銀座に行き、昔の仲間に会う、と言うので私は少しおしゃれをして家を出た。しかし途中でひげが気になりだした。朝、剃ったのだけれど電動シェーバーは今一歩なのか、また伸びた様に感じる。ドラッグストアで安いかみそりを買い、公衆トイレに駆け込む。
銀座は、新宿や池袋と違って文化のにおいがする。1時間以上も前に、会場のある西銀座に着いた。ソニービルに行く。ソニーの技術の展示館と言った趣で中国人など外人の訪問も目立つ。新型ウオークマン、オーデイオ機器、デジタルカメラ・・・・時々説明など聞きながら、上から下までゆっくり見て回った。隣に日動画廊。ここはガラスのオブジェを色々展示していた。地下に行けば常設展で日本の巨匠たちの絵が無造作に壁にかけられている。熊本県の展示館。焼酎に紫芋を使った羊羹。こんなのもちょっと覗くにはいい。反対側に行けば映画館にソニープラザ。話には聞くが、入ったことはなかったが、まさに女の城。気がつくと昔の西銀座のごみごみした雰囲気は一層され、おしゃれに近代的になっていることに気づく。
今日の会は出身会社の同期の会。
昭和42年に大学をでて就職したとき41人。1967年の67と41人の「ごろあわせ」で、生意気にも「むなしい会」となづけた。今から思えば高度成長時代の真っ只中、むなしいもなにもあったものではない、とば感じるが、当時は卒業して就職したこと自体を「楽園からの追放」などと言ったものもいたほど。要するに甘えていたのである。その後、他界したり転職したりして今では37人。15人が出席した。
「企業年金の積み立て不足13兆円、株安響き倍増」と新聞が報じている。「当社は、大丈夫なのだろうか。」「比較的安い時期に株を購入しているから大丈夫。」という者がいるものの、「もし年金が払えなくなったらどうなるのだろう。」「そのときは残りをみんなで分けるか何かして解散さ。」という者も。我々は比較的安定した会社に勤めた。おかげで世間レベルから見ればゆとりの生活をしているが、心配なことである。
自己紹介をして改めて気がついた。私はこの5月に68歳の誕生日を迎えた。みなは64-65歳。私は、大学に入る前に1年浪人した上、卒業後もみなが当時「サナトリウム」と呼んだ大学院で2年過ごしたから差がある。この3年、4年は大きいのだぞ、と先輩気分でカラ元気。
B君は非常に元気そうに見えた。「今植木屋をやっています。」植木職人はA、B、C、3ランクあるのだそうだ。最初はCで日当5500円、4、5ヶ月するとBに上がり、7000円くらい、さらに4,5年でA、Aともなれば親方クラスだそうだ。
「俺は今Bクラスだ。しかし今Aの試験を受けているんだ。君の庭、どうだい。俺にやらせろよ。梯子だけ用意してくれないと困るけどな。一般に頼むより、5割は安く済むぞ。」
「1年で120日以上植木屋をやった。朝の8時から夕方4時まで、十時と三時に十分、昼休みは1時間で、後は働き通し。こんなに真面目に仕事をやったことは会社ではなかった。しかし1日働いてきれいにしたときの満足感は格別なんだなあ。」
他にも体力づくりに、農業をやっている、最近ではもっと作付面積を増やしたら、といわれている、という御仁が居た。また何人かは、C君を中心に北海道にゴルフに行ったそうだ。なかなか楽しかったようだ。これも立派な体力作りかもしれない。
出世頭A社長は「サッカーのオーナーたちの懇親会?」がある、とかで8時頃退席した。不況で工業用のガスの売り上げが大分落ち込んだが、徐々に回復している、しかし完全に回復とは行かぬだろう、というようなことを言っていた。A社長の好きなサッカー、わが社が母体のFC東京はなかなか好調のようだ。ナビスコカップに優勝するかもしれない、などの声が聞かれた。サッカーと並んで野球が今年何年ぶりかで関東代表枠で出場が決まった。みな実に楽しそうに話している。
やっぱり30年以上過ごした会社の同期ともなればそれだけで心が開放された感じがする。これからのことは分からない。私はあのGNP(元気、長生き、ぽっくり)を述べたけれども、一日一日を充実して生きることがやっぱり大切だ。
最後に私は今一番自分が気になっていることを何人かに聞いてみた。
「民主党が政権をとると、これから日本はどうなると思う。」
「破産だよ。消費税を上げないなんて正気の沙汰とは思えない。」というものもいたが、ゴルフのC君の弁。「君は、どう変化するか予測が就かず怖い、ように書いているけれど、一度ぶち壊せばいいんだよ。混沌の中から英雄が出たり、新しい道が見つかったりするものだよ。」・・・・そういうものなのかもしれない。
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