832「日航の破産」(1月19日(火))晴れ)

日航がとうとう会社更生法を申請した。株価は紙くずになる恐れが大きいと5円などというとんでもない値をつけている。
問題点と再生計画についてTVでうまく要点をまとめていた
@財務:8000億の債務超過。銀行等による7000億の債権放棄と100%減資、そして企業再生機構が3000億用意する。
A従業員:15700人減らす。これは日航社員の30%にあたる。
B企業年金:現役が約30%、OBが約50%カット。
C赤字路線:今までも多くの赤字路線から撤退したが更に31路線から撤退。青森空港を例に挙げて問題点を探っていた。
Dジャンボ機:効率の悪いジャンボ機を5年ですべて退役させ、小型の性能のよい飛行機とかえる。
これらの結果として、再来年度に黒字転換、平成24年には954億の黒字を出すとしている。
懸念される点の第一は収益の悪化をどこまでで止められるか、という点。日航の客は今まで優待券を使った株主が多かったそうだ。彼らが日航に愛想づかしをしないか。第二は金融機関の協力。更なる債権放棄の上積みなど出た場合、金融機関が協力してくれるか。そしてまずくなった場合、またまた国民の税金が注がれる恐れがあるという。

もう40年くらい前だろうか。入社して間もない頃「少しは技術屋も労働組合のことなども分かっていた方がい。」とそういう関係のセミナーに行かされた。
そこで日航の労組関係者が演説をしたのだが「いかにして会社に金を出させるか」ばかり話していた。まだ純情だった私は「会社の発展はこれで成り立つか。」と疑問を持った。
その後も日航の社員優遇振りは、みなの評判だった。思い出す。

日本経済新聞(1月18日)に、気になる見方が掲載されていた。「日航は「あすの日本か」」サブタイトルに「危機見えても手をうてず」論説委員の平田育夫氏のもの。序にいう。
「各国航空会社との競争が激化する中、経営者の怠慢もあって業務改革が遅れた。中年社員や退職者は既得権に固執、また公的な債務に安易に依存してきた。要すれば、世界大競争という現実を前に過去の成功体験に捕らわれ、予防的に手を打つのが遅れた。現代日本の経済政策や企業経営が抱える弱点を見事に映し出している。日航はあすの日本なのだろうか。」
日航の場合、中年社員が主導権を握る労働組合が業務効率化に非協力的で、退職者は高い年金の減額にぎりぎりまで抵抗した。
この中高年世代・・・・日本全体でも様々な分野で強すぎる存在感を示す。特に1947-49年生まれの団塊の世代670万人である。・・・・いわば「田中角栄という社会主義革命家」に助けられた世代だから、国頼みを当然と考えがちだ。英国人投資戦略家タスカ氏は「中年男性の再配分連盟」と呼ぶ。目に見えない連帯が日航だけでなく日本の社会全体にある。その連帯は医療、農業、電力など多くの分野で新規参入に、ベンチャー企業に有利な法人税制に反対するのである。彼らは選挙の投票率も高いので政治的な力も強い。
国債とはつまり国を通じた若い人や子孫からの借金。中高年はそれをなんとも思わなくなったのか。鳩山政権が取り組むべき問題はまず中高年の既得権意識だ。たとえば後期高齢医療制度を廃止しようとするが、現役世代の意見を聞いてからにしてほしい。医療、電力、農業の今の規制を続けるなら国民投票で是非を問うくらいの覚悟をしてほしい。厳しい改革を避けていては経済は良くならない。後の世代に負担を押し付けるだけだ。
最後にこの論説は「国に何をしてもらうかではなく、国のために何を出来るかを問え。」というあのケネデイ元大統領の言葉で締めくくっている。

この記事の隣にトヨタファイナンシアルサービス取締役平野英治氏のインタビュー。
「政権交代を選んだのは、これまでのやり方を変えてほしかったからで、小泉―竹中路線を否定するためだけじゃない。竹中さんらが掲げた「改革なくして成長なし」などの方向性は今の政権にも通じます。」「みんなで楽して儲けられるならそれに越したことは無いがそうは行かない。・・・・企業と家計、内需と外需などを対立概念とし、感情の赴くままに企業やグローバル化をたたいても何も生まれません。」・・・・・・・全面的に賛成できる意見である。

中高年といえば我々自身、自分がその立場でよくこんなことを取り上げた、といえばそれまでだが気になる記事だ。国民は合理を求めた小泉・竹中路線を否定して民主党政権を誕生させた。しかし民主党政権だってすぐに景気が好くならなければどうにも成らぬことに気がつき始めた。この先一体どうなることやら。分かっていながら日本全体が埋没することを恐れる。

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