語学の放送が終わって、経済専門のCATV213チャンネルを入れる。
ダウは、すでに500円近くのマイナス、ところが先物は1000円以上のマイナス、その後も猛烈な下げ、とうとう先物市場は「サーキットクローズ」になりました。耳慣れない言葉だが、要するにしばらく売買停止というようなことだ。個別の株式の現在価格、特に金融、輸出関連などは、ウリ一色で値が付いていない。円も上昇し、1ドル98円くらい。
あわててパソコンで野村證券を開き、預けてあるわずかな資産を調べるともうピーク時の半分近く。今日はさらに減るわけだ。頭を抱えていると、A君から電話がかかってきた。「売るといっても値段すらつかないのだから仕方がない。」
大分力を落としている様子で、昼飯でも一緒に食おう、ということになった。
11時に待ち合わせて、杉並公会堂の喫茶。スパゲッテイの昼食をとりながら
「きみは売りから入っているからまだいいのだろう。」と聞くと「いや、買っている物だって沢山ある。それに売りから入っていた二つは、もう手じまいしてしまった。」
コマツを1800円で買ってしまった、とぼやいている。私は、おととい1200円弱で買ったけれど、もうマイナスになっていると言うと、「そのくらいで買えばいいんだよな。」
しかし彼は「双日」を170円で買ったのだという。私は「昔から持っていたから平均買い単価は700円くらいになる、それに較べれば大したことはない。」と言い返す。二つとも大変な下がりようであることに変わりはない。
「今朝、野村から電話がかかってきた。悲痛な声で「もう滅茶苦茶です。」と言っていた。」株屋がそういうほど下がり方は激しい。私のところなど釈明の電話も来ない!
「一番高いところと較べるとアメリカは40%弱下がっている。ところが日本は50%だ。」
「まったく日本は被害者だ。日本の会社は、外人の投資で成り立っているようなところがある。外国の投信が、金がほしくて、みんな売りに回っている。」
「解散・総選挙で遊んでいる場合じゃない!」
「それでもアメリカは、どうやら資本注入をやっと始めるようだし、欧州の国々も、銀行の保護に走っている。日本も第二次対策を打ち出す、それにG7、さらにロシアを加えてG8、何とかなりそうなものなのだが・・・」
「そうそう、それで昨日は小康状態のように思ったのだけれど・・・・」
どうすればいいだろう、と聞かれても、こっちも困っている。
「おれたちの目的は、死ぬまでプチブル的生活を送って、一生シアワセにすごしたいんだろう。それなら今ジタバタしないほうがいいんじゃないか。株に使っている金は、食うために必要というわけではないんだろう。」そんな当たり前のことしか言いようがない。
「それに下がったものはいずれあがる。」「いづれが、問題だ。5年くらいに上がらないと・・・・。俺は、家系から見ると短命のような気がする。」「俺は、10年は生きるぞ。親父は88歳まで生きた。それまでには何とかなるだろう。」・・・・妙な議論になった。
それでも「信用でやっているやつは首を括るしかあるまい、それを思えばまし?」。
食後に、ケーキくらい、はした金と、男二人でやけ食い、私はもう一杯コーヒーを飲んだ。ウエイトレスもあきれた顔。終わって「証券会社を覗いてみるか。」と野村證券に向かう。
「もうとっくにダウは、1000円以上下がっているだろう。」とA君は元気がなかったが、そこまでは行かなかった。800円程度でとどまっている。「このくらいになれば、押し目買いが出るものさ」と私は言うが、内心は穏やかではない。
「アメリカのダウは、3000ドルまで下がるというやつもいる。なぜなら大恐慌の時にはダウは2割まで下がった。つまり1000円が200円だ。」「其の伝で行けば日本は3500円まで下がるかも知れない。」そうなれば日本もおしまいか?
その先は、話す気もおこらなくなった。まだ分かれがたくて公園でも散歩しようか、ということになった。太田黒記念公園。太田黒元雄の屋敷を杉並区が一部は買い、一部は寄付をうけて作った公園とか。今では荻窪駅周辺の貴重なミドリとなっている。
公孫樹並木が美しく、銀杏の季節である。しばらく池の鯉を見つめ、太田黒氏のピアノ室が開放されていたので入ってみた。懐かしい「話の泉」で活躍した、と書いてあった。
「これからもお互い傷口を嘗めあうか。」「まあ、死ぬわけではないから、カラ元気で行こう。」と荻窪駅まで戻って来て分かれた。A君と話して、少しこちらの気分も楽になった。帰ってパソコンをあけるとB氏からメール。「処置なし」と題し、「下げが下げを呼んでいる。負のスパイラルだ。」などとコメントしていた。結局今日は、終わりで881円安の8276円!
後記 その後、日米欧が対策を採ったから一度暴騰したが、又暴落、今度はアメリカの景気後退が世界の足を引っ張るという。一難去ってまた一難。
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