通信812に対して、同年齢の友人から次のようなメールをもらった。
「・・・・・・・私も新政権には大きな不安を感じています。
大きな政府、小さな政府という議論は昔からありますが、現下のような世界経済の状況のなかで民主党のマニフェストが本当に実現できるのか、いや、そのマニフェストが我が国にとって正しい政策なのか大きな疑問を持っています。
昔、日銀のお偉いさんとお付き合いがあり、日本経済について、いろいろお話を伺いましたが、大変怖い話。脅かすわけではありませんが、政府はいくら税収が不足しても国債を発行して、財政を運用できる。格付け機関からトリプルBと査定されても平気のへいざです。
国家財政(官の財布です)がいくら赤字になっても日本国家の収支(民の財布が圧倒的に大半を占めています)はまだ健全で、世界に冠たる債権国です。官と民の境界線を少し変更するだけで、国家財政の赤字などすぐ解消する(国全体がデフォルトになっている国とは全く違う状況にあるということです)。だから、あまり心配していないということです。これは、すなはち、増税ということです。新政権はいろんなおいしいことを言っていますが、増税なしでできるのか、これからのお手並み拝見といったところです。
さらに付け加えますと、私が心配していますのは、日米安保の問題です。国内の政策問題でしたら、政権交代に伴っていろいろチェンジするのもやむを得ないとは思っています。民主主義の世の中ですから、おいしいことを選挙で公約して人心を買うのは許されていますが、我が国の考え方だけでは解決できない国際問題を公約にかかげ、対米関係をおかしくするのは如何なものでしょうか。最近の報道を見聞きしていますと、新政権は出来もしないことを公約に掲げて自縄自縛になっているような感がします。(国と国が合意したことは重いと思います、民間での契約を考えてみたら一番わかりやすいと思います)日本国が本当の意味で独立国になって自国の安全保障を自前でできるのであれば選択肢はあると思うのですが。」(一部編集)
このメールの言っていることは全面的に正しい、と思う。そしてそのことが国民に認識されていないことがもっと恐ろしい、と感じている。
世の中で何が正しいか、など非常に不明確だ。しかし一応日本の政治の目標を考えるなら「平和な戦争のない、世界レベルから見れば豊かな国の継続」あたりであろうか。
しかし国民の選択がそのような方向に向くとは限らない。世の中に情報が氾濫しているように見えるが、それでも国民は情報に不足しているし、チェックする時間もない。その上、たとえ正しい情報を得ていたとしても、自分の意見を発するとき、その方向に発するとは限らない。個人的な事情も、感情も、周囲の雰囲気も、みな絡んでくる。子供を抱えていれば、とにかく子育て支援をしてくれる政党に一票を入れるかもしれない。
国家の危機などは、そう簡単に出くわすものではない。しかしだからといって、「ない」と決め付けて議論をすることは間違っている。「北朝鮮も中国も攻めてこないじゃないか、だったら自衛隊を養っておく予算は無駄ではないか。」これに近い議論を何度も聞かされた。確かにそうだが、起こってしまったら取り返しがつかぬ、ことを忘れては困る。経済破綻も同じだ。今はこのメールの言うように、民間が豊かであるなら、国債の発行を増やしてもナントカなるかもしれない。しかしそうなれば国債のコストは高くなるし、結果として増税になり、企業は外国に逃げてゆくだろう。
今の国民はその恐怖を実感として知らない。結果、つい目先の利益にとびつく。国民が過去の経験から学び、知恵がつくというのは大きな流れから言えば真実である、と思う。原爆を落とされて、核の恐ろしさを知り、戦争に負けて、戦争のない世の中にしなければいけない、と日本国民は学んだ。国家の破綻だって学んだはずだ。ハイパーインフレにより戦争中の国債が紙くずと化したではないか。しかし国民は同時に忘却する特性も、持っている。太平洋戦争の話は風化され、今は戦後世代の世の中になっている。
その分からない国民を、正しい方向に導いてゆくのが政治の一番の役目である。それを都合の悪いものに蓋をし、いたずらに国民を煽りたてるのは間違っている。やるべきことは人気とり政策ではなく、景気の回復と国家財政の建て直しであると確信する。
実は上述のメールをここに掲載するために、件の友人の許可を得た。返信で友人は「現政権は、選挙で決まった政権であり、余り批評は出来ないが、ポピュリズムに陥らぬよう願うばかりだ。どうもマスコミの応援もありファッショを感じる。」などとしていた。
註 ご意見をお待ちしています。
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