ある漫才師が、地下鉄をどうやって地下にいれたのか悩んだように、私は今悩んでいる。ファックスのインクフィルムを使い切り、新しいものを買ってきた。取り外した古いインクフィルムは可燃ごみか、どうか・・・・・。
日本経済新聞5日付の「これ、可燃ごみだと思う?」は面白かった。
プラスチック製おもちゃ、ビデオテープ、ゴム長靴、アルミホイル、家庭用ラップ、ペットボトルのふた、乾燥剤、保冷財、入れ歯、ストッキング。これを焼却ゴミとして収集するか、焼却しないゴミとして収集するか、資源ごみとして収集するかについて、札幌市から福岡市まで12の自治体に聞いている。答えは、結構まちまちで、統一が取れていない。
ウエブサイトなどで調べると、乾燥剤は大体シリカゲル、生石灰、塩化カルシウムなどが使われている。とてもプラスチックとはいえる代物ではない。アルミホイルは当然アルミニウム。ビデオテープは大半はプラスチックであるがテープの表面には酸化鉄粉が塗布してある。保冷財、入れ歯は、ちょっと分かりにくいがプラスチックである。しかし一般の人は、いわれたとおりに分類する以外に手はない。
知識不足も手伝ってプラスチックゴミにそうでないものが入ってくる可能性が相当に高い。それに仮にプラスチックであったとしても、種類が極めて多岐にわたっている。雑多なものを一つのものと回収して、その後どうするのだろう。民間業者に委託して再分類するのだろうか。そういえば行政からゴミを貰い受けてそれを再分類している工場?を見学したことがある。身障者を非常に安い値段で雇用して作業していた。
考えているうちに疑問がだんだん膨らんできた。そこで、この4月あたりからゴミの区分を大きく変えた、わが杉並区について調べてみることにする。
新基準では、あのプラマークのついたものをプラスチックゴミとして回収している。ボトル類、カップ類、袋・フィルム類、トレイ類、緩衝材類、パック類、その他である。ただし「中身を残さず、さっと洗い、汚れの取れないものは可燃ごみへ。」とある。容器包装以外のプラスチック製品、ボールペン、歯ブラシ、CDケース、ビデオテープ、バケツ、おもちゃ、カード類、プラスチック製ハンガー、スポンジは可燃ごみになる。またPETボトルは、別に分類して回収することになっているから論議の外とする。
予備知識を仕入れた上で杉並区に電話をしてみた。
プラスチックゴミは、中間処理施設で手選別により不適当なものを取り除き、1メートル立法のキューブに圧縮する。(板橋区にある新日鉄、大谷清運と言っていた。)その後に川崎のJFEに送られ、コークス炉に入れられる、コークス(20%)、コークス炉ガス(40%)、炭化水素油(タール)(40%)に変えられる、という。
「要するに鉄鉱石を加熱するために燃やしているのだね。サーマルリサイクルか。」と聞くと
「ケミカルリサイクルです。コークスなどの新しい物質に、科学的に変えられています。」
「清掃工場で燃やすことに比べて、どんな利点があるのか。」と聞くと
「二酸化炭素の削減に役立っています。」と答える。
ゴミ清掃工場で燃やす分が減るから、二酸化炭素の削減に役立っているというのだろう。後から、「ゴミを燃焼させるには、都市ガスなどの補助燃料がいる。プラスチックゴミを抜いたことによって、清掃工場で燃焼させなければならない都市ガスの量が増えるのではないか。」と考えた。そこでもう一度電話してみたが「使用量に変わりはない。」と主張する・・・・・。
植木鉢や道路標識その他に利用できると思っていた私は、なんだかだまされた気がした。しかし日本包装リサイクル協会のホームページ等を調べたところ、容器包装リサイクル法では、その他プラスチックの再商品化は「プラスチック原材料等(最優先)、油化(液体状の炭化水素類)、高炉還元(コークスの代替品)、ガス化(一酸化炭素、水素等)、コークス炉化学原料化」としている。従って杉並区の方法は現状の技術では決して間違ったリサイクル方法というわけでない、とわかった。
別のページに、JFEのコークス炉でのプラスチックゴミ再利用フローが掲載されていた。塩ビを取り除いている。昔、よいコークスを作るために塩素が問題である、と聞いたことを思い出した。包装容器をきれいにして出すように、ということは、塩分を消費者レベルでできるだけ塩分を取り除いてもらいたい、ということなのだろう、と考え、これも得心。
ただ納得したけれど、杉並区は今のやり方に満足しているのだろうか、それならなぜこのようにリサイクルしていると、区報などで宣伝していないのだろうか。
(参考)
「PETボトルのリサイクル」(7月8日(火)(曇り))
昨夜は、寝付けなくて遅くまで起きていた。TV東京「ガイアの夜明け」でペットボトルのリサイクルの話をしていたが、先日のプラスチックのリサイクルの話とあわせ興味深かった。
PETはポリエチレンテレフタレートの略で化学的にはエチレングリコールとテレフタル酸の脱水縮合によって作られる。衝撃に強い、薄くできる、透明性、加工が容易など多くの利点を持っているため、広く使われ、製品としても安定しているためリサイクルに向いている。
しかしこのペットボトルも、容器包装リサイクル法ができた頃、厄介者であった。そこでそれを処理するために、消費者、自治体、事業者それぞれの役割分担がきめられた。いわゆるリサイクルのチェーンである。
・消費者は、分別収集。決められた方法で出しましょう。
・自治体は、分別収集、中間処理。廃棄物(ごみ)の収集と処理、および保管を行う。
・事業者は、再商品化。分別された材料から再商品化(リサイクル)を実施する。
平成9年4月からスチール缶、アルミ缶、紙パック、ガラス瓶、それにPETボトル(飲料、醤油、酒類)が分別対象の収集となった。
12年からその他プラスチック容器包装、その他紙製容器包装、段ボールが加わった。18年からリサイクルに偏ることなく、リデユース(軽量化)、リユース(再使用)の全国的推進、社会全体のコストの効率化などが決められた。さらに20年には回収するPETボトルの範囲が広げられた。これらの流れは、自治体で集めた後、日本包装リサイクル協会が取り仕切る。
法の精神に照らせば、現在PETボトルは自治体から日本包装リサイクル協会を通じて事業者に渡され、処理が依頼される。事業者には無償で提供され、さらに処理のための費用まで自治体から払われるらしい。
ところがこの間に世界の情勢は大きく変わった。PETボトルは石油価格の高騰と共にその重要性を増したのである。現在PETは石油から作った場合1キロ150-200円だが、リサイクルの場合80-120円でできるという。特に中国がリサイクルペットボトルを求めるようになった。業者は日本の自治体を訪問し、高い値段をオファーする。習志野市を紹介していたが、日本の業者が42円に対し中国人業者は46円を提示していた。このときに回収ペットボトルは洗浄されているか、キャップがとってあるか、などによって値段が異なるそうだ。
市にしてみれば、今まで処理費用を払っていたものが金になるのである。利用しない手はない。それもできるだけ高い値で売りたい。日本包装リサイクル協会はあせっているようだ。このままでは日本のリサイクルチェーンそのものが壊れてしまう。しかし自治体に交渉に行っても多くは決裂、習志野の場合は会おうともしない、ということだ。
海を渡った中国の工場には、世界各国からPETボトルをはじめリサイクル製品が集まってくる。それらはトラック単位で取引され、工場に直接運ばれる。溶融され、ぬいぐるみや蒲団の中身に変わり、そしてまた世界に輸出されるのである。その影で、包装リサイクル法を当てにして作られた日本の工場は原料が入ってこなくなった。結果は倒産、工場売却・・・・・。
日本で起業したある中国人業者の様子が紹介される。彼は見本市に来たお客を頼りに日本中を回っている。ゴミの山が宝の山に見えるそうだ。実は古紙でも同じようなことが起こっているらしい。多くは段ボール箱の原料となる。
石油価格が下がったり、人件費が上がったりすれば、PETボトルのリサイクルシステムが再び脚光を浴びるかもしれない。それを考えれば、自治体が目先の利益だけで外国にPETボトルを流すのは問題である。しかし当面は止められないような気がする。
一方で日本の業者の中には起死回生をねらうものもいる。
大阪の業者は、口からペットボトルを入れると、粉砕される様子の見える簡単な装置を開発した。
それを小学校に持ち込み、子供たちのリサイクル教育の一環にとおいてもらう。
見ていて面白い上、入れるとコインが出てきて、それを集めると景品までもらえるとあって人気は上々だ、という。同じような機械は中国でも開発されていたが・・・。
また最近PETは、マテリアルリサイクルに加え、化学的手法で分子レベルまで分解するケミカルリサイクルが認められるようになった。後者ではナフサから作るのと遜色のない製品が作られる。こんなところに日本独自の活路を見出すものがでて来るかもしれない。
なお問い合わせてみたところ、杉並区に限って、PETボトルは、中間業者(栄和清運といっていた)がボックス化し、JFEに運ばれる。ケミカルリサイクルをしているかは不明だが、少なくとも中国に回っていることはない、と言うので少し安心したけれど・・・・。
註 ご意見をお待ちしています。
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