5年ごとに行われる自動車運転免許更新にいってきた。
昔は小金井まで行き、ややこしい書類を書き、写真を撮り、散々待たされて目の検査だの講習会だのあって半日は悠にかかる仕事だった。そのために代書屋が商売をしていた。
今では会場が増え、登録、目の検査、写真撮影、講習会すべて流れ作業で、ゴールド免許の場合一時間もあれば終わり、応対する警察官も随分にこやかになった。
場所は都庁第二庁舎2階。
講習は30分。講習というのはなかなか難しいのか、大半はビデオを見ることになる。昔とくらべて心に語りかけるような分かりやすいものになっている。
軽く飲んだが大丈夫と、部下が止めるのも聞かず、上司は運転して帰った。夜道、車が一台ぽつんと止まっている。「どうしてこんなところに止まっているんだろう。」と不振に思いながら、追い越そうとした。ところが車の向こうから歩行者。急ブレーキをかけたが間に合わずぶつけてしまった。しかも怖くなって逃げてしまった。
被害者は死亡、酒酔い運転、ひき逃げとあって罪は重く実刑判決。奥さんが大変だった。被害者の下にはお見舞いに行かねばならぬし、行けば怒られるし、収入はなくなるし・・・・・。そして民事裁判になり請求額が1億円近くになると聞かされる。その苦労に耐えられず自殺、帰らぬ人となった、というような話が紹介される。
酒を飲んでいなければ、なぜ夜道に車が1台止まっているのだろう、と考えるはずだ、と解説は言う。判断力と咄嗟の対応力が弱くなっているのだ。また夜道は実は遠くが昼間に較べて見えないそうだ。ライトを下に下げて、昼間と較べて何メート先までみえるか実験している。実を言うとこの点歩行者の心がけも大切で、明るい塗料を塗った服と黒い服を着た人間を比較して判別可能距離が示されていた。
時速40キロで急ブレーキをかけたときの停止距離は22メートル、60キロでは44メートル、仮に前方30メートルに横断歩行者を発見しても、後者であれば間に合わないことになる。ところが夜道、車のライトを下に向けている、黒い服では40メートル前後に下がってしまう。それゆえ、それだけでも相当にのろのろ運転しなければならぬことに気づく。
事例ではもう一つ右折時の危険を紹介していた。トラックが直進してくる。右折しようとしたドライバーはトラックのずっと向こうに車が見えたから、トラックが通過したら、すばやく右折しようと考えた。そこでスピードを出して突っ込んだところ、トラックの陰にバイクが居てぶつかった、というもの。
いづれの事例も「とにかくいったん停車」が基本、と教えている。私の場合は車間距離に特に留意している。車間距離さえあればとっさに対応できる・・・・・。
シートベルトの着用の話も興味があった。ドライバー自体のシートベルト着用率は90%くらいいっているらしい。しかし後部座席は10%以下とか。事故が起こった場合、どちらも危険で後部座席の場合は人が飛び出し、運転席に激突、エアバッグで座席に押し付けられたドライバーにも害を及ぼす、ということであった。見ながら後部中央席には私の車もシートベルトがついていない、と気がついた。チャイルドシートはつけない例や、ついていても不完全な取り付けが多い、としている。
道路交通法の改正で酒気帯び運転が厳しく罰せられるようになるなど安全運転志向がますます高まっている。このほかに高齢者運転マーク、聴覚障害者マーク、障害者運転マークが紹介された。高齢者運転マークは75歳以上が対象で義務化、つけていなければ交通違反と同じで減点対象となるのだそうだ。後二つはこれらのマークのついた車には特に無理に近づいたりせぬことが求められる。
短い時間ながら、それなりに役に立つことを聞かされて、更新免許をもらい都庁を出る。私はこの5月に68歳になる。ゆえに次に免許を書き換えるときは73歳。夕方免許の更新に言ってきたことを伝えると、ガールフレンドのAさんは「後何歳まで運転が出来るかしら。」と言った。そう、私も最近めっきり運転しなくなった。車の運転には上述のような事故を起こさぬように全神経を集中することが要求される。それを負担することがだんだん億劫に感じられるようになってきたのだ。私だけかと思ったら友人の多くも同じようなことを言っていた。
「いくらかかるの?私、書き換えに行くの、辞めようかしら。もう一生乗らないような気がする。」彼女は完全なるペーパードライバーである。
みなさんはいつまで運転を続けるおつもりですか?
註 ご意見をお待ちしています。
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