昨日でであったか、テレビ朝日で田原総一郎氏があの田母神論文のことを賛成派、反対派を集めて議論していた。論文の審査課程が明らかにされた。論文には通し場号をつけられており、誰が書いたものとは分からなかった。最優秀に選ばれた論文を調べると前空幕僚長田母神氏のものである、とわかった。審査員の中に新聞記者がいて、この論文が公にされた場合、政治問題になるかもしれない、と忠告した。しかし田母神氏はそれでも良い、と受諾したという。
論文を私も読んでみた。心情としてはわかるけれども、日中戦争をコミンテルンの謀略とするなど歴史学的にはまだ認めてられない説を用いていることは事実である。しかし懸賞論文でその理由だけで選ばれたことが怪しからん、などという議論はあるべきではない。
歴史観やこれからの日本をどうして行こうか、というテーマについての考え方は二つあると思う。
どちらの考えも戦争を否定していることは事実である。平和な安定した日本を作ろうとしていることは事実である、と私は信じたい。
一つはあの戦争はまったく間違っていた、日本という国はそれを反省し、贖罪を負ったまま生きてゆかねばならぬ、とする説である。所謂反対派に言わせれば自虐史観という物である。
そしてその考えにもってゆこうと彼らはしゃにむに頑張る。そのために、憲法9条やたまたま外国に迫られて出してしまった村山談話を引用する。戦前への回帰を思わせるから、君が代や国旗に対する敬意は払わなくていい。自衛隊は、シビリアンコントロールの元、言われたとおりにやれ!
海外への派兵などとんでもない。給油活動も即反対である。そしてこのときの議論で持ち出すのが、憲法によって保障されている思想・信条の自由である。
もう一つの考えは日本を日本人として誇りの持てる国にしなければいけない。
教育は、そのような日本を作るために国民を育てる必要がある。国旗や国歌を尊敬することは当然である。日本は国際社会の一員として、今後も世界の平和のために尽くしてゆくべきである。そのため自衛隊の海外での活動はもっと幅広くできるようにしなければいけない。
さらに日本の回りにある国は、必ずしも平和主義とは限らない。
北朝鮮を見よ!拉致問題には答えず、ミサイルの一発も日本にぶち込もうとしている。中国を見よ。今は日中協力などといっているけれども台湾と問題が起こったらどうなる?さらにそこまでゆかなくても外交は軍事力によって左右される。竹島をみよ、樺太を見よ、尖閣諸島を見よ、何もできぬ日本は侮られている。自衛隊はもっと強くすべきである。憲法は、特に9条を中心に現在の状況にあったように変える必要がある。対抗上核武装をすることも必要である。首相の靖国神社参拝など当然である。平和とは勝ち取るものなのである。
二つの考えは水と油のようでまったく溶け合わぬ。それぞれの論者は相手の言うことを聞こうとしない。それどころか相手の言論を圧殺しようとさえする。断っておくが、言論弾圧は戦前の日本のような国家の専売特許ではない。スターリンのソ連を見よ!北朝鮮を見よ!
しかし前者について言うならば、ことがあったときに日本はどうするのか、という問題にまったく答えていない。それは話し合いで、というわけには行かぬときが来る!さらに日本国民はそれほど悪い国民なのか、我々が日本国民として誇りを持つことが悪いことなのか。
後者について言うなら、それでもアジア各国が戦前の日本を恐れている以上、極端なことはできまい。それに日本の軍事力の強化が、相手方の軍事力の強化を呼び、話し合いですむものをすまなくしてしまう可能性も大である、と考えなくてはなるまい。ましてや独自に核兵器まで持とうという考えになるなら相当の議論が必要だ!
本当は、両者は互いに話し合い、必要な部分は相手の意見を受け入れ、しっかりと自国の将来を考えてみる必要があるが現状はともに「聞く耳持たぬ。」ようすだ。それができる国を私は文明が進んでいると思う。進んでない国は、やめた首相や大統領は殺されたり社会的に抹殺されたりする。米国オバマ政権で感心することは選挙の後は、幾分は相手の陣営の者も仲間に取り込んでアメリカを再建しようとする姿勢が見られることだ。日本の政界にそれが期待できるかどうか。
それでも日本の政治は、今まで極端な理論をおおむね封印して、是々非々的な進み方をしてきた。これからもそのような方向で行き、極端な考えの持ち主には政権をとってほしくはない。しかしそれで根底にある問題が、解決されたわけではない。
田母神論文は田原総一郎氏が指摘したように書かれてよかった、と思う。事件を契機に、法律論や村山談話などの過去の経緯にとらわれることなく、今一度日本のこれからのあるべき姿という観点から議論してほしい。
(註)田母神論文は主催したAPAのホームページから容易にたどり着ける。何か言おうと思う人はまず読んでから発言した方がいい。
註 ご意見をお待ちしています。
e-mail agatha@bekkoame.ne.jp
home-page http://www.bekkoame.ne.jp/~agatha
読者から次のメールを頂きました。
A氏)憲法9条でいつも思うのだが、あれは占領下の特殊事情で
通用するような気がする。
外国からの侵略には当然占領軍が対応するので、日本は何も
することはない。平和平和と祈っていればよい。
ただ占領軍がいなくなったときにどうするか、それはその時日本人が
考えるだろう。憲法なんかすぐ改正して事態に合うものにするだろう
というのはアメリカ人の考え、ところが日本人はありがたがってあがめたたえて
まだ使用中というのは作った人もびっくりしているのではないか。
B氏)私も「田母神論文」を産経新聞、正論1月号、WILL1月号で全文掲載されておりますので、読んでみました。
田母神前空幕長は歴史家でもモノを書く専門家でもないため、論文の中にはもう少し押さえた表現の方が良いと思われる個所が二,三見受けられるし、引用の方法についても、学術論文という体裁から見ればいくつかの不備があることは事実であります。
しかし、論文で田母神氏があえて空幕長という立場から指摘したかった点は以下の部分なのではないでしょうか。
≪東京裁判はあの戦争の責任を全て日本に押し付けようとしたものである。そしてそのマインドコントロールは戦後63年を経てもなお日本人を惑わせている。日本の軍は強くなると必ず暴走し他国を侵略する。だから自衛隊は出来るだけ動きにくいようにしておこうというものである。自衛隊は領域の警備もできない。集団的自衛権も行使出来ない。武器の使用も極めて制約が多い、また攻撃的兵器の保有も禁止されている。諸外国の軍と比べれば自衛隊は雁字搦めで身動きが出きないようになっている。≫
さらに≪このマインドコントロールから解放されない限り、我が国を自らの力で守る体制がいつになっても完成しない。≫
そして≪自分の国を自分で守る体制を整えることは、わが国に対する侵略を未然に抑止するとともに外交交渉の後ろ盾になる。≫
日本の現状に真摯な関心を持つなら、揚げ足取りをするような批判は、この論文に対し行うべき本来の批判ではないと思います。
政治家もシビリアンコントロール逸脱を云々するならば、このような論点に対しての具体的な処方箋を整備することが責務ではないでしょうか。
C氏)田母神論文読みました。私はもっともだと思いました。幕僚長を更迭するほどの内容ではないと思いました。
英国、フランスが植民地にした地域の原住民からの搾取はそれは酷かったと思います。アフリカが貧しいのは、植民地政策のせいだと思っています、自分達にとって都合のいい植物を作らせ、食品となる植物を作らせなかったことによります。
中東混乱の原因も、英国とフランスが自分達にとって都合のいいように、民族の分布を無視し、国境線を引いた事によります、直線の国境線なんてあるはずがないのです。
インドの扱いも酷かったですね、アヘン戦争にしても英国は何故責められないのか、日本は負けたから言いたいように言われています。
満州、朝鮮に資本投下した鉄道、発電所等々戦後発展の基礎を作っておいたからです。中国・北朝鮮の国境にある発電所もそうです、
自衛隊は軍隊と正式に認知すべきです、このままでは、自衛隊そのものに緊張感もなければ、誇りももてないでしょう。
日本にはアメリカの軍事基地が多く有りますが、戦後アメリカが収奪したもので植民地そのものです、条約があるとは言え、何も出来なかった日本に押し付けたもので、フイリッピンですらスービック基地を取り戻したでは有りませんか。
昨日の日・中・韓の首相会議の席で、尖閣諸島の帰属問題で、麻生首相が中国に抗議したようですが、逆に言い返されたようですね、自分の国は自分で守るのが鉄則です。
拉致問題も、日本に居る北朝鮮人を、北朝鮮に強制送還するぐらいの意気込みが欲しいです、日本で勝手なことばっかりやっていて、朝鮮信用金庫の件も考えれば考えるほど腹が立ちます。