745「金元死刑囚と田口さん家族の会見」(3月11日(水)晴れ)
「サーチナ」というインターネット上の新聞は、日本人が中国のことを知る比較的手軽な情報源のようだ。
それによると、2086年に中国人1.2万人を対象に行われた「嫌いな国」アンケートで、韓国と答えた人が40,1%とトップ、日本が30,2%で2位、3位がインドだった。のみならず好きな国ランクで日本は3位に入っているという。
小泉首相が退任し、安倍内閣、福田内閣が日中関係改善をはかった、四川大地震で救援物資を送る、医療チームを派遣するなどの善意に喜んだ、北京五輪で、日本チームが中国国旗と日本国旗を手に入場する場面を見て感動した、などの要因を挙げている。
一方で韓国嫌いが表面化している。発端は、2005年に韓国の「江陵端午祭」が、ユネスコの無形文化遺産に登録されたことなどらしい。江陵端午祭は韓国江陵に昔から続く端午祭だが、中国に言わせれば、端午祭はもともと中国のもの、と言いたいのだろう。これに加えて、韓国の自称「学者」や「教授」たちが歴史を「検証」した結果、次々に中国発祥の文化を韓国のものと主張しているという。
「サッカーは韓国で生まれた」「寿司は韓国人が作り出した」「漢字は韓国人が作った」
「孔子は韓国人だった」「イエス・キリストは韓国人だった」
「仏教をあみ出した釈迦は実は韓国の血を引いている。」
「孫文や毛沢東主席の祖先は韓国から中国にわたった人々であり、韓国の血統である」
最近では「孫悟空は韓国の猿である。西遊記に出てくる深海の城「東海竜宮」も実在し、これらを証明する証拠も発見されている」等々。
日本にも源義経が中国にわたってフビライ汗になったとの話はあるが、よく言う。
日本人は中国人と韓国人のどちらが好きなのだろうか。またどちらが嫌いなのだろうか。
データを持ち合わせていないから、よくわからぬ。しかしどちらも隣国、できるだけなかよくしたいもの、そのためには夫婦関係と同じで、本質は考えながらも出来るだけ相手を好意的に見るようにしたい。
田口八重子さんの家族と金賢姫元死刑囚との面会。日本人の韓国人感を変える、近頃には珍しい明るいニュースのように思う。ブログのようなものだけで韓国人はこうだ、中国人はこうだ、と決めてはいけない、と感じさせる。世の中には無責任なもの、その尻馬に乗るもの、扇動されるもの、いろいろいる。しかしそれでも人間の本質みたいなものを垣間見る時救われる気がする。
日経新聞によれば、ノム・ヒョン政権下では、大韓航空機事件に当時の保守政権による自作自演説が浮上した。(そのような主張に沿った小説が現れて話題になったそうだ。)金元死刑囚は供述内容を疑われ、自身の存在すら「でっち上げ」との懸念をむけられた。イ・ミョン・バク政権になってものが自由にいえる雰囲気になった。そこでこの際自分の存在意義を確認してもらうために姿をみせた。
一方韓国政府にとってはこれによって日本政府に貸しを作ると共に、北朝鮮に対する強硬政策の正当性をアピールできる。日本にとっても六カ国協議などで「拉致問題にこだわりすぎとの視線を向けられていることもあって、この機会は願ったりかなったり。さらに多くの脱北者のいる拉致被害者から多くの情報がえられることも狙える。
三者三様の思惑でこの会談が成立したが、特に新しいものが出たわけではない、韓国でまだ拉致問題への関心が高いとはいえない、日韓が具体的にどう協力してゆくかも不透明な部分が多い、などとしている。
これはこれで正しいのかもしれない。しかし私はもう少し個人的な見方で考える。
記者会見に臨んだ彼女は涙を見せた上、田口さんの息子さんを、腕を組んでエスコートし、随分親しげに振舞っているように見え、その理由を考えてみた。
彼女はあの爆破事件でつかまり、心ならずも韓国で生き延びることになった。しかし北に残してきた両親など家族にどのような運命が待っていたのか。また韓国世論も大韓航空機を爆破させ、115人全員を殺した犯人であるから暖かいわけがない。つらい、言葉ではいえぬ日々が続いたと思う。被害者の家族の一人が「我々の面会要求を拒否し、日本人拉致問題で人道主義者のように振舞うのはおかしい。」と語ったという。しかし彼女の立場から見れば怖くて面会など出来ない、というところではなかろうか。
そう考えれば、田口八重子さんの息子さんに、懐かしさと親しみがこみ上げるのは当然ではないか。彼女の罪が許されるべきだ、というつもりはないけれど、彼女もまた国家の政策の犠牲になった寂しい人なのだ、と感じた。
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