NHKは「天地人」が終わった後に「坂の上に雲」を始めた。ガールフレンドのAさんは中々熱心で、放映中に電話をしたりすると「あなたは見ないのか。」とオカンムリである。私は余り見る気がしないし、この番組は視聴率が低い気がする。
小説のTV化について、原作者の司馬遼太郎のご遺族は難色を示した、と聞いた。私にはそれがなんとなく分かる。基本的には、この小説は、日露戦争で日本が勝利した話であるからだ。松山出身の秀才、秋山兄弟がこれにかかわり、英雄となる話だからである。正岡子規は夭逝するから、つけたりである。
そういう映画を今作られて、ロシアがいい気持ちをしないのは分かりきっている。なにしろバルチック艦隊が全滅に近い形で壊滅させられる話なのだから。しかし少しは誇ってもいいはずの日本人にも、よい感じをもたれないのではないか。あの大戦で負けたからか、日本人は、どうも過去の栄光を見て喜ばない。過去の苦労を分かろうとしない。
つい最近城山三郎の「官僚たちの夏」が放映された。昭和30年代、自動車、繊維、計算機など日本の産業界を立て直すために、官僚たちがどんなに頑張ったかを書いた作品。しかし視聴率は低かったそうだ。美化されたところがあるにしろ、彼らの努力と頑張りがあったからこそ、日本は長い繁栄を享受することが出来たのである。しかし新しい政権政党の主張するように、今は、官僚たちから政治を我々国民に奪い返すとき、悪いのは官僚、という思想が蔓延している。そのような中で多くは冷ややかな目で眺めるのでかもしれぬ。
ところでこの小説のタイトル「坂の上の雲」について考えさせられる。
島国であるからだろうか、日本人は、時折常識では考えられない発想をする。
当時ロシアと戦争をして勝つなどとは、世界全体を見渡せば、ほとんど考えられない話であった。西欧から見れば、日本などは極東の文化果てる地の国、西欧では一番遅れているとはいえ、あのロシアが負けるわけはない!
ところが、ロシアが極東進出を伺い、朝鮮も満州も問題になってしまった。冷静な国際情勢、国力の比較などなく、軍部の力に押し切られる形で、日本は開戦を迎える。しかしそれが、僥倖とロシア内部の情勢、アメリカの仲介等が重なって、成功してしまった。
ロマノフ王朝は、血の日曜日事件が起こるなど民衆の不満が爆発寸前に達していた。そこに極東の小国日本の挑戦。軽く見ていたのかもしれない。
陸では203高地で死人の上に死人を築くような戦いの末、黒溝台でもクロポトキンの不可解な行動に助けられた末、日本はいずれでも勝利を収めることが出来た。
海ではロシア内部でのごたごたもあり、遅れて発したバルチック艦隊は士気も低く、人物も二流。しかしこれだってあんな国くらい一ひねりにしてくれるはず・・・・。しかしロシアの脅威を挟み撃ちにしようと、1902年に結んだ日英同盟が実に効果的に働く。スエズ運河を通れずバルチック艦隊はえんえん喜望峰を回って日本に向かわねばならなかった。その結果が日本海海戦での敗戦。
小うるさい日本に意外に手を焼いたロシアが、アメリカの仲介に乗ったというだけである。
もっと戦いを続ければナントカなる、位に考えていたから、その後の条約締結でロシアが強行だったのは当然。日本国民の多くは、日本の勝利を喜ぶ一方、ポーツマス条約を外交の失敗とばかりに非難した。
坂の上にある雲は、きれいで素晴らしいけれども、手が届くわけがない。それを島国育ちの日本は、時として手に取ることを考える・・・・・。
一番初めは、私は秀吉の朝鮮出兵ではないか、と思う。とにかく当時の大明国を征服し、そこ天皇陛下に行ってもらおうと考えたのだから・・・。
ところが世の中は分からぬもの、朝鮮出兵は失敗したが、「坂の上の雲」が僥倖で取れてしまった。これが日露戦争ではなかったか。もちろんこれでびっくりしたのが西欧社会。特に米国は日本に途端に警戒感をいだき始めた。出来ないことをした日本に、いままでいじめられてきた小国が、目を見張って日本に喝采を送ったことも分かる。
実はこれと同じことが少し前に起こった。日清戦争である。あれも緒戦で清の軍艦2隻を沈めて、勝ってしまった。これも僥倖に近い。
ただ僥倖は、いつも起こるとは限らない。そしてその警告が2度会った。シベリア出兵の失敗、ノモンハン事件である。しかし国民全体として気づくことなく太平洋戦争突入。残念ながらアメリカは真珠湾攻撃でも、シンガポール陥落でもあきらめず、最後まで戦ったために、結局は敗れてしまった。
今、民主党内閣の政策は財政再建を無視して、国民福祉ばかりを考えているようにも見える。政策が「坂の上の雲」でないことを、たとえそうであっても僥倖が成功させてくれることを、祈るばかりである。
註 ご意見をお待ちしています。
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読者からつぎのようなメールをいただきました。
1)民主党の政策は
「ああ人栄え国滅ぶ、盲いたる民世におどる」と
謡われた過去の歌に似ていますね。
「オバマよりオバハン選ぶか鳩ぽっぽ」
は今後どうなるのでしょうかね。
2)鳩ポッポの処置は
相手側には「合意破棄」とうけとられ「普天間固定」に進むことは
確実な様相を呈してきましたね。そうなると同盟関係全体に
亀裂が生じますね。生活に便利なところにいられる米兵は喜び
沖縄県民はがっかりしますね。それにもまして同盟関係亀裂は国民の不幸ですね。
そんなことは十分読んでいて、こういう対策があるのだから心配ないと
示せるようなら立派ですね。でもその可能性はゼロに近いでしょう。
そのようになることは福島オバサンだって読めるはずです。でもオバサンは
米国との関係を壊すことが目的ですから、沖縄なんかどうなってもいいのです。
これはこれでひとつの信念でしょう。世の中色々ですから。
それにしても
こんな簡単なことも読めないで首相が務まるのが不可解です。
その首相を支持している国民がいることはもっと不可解です。
3)鳩ポッポがオバマに言った英語
「trust me」と伝わっていますが、
あれは本当は「trash me」と言ったのでは
ないかとのこと。
冗談みたいに産経新聞にかいてありました。
でもオバマも彼と会って振り回されれば更に支持率が
さがるので、本当にもうあえないでしょうね。
フィリピンのアキノが米国に冷たくして、駐留軍を
100年ぶりくらいにフィリピンから追い出した直後
中国に南沙諸島と西沙諸島を武力占領されましたね。
その後再び米軍を呼び戻そうとしたのですが、米軍も領土も
戻ってこないようですね。
鳩ポッポがtrashされるのは仕方ありませんが、日本が
国際的にtrashされるのはまずいですね。中国はよろこびますが。
それから不思議なことがあります。共産党の志位委員長が
天皇会見問題で小沢幹事長を非難していることです。
小沢さん憲法を読み直せといって居るのです。