802「陸上競技大会のアナウンサー」(9月26日(土)晴れ、27日(日)晴れ)

陸上競技の審判員の資格を取り、年次の研修会で、私は、「希望の係り」をあのA氏の薦めにしたがって「アナウンサー」と書いた。声が大きければいいのだろう、そのくらいの認識である。
8月に葉書が届いた。立正高校のBと言う人である。8年度アナウンサー希望者にPCの使い方など実地で教えるから来ないか、と言うもの。

場所は駒沢陸上競技場、平成21年度東京都高校新人教育大会、2日目と3日目。アナウンサーの居場所はメインスタンドの一番上にあるブース。箱だけで、トイレはないからそのときは延々と降りなければならぬ。
「今までどこかでアナウンサーとして話した経験があるか。」「初めてです」
「陸上競技は何をやっていたか。」「何もやっていない。得意な分野がないからアナウンサーと書いた。」と言ったらびっくりした顔をされた。
ヘッドのC先生が各所と連絡を取り、指示を出す。「メインスタンド側トラックを使った練習はやめてください。バックスタンド側外側3コースでお願いします。」など放送。アナウンサーと言うのは進行役としての働きを要求される、と気がつく。

100m予選。まずは前口上。スタートの準備が整うと、無線で「2レーンを除き、6人が出場」などと連絡が入る。するとアナウンサーは「第一組、6人が出場します。」と放送。走り出すと1番、二番くらいの選手を読み上げる。「第3レーン、**の**サンです。」と言う具合。脇で助手の学生が懸命に双眼鏡で追い、教えてくれる。
ゴールに選手が飛び込むと、すぐに電光掲示板に記録が出る。前後して風力が出る。その双方を見て「記録は11秒32、追い風1mです。」などと速報する。まもなく次の組が出るとの連絡。最初の組の記録は、パソコン画面に現れるのを待って、時間を見つけて放送する。
6−3+6と言うのは、6組走り、3位までが準決勝なり、決勝なりに進出、さらにタイム順で6名が次に進めるという表示である。情報が記録に変わり、やがて順位順に表示される。それを待って結果を発表する。

Track & Field Information Systemと言うそのシステムは中々良くできている。画面をいくつも立てて各組の情報を表示させる。PCの使い方をもう少し教えてほしかったが、OJTということで余裕がないようだ。アナウンサーは他にも無線、携帯など色々使いそれらの機器の使用に地通じていることが要求される。フィールドでやり投げなどが行なわれており、別の担当員がパソコンをにらんでいるからそちらとの調整も大切。

400mハードルで、いきなりマイクわたされた。少々目が弱くなってきているのかもしれない。点を見落とした。見落としながら変だとは思ったのだけれど。
「105秒16です。」あわててそばから先生が「1分5秒16、65秒16です。」
「みやこ雪谷高校!」「都立雪谷、都立の高校はみな分かっていますから都立と読まないでいいんです。」記録は最後の二桁を特にゆっくり読む、やマイクの使い方はこう、など色々細かい注意を受ける。頭の中がマッシロ、慣れないうちはとにかく戸惑う。
トラックを中心に経験したが、それぞれの種目にそれぞれの対応の仕方が要求される。
3000mは途中でラップを読み上げる。400m、800m、1000m、1200m、・・・・・・。
3000SC、つまり3000m障害も同様。ただしこちらは1周ごと。
これらは観衆と同時に、選手にも情報を提供していることに気がつく。先を走っている選手の紹介は腰ナンバーで見分ける。遠くから見えぬから双眼鏡を使う。
「双眼鏡とストップウオッチはアナウンサーには必需品です。」

グラウンド状態の報告。「9時30分現在のグラウンドコンデイション発表です。天候**、気温**、湿度**、風は北北東、1.2m」イッテンではなく、イチテン、メーターではなくメートルと読む。
選手の表彰は、1階で別に行なわれる。アナウンサー室と連絡を取りながら、タイミングを見計らって表彰式。音楽を鳴らさせ選手入場。選手が紹介され、3位までにメダルと賞状、4-8位に表彰状が渡される。表彰される選手にとっては名誉な話、あとで友人にメダルなど誇示している者もいる。それだけにアナウンスの間違えは許されない。

初日の後、「軽くやらないか。」と誘ってくれたのでついていった。みな高等学校の先生と言うことであった。家に戻ってひどく疲れた感じがした。2日間の研修で、陸上競技のアナウンサーは、大会そのものの総合デイレクターと認識をかえ、仕事の全体像みたいなものが少し分かり、話しの基本も少しは出来たかもしれない。しかし一方で、なかなか慣れないと入って行きにくい世界とも感じた。

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