新宿のあの小さなスナックでまたまた高校同期の集まり。昨年マスターが飲み代を値上げしてくれ、といってきた。すると分かったけれども新しい料金では高いから、半分はB君が懇意の高円寺のスナックで開こうということになった。ところが客を取られては困ると考えたのか、またもとの値段にしてきた。
出席者したは、全部で6人。私は時間が余ってミラノ座で「ウオーロード」なる映画を見てから駆けつけた。1000円で入場できる60歳以上が多いようにみえた。昼間のサウナの男二人の会話を思い出す。「ゴールデンウイークはどこかに行きましたか。」「毎日がゴールデンウイークですよ。」
19世紀後半、太平天国と言う農民一揆の悩まされていた中国清朝。パン将軍率いる清朝軍は、仲間のクオ将軍の軍隊が助けなかったために戦いに敗れ、皆殺しにされる。死んだふりをしてたった一人助かった将軍は、飢えた山賊の仲間入り。頭目二人と義兄弟の契りを交わし、清朝のために働こうと誓い合う。手柄をたてて認められ、太平天国軍の守る蘇州を囲む。何年にもわたる篭城、潜入した一人の頭目の努力により、ようやく農民を助けることを条件に城が開放されることになる。しかしパン将軍は承知せず、裏切って太平天国軍農民を皆殺しにしてしまう。そこから義兄弟3人の間に亀裂が生じ・・・・、なんだか三国志演義の焼き直しのような映画。ピーター・チャン監督、主演者の一人に金城武、アルフィーがテーマ曲を歌っていた。
同級生の厚生相次官一家が殺されて、その追悼会が有志で行なわれた。A君の息子さんは一流大学を出ながら、倒産するなどで転職を繰り返している。「秋葉原で起きた無差別殺人事件。あれはとにかく世の中でうまくいっているやつ、誰もがにくく見えてきたその結果ではないか。次官氏一家殺人者の心も同じではないか。問題はそのような気にさせる社会ではあるまいか、と考えたくなる。」そうかもしれない、しかし昭和21年、22年の日本を考えてみろ、と私は思わず言った。さっき見た映画の時代を思い浮かべながら・・・・・。
我々は何といい時代に生きていることか。そういえば追悼会は開かなかったけれど、他にも随分多くの同級生が亡くなった。芸大を出て、S社の広告宣伝で大いに活躍したC君、この世界の賞を総なめにした、とも聞いた。その彼が随分酒を飲むようになり、途中から元気がなくなったそうだ。「デジタル化に乗り遅れたのだ。アナログとデジタルの作り出す映像では天と地ほどの違いがある。後者ではCGばかりが重視される。」そういえばさっきの映画も、主人公がスパイダーマンみたいに空中を飛んでいた。そのほかにもA君、私と中学校まで同じだったD君、パラグライダーでなくなったE君・・・・・。
「小沢さんが止めたね。次は誰に成るんだろう。」「岡田さんになればいいね。でも鳩山さんだろう。」「いずれにしろ今の内閣は変らなければだめだね、どうしようもない。」という議論から、マスコミがささやく「麻生首相は馬鹿、という話は正しいか」という議論になった。
「俺は馬鹿とは思わない。みな漢字が読めなかったくらいで批判するが、それだけでいうものではない。」するとまた「一国の首相としては・・・・」など言うものがいる。「じゃあ鈴木首相、大平首相、森首相、小泉首相、安倍首相と較べてどうだというのだ。」「大体利口とは、どういうことをもって利口というのだ。」「漢字が読めて、英語がしゃべれればいいだけではあるまい?」「東京都は、美濃部知事、鈴木知事、青島知事、石原知事を経験した。誰が利口で誰が馬鹿か。そして利口の知事の都政は素晴らしいものであったか。」みな押し黙った。「石原知事はどっちだ?」「あの人はファシストだ!」「そうでもあるまい、私は投票したよ。リーダーシップはあるな。」「美濃部知事は一番利口そう、私は投票したけれど大失敗だった。」「大体、間接的にせよ、みなで戴いておいて、馬鹿だのチョンだのは一国の首相に失礼だ。」難しい議論だ。しかしそれだけに軽々にマスコミも私たちも人を馬鹿だのチョンだの言うべきでないことは確かと思う。
A君は上野の科学博物館で説明員をやっている。今、周期律表の説明に苦労しているとか。
面白い覚え方を提供してくれたが、エッセイを書く段になるとどうしても思い出せぬ。しかしそこから理科の実験の話になった。一円玉と10円玉を塩水の中につけると0.8vの電気が発生するとか。アルミニウムと銅による電池ができるのだ。じゃあ、塩水では不便だから一円玉、塩水にひたした紙、10円玉の順に何層にもつなげれば強力な電池が出来るのではないか、と言う者がでた。「微弱電気だって筋肉の活動には大きな影響を与える。」「そうだ、そうだ。」「じゃあ、一円玉を臍の下に貼り、尻に10円玉をあてがって海水風呂に入れば、ヴァイアグラを飲んだようになるか。」・・・・・一流高校卒業生の会話にしては少々品のないものになった。
今日はものすごく話が盛り上がったように感じた。黙ってカウンターで聞いていたマスターが「おもしろかった。」と妙に感心していた。8時半にお開きになった。
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