729「オバマ大統領就任演説」(1月20日(月)曇り)

バラク・オバマ上院議員が、第44代アメリカ大統領就任式に臨んだ。世界が注目しているニュースであるから報道も早い。今21日朝5時30分、インターネットを開けば早くもつぎのようなニュースが流れ演説全文(毎日新聞)も掲載されている。新聞記事は色々あるが、私はまず原文を読むことが大切と考えるので、全訳に従って忠実にコメントしてみたい。

「我々は重大な危機にある。わが祖国は(イラクやアフガニスタンで)戦争状況にあり、敵は憎悪と暴力のネットワークを持っている。経済状況も悪く、その原因は一部の人々の貪欲さと無責任さにあるものの、我々はその対処法にも誤り、次世代への準備にも失敗している。多くの人々が家を職を失い、ビジネスもひどい状況になっている。健康保険制度もカネがかかりすぎ、多くの学校(制度)も失敗した。毎日のように、エネルギーの使い方が地球を危険に陥れている証拠も挙がっている。データや統計が危機を示す。全米で信頼が失われ、アメリカの没落は必然で、次の世代は多くを望めない、という恐れが蔓延している。今日、私は我々が直面している試練は現実のものだ。」
アメリカの現在の状況を簡潔にしっかり捉えていると思う。

「だが知るべきなのは、アメリカはいつか克服するということだ。この日に我々が集ったのは、恐れではなく、希望を選んだためで、争いの代わりに団結を選んだからだ。」
国民の団結を呼びかけ、この危機を克服できるという確信を与えること、重要であると思う。後半はそうだ!と叫びたくなった。日本の政治家に言ってやりたい。
「我々が良い歴史を選択してきた不滅の精神をもう一度確認する時が来た。我々は今日、何世代もわたって受け継がれてきた我々の高貴な考え方と、我々の天から与えられた才能を、将来に受け継ぐことを再確認するためにも集った。それはすべての人は平等で、自由で、すべての人々が最大限の幸福を享受できるという神の確約でもある。」
日本人も自分自身に自信を持ち、いたずらに自虐的に為るべきではない、其の考え方と才能を信じ、将来に受け継ぐことが大切、と認識したい。後半、日本も同じ目標だ。

「公金を預かる我々は、説明責任を果たさなければならない。・・・それによって初めて、国民と政府の間の重要な信頼を回復できる。」
「市場が正しいか悪かも、我々にとっての問題ではない。富を生み出し、自由を拡大する市場の力は比肩するものがない。しかし、今回の金融危機は、注意深い監視がなされなければ、市場は制御不能になり、豊かな者のみを優遇する国は長く繁栄することはできないことを我々に気付かせた。」
いづれの指摘も日本にすっぽりと当てはまるのではないだろうか。

「我々は責任を持ってイラクから撤退し、イラクの人々に国の将来を任せる。そしてアフガンでの平和を取り戻す。・・・・核の脅威を減らすために絶えず努力する。」
この言葉に期待するが、しかし冒頭で述べられているようにテロとの戦いには断乎とした処置をとると宣言している。
「さらに地球の温暖化とも戦う。」リップサービスでないことを願う。
「我々の多様な出自は強みであり、弱みではない。キリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒、ヒンズー教徒、そして無宗教者の国だ。」
異なった価値観が戦争やテロを呼び起こしている、ということは其の通り。日本も解消するための努力をすることは必要だが、置かれた位置も十分に考えなければいけないと思う。

「政府に何ができ、何をしなければならないかは、究極的には米国民の信念と決意が決定する。それは、堤防が決壊した時に見知らぬ人をも招き入れる親切や、友人が仕事を失うことになるよりも、自分の労働時間を削ってでも仕事を分け合おうという労働者たちの無私無欲なのだ。こうして最も暗い時を切り抜けることができる。」
「希望と美徳をもって、氷のような冷たい流れに勇敢に立ち向かおう。そしてどんな嵐が来ようとも耐えよう。」
前者は日本人のかっての美徳だったが、忘れられかけているようにも見える。後者のような呼びかけは是非日本の政治家にも期待したいものだ。

(後記 22日)ガールフレンドのAさんがオバマ演説の様子をビデオで録画していたので私も見る機会を得た。この文章の作成者は27歳の若者だ、という。03年に民主党ジョン・ケリー上院議員の演説草稿を書いた男。確かに理想論にあふれている。就任式にお祭り気分に沸き返るアメリカは明るい。日本でも、日章旗を背景に君が代を奏でながら新首相が就任演説をする、そんな風にしたら国民は狂喜して騒ぐだろうか。

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