今三国志を読んでいる。演技ではなく正史の方である。読みながら、ふと力さえあれば、どんな人間でも国家を統治する能力があるのか、と考えた。多分、あるといわざるを得ないのだろう。たとえその結果がどうであろうと・・・・。
まして今は民主主義の時代。誰が首相になろうと考えても不思議はない。
しかし宮崎県東国原知事が、次期衆議院選挙に自民党から立候補を要請され「自民党総裁候補にしてくれる」ことが条件と言い出した、という話にはびっくりした。ジョークか、と想ったが、本人が「極めて真剣」などと反論していると聞き唖然・茫然。
総裁候補にしてくれ、と言う意味は、自民党総裁が首相になっている過去の例を考えれば、首相にしてくれといっていることだ。びっくりしているのは私だけではない。識者と称する人たちも、どう反応していいか分からないでいるように見える。考えてみれば自分から言い出すのもいい度胸だ。首相は人に押されてなるものではないのか。
疑問に想った原因はなにか。一つには議員も大臣も首相も、誰にでもなれる、特別の人ではない、という世の風潮を、あらためて認識させるからだ。
東国原知事は、確かに秘かに政治学を勉強したほどと言うのだから特別なのだろうか。しかしどうも私には元をただせば一介のお笑いタレントに見える。
Wikipedeiaによれば、S大学経済学部卒。志願してビートたけしに弟子入り。フライデー襲撃事件では暴行罪で現行逮捕され、イメージクラブ事件では淫行事件関連で事情聴取を受けた、忘年会で後輩タレントの側頭部を蹴って傷害容疑で書類送検されたなど逸話に事欠かない。私の子供の頃からの教育は、大臣は尊敬すべき人、偉い人、その上の首相ともなれば大変な人と教えた。この経歴は、氏が尊敬すべき人、偉い人と教えているだろうか。みな麻生首相は、漢字を読み間違える、英語もたいしたことはない、などと言ったけれど、この人が首相になるとどうなるのだろうか。
二世議員を認めるべきか議論されているけれども、彼だって二世と言う変わりに、タレントと言う看板があったから、知事になれたのではないか。結果「首相も随分軽くなったものだ、人々は首相なんか誰でもなれる、小学校のクラス委員みたいなものだ。」とさえ感じる。
もう一つは政治とは、隣のおじさんが明日に首相が務まるほど簡単なものなのか。政治と言うものには専門性はないのか。
会見の中で地方政治を本当に良くする、と言うようなことを言ったとも聞く。
しかし首相になって、宮崎県のことだけを考えて日米交渉に臨めば噴飯物だろう。それはそのときに勉強すればいい、と反論するのかも知れぬが、政治は、そんな簡単なものか。確かにオバマ大統領だって、イリノイ州の上院議員を一期務めているばかり大統領。しかし彼には、知性と国際感覚とそしてバランスを感じさせる何かがあったように思う。同じ新人といっても、北朝鮮の後継者と目される人物に、世界が心配をするのは、世襲である以上に、経験のなさとこういったものである。東国原知事は自信があるのだろうか。
今、戦後長いこと政権にあった自民党政治が否定されようとしている。しかしそれがどう変わればいいか、国民が纏まっているわけではない。とにかく今のやり方が気に入らぬ、というだけに見える。価値観が多様化している、といえば格好いいが、混乱しているだけだ。
町に出ると、聞いたこともない政党の宣伝カー。「**党党首の**でございます。世界平和の実現・・・・」あの水に餅をつけすぎたような感じのお姉さん、あれが党首だと!
友人のメール。「・・・・・・世襲を制限すると、タレントと宗教団体が多数になりますか。その内チッチョリーナみたいな仇花も咲くでしょう。」もう古いタイプに属する人間になってしまった私には、何が何だか分からない。
後記 (7月2日)麻生内閣の改造は、不発に終わった。噂に出た東国原知事の大臣就任は実現しなかった。しかしこれでよかったと私は思う。麻生内閣は、退陣の運命かもしれないけれども、せめて去り際の品位くらいは、日本のために保ってほしい。
TVで「太田総理」をやっていた。太田というタレントが首相役になって私たちの望む政治を作ろうというような番組らしい。街頭で「次の首相には誰がふさわしいか。」と聞いていた。トップは東国原氏17票、鳩山さんが6票で7番目くらい、麻生さんが3票で10番目くらい、ほかに橋下大阪府知事、小泉元首相、石原慎太郎などの名前が上がる。誰も麻生さんは否定するけれど、次に誰がふさわしいのか判断能力がない。首相公選制が囁かれて居るようだけれど、そんなことをしたらこの国の人々は、タレントの人気投票みたいに選び、選んだものにすぐに飽き、ろくなことにならないのではないか、民主主義の行く先は衆愚政治だ、くらいに考えたくなった。
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