688「スイスアルプス見物の旅」(8月30日(土)晴れ)

阪急交通の主催する「アルプス4大名峰と花ハイキング・スイス周遊9日間の旅」に参加した。
今年もヨーロッパに行こう、と考えていたが、最初は北スペイン、南イタリアが有力だった。そんな中でこの旅の広告を見てがらりと方針転換してしまった。それほどにコースが魅力的に見えた、健康な今のうちでなければ行けぬ、とも考えた。
20年近く前、私はイギリス・チェスターにあるシェルの研究所に会社から2年間派遣された。其の最初の夏休み、日本からやってきた長女と一緒にベルギー、フランス、スイスなどに行くバス旅行に参加した。ルツエルン、サンモリッツなどの美しい都市を訪問し、アルプスの名峰が眺められる氷河鉄道に乗り、登山鉄道でテイトリスという3000mを越える山に一気に上る楽しみを味わった。今回はそれらに加え、アルプスを見ながら行うトレッキングや温泉を楽しむ機会もあると聞いて大いに惹かれた。

まずは、シャモニーから、登山電車で3842mの高みにあるエギーユ・ドウ・ミデイ展望台に行く。少し雲にかかっていたが、モンブラン(4810m)、モンテローザ(4634m)等の山なみを見る。頂上は寒いが、天気がよいから気温ほどに感じない。白人の若者二人が上半身裸になり「どうだ、強いだろう」という風に腕を誇示してみせていた。
次にツエルマットから登山電車で、ゴルナーグラード展望台(3130m)に登り、マッターホルン(4478m)、ブライトホルン(4164m)、其の前の氷河などの見物。そのあと、リッフェルベルグまで2.2kmの下り道を1時間半かけてハイキング。ここは、冬はスキーのゲレンデに変わるということで比較的なだらか。マッターホルンがリッフェルベルグ湖というなんだか池みたいな湖に写って、結構な景色が見られた。翌朝、部屋のベランダからそのマッターホルンに朝日が当たって次第に赤く輝き、次第に明るくなってゆく様子がつぶさに見られた。
三番目がユングフラウヨッホ観光。ウエンゲンから登山電車でユングフラウヨッホ駅。立派な展望台だが、さらにエレベーターで100m高いスフィンクス展望台(3573m)に行くことができる。このときはあいにく曇っていて一瞬アレッチ氷河が見えた程度であった。この氷河はユングフラウに発し、南はマッサ川の峡谷群を経由してローヌ川に注ぐアルプス山脈最大の氷河である。ここにはさらに氷河をくりぬいて作った氷の宮殿が楽しめる。
帰り道、アイガー・グレッチャー駅でおりまたハイキング開始。幸い天気が大分回復し雲が時々切れる其の間からユングフラウ(4158m)、メンヒ(4099m)、アイガー(3970m)が時々見え始めた。前方の山陰とこちらの間に広がる谷などが雄大な景観を作り出している。牧場の中を歩く感じである。リンドウ、桔梗、アザミなどの高山植物が美しいが、牛の糞も時々あるから注意。目的地のクライネシャイデック駅まで2.4km、約1時間。駅近くに山岳小説家で「アイガー北壁」を書いた新田次郎の記念碑が立っている。
最後がベルニナ鉄道でオスピッツオ・ベルニナへ行き、登山電車でデイアポレッツア展望台(2984m)。氷河の谷を挟んで雪に覆われたピッツ・カンブリナ3604m、すぐ右に三つの頂を持つピッツ・パル3905m、さらに目を右に進めればピッツ・ベルニナ4049m等が見えた。

参加したメンバーは16人。夫婦者が3組。江東区から来たというスキーが趣味の主婦グループ。母と娘が二組。このうち一組の母親は車椅子で飛行場に来た。北海道で落馬したとかで心配したが、後半は元気に回復していた。女性の友人同士が一組。そんなわけで女性13人、男性3人。みな私ほどではないにしても相当のお年である。今、中高年に山歩きが人気があることを思えばうなずけることかもしれない。

最後にこの旅行を通じてスイス人気質というものを垣間見たような気がした。
ガイドが教えてくれた格言によれば、「フランス人にコックをさせ、恋人にはイタリア人、機械の修理にはドイツ人、警察官にはイギリス人、全体のマネージメントはスイス人にさせればこの世は天国。」というそうだ。地獄もあるが省略。
スイス人は質実剛健である、と感じた。無駄なものは一切省く。最後にとまった5つ星ホテルもシャンプーが置いてある程度。又あるホテルは、普段廊下の電気を消しているから、自室の部屋の鍵穴を見つけるのに苦労した。団体客と分かると、列車の席も食堂の席も皆一箇所に固められてしまう。こういう按配だからマネージメントは得意なのだろう。しかしドライバーのマナーのよさはさすがである。譲りあい精神が徹底しており、大型バスはヘアピンカーブも道全体を使ってゆっくり回り、ほかの車は待機している。環境への配慮も深く、ツエルマットやウエンゲンは、町の中の交通に電気自動車と馬車しか認めない。そのため我々は一つ手前の駅でおりて鉄道で目的地に向かった。要するに成長した社会を感じるのだ。
なお費用は直接費用が一人40万くらいである。皆さんもいかがですか。

註 ご意見をお待ちしています。
e-mail agatha@bekkoame.ne.jp
home-page http://www.bekkoame.ne.jp/~agatha

読者から次のようなメールをいただきました。

私は、以前、文字の読めない国に行くのに非常に臆病だったので、
スイスはジュネーブだけしか知らないのです。
でも、そのホテルで食べたクロワッサンがあまりおいしくないとボヤいたら、
「スイスでは5年備蓄した小麦粉から使うので味は落ちるが、
新鮮な小麦粉を使っているフランスは、
戦争になったスグに負ける」という答えが返ってきました(^^;)。

日本という孤立した島国に生まれたのに、
アメリカの占領中に基礎ができてしまい、
子供はいるけど、孫はどうも授かりそうもない私にとって、
「国」という単位がどうもわからず、
今後も、集団から個を見る社会学的アプローチよりも、
個から集団を見る心理学的アプローチの方が親しめそうです(^^;)。