株主総会は現在では総会屋がゆくよう不穏なものではない。誰でも参加でき、特に引退した老人にとっては、なかなかの楽しみで、利用しない手はないと思う。なまじの講演会などより、現実味があって、しかもわが身に跳ね返ってくるから面白いし勉強になる?
ただ、今年は昨年末のアメリカ発の金融の混乱がわが国の実体経済にまで影響を及ぼし、どこもかしこもひどい内容のよう。
私は23日、235日、26日に3社に出席した。
まずは昨年も出席したA商社。
グループ全体での売り上げは、5兆8000億円(単体3兆5000億円)であったが、今期は5兆2000億円(単体3兆2000億円)に減った。前期は600億円程度の純利益を上げたが、今期は190億(単体では220億円)になってしまった。そのため配当は前期、後期とも4.5円を予定していたが、後期は1円にする、という。
それは仕方ないとして次期以降が気になるところ。
「純利益の20%を配当にまわすという原則を守りたい。年間5円を予定している。」との弁。つまり今年の実績に比べ悪くなるくらいだ、といっているようなもの。
次にB電力。ここは余りにも明白だから会社名を明かそう。東京電力である。
売上高は年々伸びている。20年度は5兆9000億円。しかし販売電力量は減っているようで、その分を売電単価の上昇で補っている。純利益は17年、18年が3000億円近くあったものが、昨年はマイナス1500億円、今期はマイナス850億円である。2008年2月の中越地震で、柏崎刈羽原発が大きな損傷を受け、運転を停止することになった。代替に割高な火力発電の運転に頼らざるを得なくなったため費用が増加したようだ。
一株あたりの純利益もマイナス62円である。しかしその中で、会社は下期に一株当たり30円、年間で60円の配当を行うとする。
ここは「脱原発株主運動」の運動家たちが入り込み、かなり荒れた総会になった。
「純利益が、昨年と今年、このように落ち込み、会社は1兆円以上の利益を失った。これは柏崎刈羽原発が運転停止に追い込まれ、火力発電所を動かさなければならなくなったから。この責任をどう取るのだ?」、「あの原発の下に活断層はありませんといっていたじゃないか。あれは嘘だったのか」、「「株主のみなさまへ」の冒頭に「原子力等のゼロ・エミッション電源の開発云々」と書いている。燃料を精製したり、加工したり廃棄したりする際に石油を使って二酸化炭素を発生させているから嘘だ。」等々の発言。
「配当は年100円にする」「地震で損壊した柏崎刈羽原発への投資は中止する」、「福島原発も廃炉にする。廃炉に変る新規原子力発電所の建設(リプレース)は行なわない」、「個々の取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として会社から受け取る利益を遅滞なく公表」など提案したが、次々に否定されていった。
前日の総会では役員との懇親会が設けられ、和やかな雰囲気だったが、ここはとげとげしく、そんなものはとても開けまいと感じた。
三日目はトラックやバスを作っているC自動車。
「連結ベースでの売上高は海外国内共に前期会計年度に較べて26%減少し、1兆4200億円余り、経常利益は87.5%減少し、わずかに152億円、繰越税金資産の取り崩しなどにより当期純損失は268億円である。前期は760億円の利益をあげていた。一株あたりの純損失は15円85銭、純資産も50円近く減って165円余り。このような結果を踏まえ、中間配当金3円を実施したが、期末配当金はゼロとする。」
「配当は今後どうなるのか。乗用車部門では電気自動車やハイブリッドカーが注目を集めているがトラック部門ではどう考えるか。」と質問すると、配当については、まだ答えられない。しかし4半期ベースで見ると4-6月販売量は1-3月とほぼ同じ。回復しているわけではない。ハイブリッドカーは、重要な研究部門の対象だが、商用車では燃費を重視するので、バッテリー自体の重量が問題になる電気自動車の位置づけは低い、と考えている。全体、需要頼みの受身の姿勢に見え、少々暗い気持ちになる。
一つ気がついたことは、どの会社もサラリーマンがトップではろくに自社株を持っていない、ということ。企業家は全財産に近いものを新企業につぎ込む。当然彼は、必死になって会社を発展させようとする。そうしなければ飯の食い上げだ!ところが今は、ほとんどがサラリーマン株主、余り企業が発展しなくてもいい、自分たちの安定した高い収入が確保されればそれでよし、としているように見える。もっと言えば経営が苦しくなれば、株主を犠牲にすればいい、と考えているようにも感じられる。その辺は僻目か。
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