夜、楽天とソフトバンクのCSシリーズ第一戦。鉄平が先頭打者ホームランを打つなど打線が奮起し、投げては岩隈が好投し、楽天が圧勝。しかし野村監督は今期限りでユニフォームを脱ぐと言う。ファンから見れば惜しむ声が多い。「CSシリーズに出ると言う快挙を成し遂げたのに球団の態度は何だろう。」「野村がでれば、来年のチーム弱体化は目に見えている。球団は損する、と分かっているのになぜ放り出すのだろう。」などの声が多い。
また憤懣やるかたない野村監督は、ベースを記者の前で投げて「ブラウン、飛んでけ。」とのパフォーマンスまで披露した。広島を対談したブラウン氏が次期監督と見られているからだ。「もう楽天の試合なんか見に行かない。」と言ったとも報道されている。
会社側は球団社長が前面に出るがもちろん判断は三木谷会長であろう。
私はなんとなく人間関係の難しさの縮図を見た気がする。野村監督はヤクルト時代に1位と4位を繰り返した。しかし阪神の監督に就任してからはうまく行かず、3年連続最下位だった。
このことから2005年田尾監督の後をうけて楽天の監督に就任したとき
「やがて野村監督と三木谷社長は対立する」「もうID野球の時代ではない。楽天は野村監督に食い物にされるだけだ。」「野村監督は交際費を月に300万も使う。あの金銭感覚は三木谷氏と会うわけがない。」などと報道された。別の新聞は、当時楽天は、実力は二軍級、オーナーは「こんなチームを引き受けて辞めればよかった、と考えている。」とさえ報道された。
しかしこの5年の成果は、ID野球は有効で、十分に名監督であることを証明した。
たとえば打撃、投球には一球、一球意味がある、それを考えながらプレーをしなければいけないという。試合が終わるとみなでミーテイングをし、どうして試合中にそのような結果になったか選手に諭す。選手は賢明にノートを取って理解しようとする。
しかし選手は最初のうちはなぜそういう説明に成るのか完全には理解できなかった、それが最近出来るようになり好結果につながっている、ということのようだ。
そして野村が羨ましがる西武までおしのけて、しかも2位でCSシリーズを迎えたのだ。
「金を出す」というのはどういうことか。自分にメリットを生み、自分自身が嬉しくなるためである。三木谷氏にとって、前半は正しいが、後半は期待はずれだった、ということか。
彼にとっては、野球は経営の一環にすぎない。チームが地元の支援を受けることもそれを支える方策に過ぎない。もちろん勝ってほしいけれどもそれ以上に大切なのは自分の意向を大切にしてくれること。自分と波長が合ってくれるということ。
野村監督・・・・1935年生まれ、母子家庭で育てられ、子供の頃から苦労した。1954年に南海にテスト入団し、努力を積み重ねた人。捕手としても打者としても抜群。
三木谷社長・・・一ツ橋大卒、ハーバードでMBA、みずほ銀行に勤めていたが、企業家に転じ、楽天を起こした。TBS問題など記憶に新しく、非常に個性の強い40歳代前半の若手経営者、当然自分の気に入るようにやって不思議ではない。野村氏と三木谷氏と感情的なところで何があったか、報道では分からぬ。
その意味で仕方のないことだったのだろう。退団となれば、野村監督はたとえばオリックスの監督になるかも知れぬ。ヤクルト監督を勇退して翌年に阪神の監督に就任にした監督ではないか。しかしそれも三木谷氏は計算した上でのことかもしれない。
ところでこのようなことは歴史上に良く見られることであるし、サラリーマン社会でも常識である、と思う。
優秀であり、実績を上げていようとも、また将来の実績が見込まれようともトップから疎まれてしまう、逆にたいした能力がなくとも舌先三寸で気に入られてしまう。
その結果が部下はもちろんだが、上長の運命を変えることもしばしばあるのである。ただ間違いに見える選択であっても、それが良いことか、悪いことかは個人の選択によるものであり、一概に言えないことかもしれない。
(追記1)10月25日 最後には志願して出てきたらしい岩隈が、またしてもスレッジに3ランをかっ飛ばされて、楽天の今シーズンは終わった。しかしともかくもソフトバンクを下し、優勝した日本ハムと4万人以上の観客を前に北海道札幌ドームで優勝を争ったのだ。楽天の成績も野村監督の功績も賞賛に値する。これからチーム楽天にも野村監督にも新しい人生が始まる。いつか報道で野村監督は「オレ、野球やめたらボケるんじゃないか。」とおっしゃっていたとか。まだまだそんな年齢じゃないと思うなあ。
(追記2)野村監督は結局楽天の名誉監督を受けることになったという。あれだけ怒って見せてもやっぱり個人的なものと世間の柵というやつか・・・・。
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