ガールフレンドのAさんはカッコイイ男が好きである。テレビでそういう男が写ると、写らなくても時々そうなるが私などそっちのけで夢中になる。織田祐二もその一人である。彼女のご推薦で見に行った。私は介添え人、付き人?
フジテレビ開局50周年記念作品。小説は真保祐一作。
年の瀬も迫った頃、G8外相会議の行なわれるローマに一人の男が降り立った。その男黒田康作(織田祐二)。黒田が赴任する日本大使館ではG8会合に出席する川越外務大臣のイタリア訪問準備に大童であった。
そんな中、天海祐希演じる美貌の未亡人矢上紗江子も愛娘とともに、やはりローマに降り立つ。ところが一人で愛娘がトイレに行ったまま、忽然と消えてしまった。警備会社の防犯カメラには、不振な者もトイレから出る愛娘も映っていない。そして10万ユーロの身代金請求。
紗江子にかかってきた犯人からの電話を、イタリア語ができるということでとった黒田は、問いかけに「父」と名乗ったために、事件に巻き込まれてゆく。
身代金取引自体が違法の国イタリアで、犯人からの要求に応じないわけには行かぬふたり、テルミニ駅、サンタンジェロ城、スペイン広場、ついに現れた男を取り押さえるが、頼まれ男。逆に犯人グループに警察の介入が発覚し、取引は中止になってしまう。
娘の安全より犯人逮捕を優先させる警察に、いかりをぶつける紗江子。そんな紗江子をささえるために、ロンドンから彼女に思いを寄せる商社マン藤井(佐藤浩一)が、かけつけ落ち着かせる。しかし藤井は「クリスマスに間に合わなくてごめん。」と妙な発言。一向に進展しない捜査に黒田は、フリーライター佐伯(福山雅治)の力を借り、独自に捜査を始める。そしてこの事件は、単に身代金だけが目的の誘拐事件ではないのではないか、と気づく。
やがて犯人側から交渉開始の連絡。次の金の受け渡し場所はアマルフィーだという。ローマから約200キロ、ナポリからは約50キロ南にある海辺の都市。イタリアで最も古い海運都市国家として栄えた。街が断崖絶壁にへばりつくように建っており、世界遺産になっている有名な高級リゾート地。ギリシャ神話の英雄ヘラクレスが、愛する妖精アマルフィーの死を悲しみ、世界で最も美しいこの地に亡骸を埋めたと言う。
しかしここでも収穫は得られない。それでも愛娘の監禁されたアジトは漸く見つけられた。やがて一日遅れでG8の首脳が出席し、ナポリ近郊カセルタ宮殿でコンサート、世界的に有名な歌手サラ・ブライトンが「タイム・トウ・セイ・グッドバイ」を歌い、日本から来た川越外務大臣がスピーチを始め、物語はクライマックスに向かってゆく。
日本映画初のオールイタリアロケ、正月を挟んで3ヶ月を要したと言う。
有名観光地が次々登場し、その写真の撮り方がなかなか優れている。よくイタリア側の協力が得られたものと思う。物語もそれなりにスピード感があり、はらはらドキドキさせる。しかし極度の残酷シーンはない。そして甘く切ないエンデイング。イタリアの美しい景色の思いを馳せ、恋人同士で見るとするなら、最高の映画かもしれない。この映画を他人に薦めるか、と聞かれれば多分YESと答えるだろう。二人の関係がよりロマンチックになる・・・・?
ただなんとなく食い足りなさみたいなものが残る。何が心に残った、と言われても、アマルフィーの美しい前景とサラ・ブライトンの歌位にしか答えようがない。
真保祐一の作品を、かっていくつか読んだことがある。映画化された「ホワイトアウト」も見た。背景に社会問題をすえた作品が多いように思う。しかし彼が社会の問題点を告発する問題作を書いている、と言う評判は余り聞かない。社会問題を背景にオハナシを作り上げ、読者や観客に楽しく見せることに重点を置いているからと思う。「アニメの仕事をながくやってきた」、「小説家は嘘をつくのが商売」「映画のストーリーが決まっていてそこから小説を書いた。」というような発言も裏付ける。
それだけが理由でもないだろうが、見終わって考えると、いくつもの疑問がわく。
*そもそも知人の愛娘の誘拐事件まで起こさずとも、グループを警備会社組織にもぐりこませればいいではないか。
*最後になってあきらめるほど覚悟が弱くてよくこんな大事件を起こせたものだ。
*その動機も随分子供っぽい。こんなことでこんな事件を引き起こすか!
*ふとこのような作品を外国人が書いたとしたらどのような展開に持ってゆくだろうか、と思った。最近みた「天使と悪魔」と比較しながら私は鑑賞したのだが・・・・。
それにしても「アマルフィー」とはいい題をつけましたね。素人なら「イタリア観光地誘拐事件」・・・・・しかしこれでは売れませんね。
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