、その後の投資判断にも役立つ。

25日はバブル期の杜撰な経営から一時期倒産寸前にまで追い込まれたA商社である。少し有力な他の商社と合併し、10分の1減資まで行い、ようやく生き延びることに成功した。しかし今期の業績は悪くない。売り上げは前期に対して10%以上の向上、当期純利益は600億円強、このうち100億円近くを配当に回す余裕振りである。
商社の規模として8位に帰り咲いたそうである。機械・宇宙航空分野、エネルギー・金属分野が強い。それぞれの分野で実績を上げているようだ。加えて将来を考え、石油、石炭、鉄鋼石などとともに、ポルトガルでタングステンの鉱山の権益を獲得した。
株主からは配当性向の悪さと株価の低迷を指摘する声が上がった。「株価360円、配当8円といっても10分の1減資を考えれば、それぞれ36円、80銭ではないか。」と酷評する者もいた。しかしほとんどが損を被っているにもかかわらず、夢も垣間見え、全体なごやか。
総会終了後会社幹部が出席して懇親会まで開かれた。少なくとも会社の自信とオープンな雰囲気を作ろうとする努力は感じられた。あるおばさんが「この調子ではこの株をもう1年持ち続けることになりそうだわ。こういう会に出席するのは初めてなのだけれど、会社の雰囲気が知りたかったのよ。」そういう意味ではなかなか成功した株主総会か。

26日は光ファイバケーブル、電力ケーブルなどが有力なB社。2001年に米国の有力な会社の光ファイバ部門を買収したが大失敗、経営が苦しくなったことは記憶に新しい。
グループ全体の売り上げは1兆2000億、前期比700億増とまずまずである。しかし原材料費の高騰や為替変動、サブプライム問題などが影響してか、単体の当期純利益は100億円で前期比33%減である。それでもわずかに増配、配当性向も50%近くで、努力はしている様子。しかしこの会社は、株主総会は当期の業績のみを説明する会と思っているのだろうか。将来に対する明るい夢のようなものが聞かれない。

27日は明治初期に創業され、電信電話公社とともに成長し、70年代後半から全自動支払機、プリンタ、半導体、などの事業を次々展開したC社。しかし90年代半ばから他メーカーとの争いに敗れ経営不振。連結売上高は7000億余り。情報通信システムが3500億、半導体が1500億、プリンタが1900億、その他である。当期純利益は6億弱で、無配を継続する。
会社は半導体部門を分社化し、その株式の95%を他社に譲渡する計画を立てている。財務体質改善のためのやむを得ぬ措置なのだろう。今回は通常の案件に加え、この件の是非を問うものである。会場では分社化で切り離される工場の関係者等が、次々発言し、野次を飛ばす。「八王子工場の売却は経営陣の責任放棄だ」「職場ではいじめ問題が起こっている。」「上司は社員の声を握りつぶしてばかりいる。」「役員は赤字企業にもかかわらず10人で3億もの役員報酬を得ている。厚顔きわまりない。」「2期連続赤字の会社がこんな贅沢な会場を使っていいのか。」「役員、社長はすぐにやめろ」一般株主からは「議事進行!」「聞こえない!」「静かにしろ!」「黙れ!」などの罵声が飛び出す。すると彼らはこちらをにらみつける。
議事は一時中断され、数名が会場から排除される。すると議長はすぐに再会を宣言し、動議を根拠に議案採決に移り閉会にしてしまった。

最後に株主総会出席というのはよい経験だが、集中しているから多くは回れない。そこで提案、みなさん、私と総会に出席した状況、感想などの情報を交換しませんか。

註 ご意見をお待ちしています。
e-mail agatha@bekkoame.ne.jp
home-page http://www.bekkoame.ne.jp/~agatha

読者から次のようなメールをいただきました。

実は小生がすこし持っているある会社の株なんですが、この前の金曜の総会で
取締役がすべて首になりました。オーナー家に嫌われたのでしょうか。
この会社黒地を続けておりましたが、経営陣の総入れ替えです。
首切りの理由は株価が低迷している事と新聞で読みました。すると
新経営陣の使命は株価の高揚でしょうか。それだとありがたいのですが、
月曜日からどうなるか楽しみです。社内のごたごたの後遺症でどんどん下がるような
気もしますが、どうなるでしょうか。