835「野望と知恵のバランス」(1月29日(金)晴れ)

昼間、明日からしばらく船旅にでる友人のA君と話した。
最近の相場はなかなか先が読めず、難しい、という話から失敗談に移る。
「株価が上がってゆくときには、皆株をどんどん買い増す。買わないものは馬鹿みたいに言われる。しかし一旦下げ相場になると、元気のよかった連中は大変だ。時には全財産はたいて自殺する者まで出てくる。それはみな分かっているつもりだが、つい深追いする。肌で分かっていない者が多いからだ。」
「同じことが不動産バブルなどについても言える。いつか株を持っていた会社は、建売住宅で儲かっていた。土地が値上がりしてゆくからその分の利益も得た。しかしそのうち値上がりするなら、土地を早めに確保した方がいい、と考えた。土地はこういう土地がいい、と思っても、右から左に売り物件があるわけではない。そこで同社は、少々無理をして、つまり銀行から金を借りて高い値で買いあさった。ところが地価の下落。たちまち資金不足に陥り、貸家業にでも転換しようとも考えたが手遅れ、とうとう倒産した。
この怖さを知っている別の大手マンション建設会社。自分で土地を手当てする物件は出来るだけ抑えて、他人の開発した物件の販売、工事、あるいはすでに自分が売った物件のメンテナンスなどに方向転換している。」

「重要なことは、本で読んで知っていることと、実際に経験してその怖さを知っていることの差かもしれない。ところがこういう経験は、20年、30年単位でないと経験できない。一生のうちに、何度も経験できるものではない。」
A君は、もうすでにこのような株式不況に直面するのが、3度目だそうだ。老人の知恵、というやつはこういう経験から出てくるのかもしれない。

自民党が党の若返りを図り、かつ選挙に勝つためと称して70歳以上の候補を公認しないことにきめた。あの山崎氏や肝炎運動で有名な福田氏に負けた久馬氏などが含まれるそうだ。70と聞いてびっくりした。私ももう68歳、その年齢に近い。自分の身体的能力が若い人に劣ることは分かっているが、世間を見る目は、少しは年の功があると考えている。
選挙のためには正しいのかもしれないが、私は余り賛成しない。選挙よりも日本の将来という見方で考えれば、70を越えた人たちの意見も十分役に立つと思うからだ。

政局をあずかる人を見ていると
「一般に50未満の人は、己の欲望が強く、理想が高く、ものを急ぎすぎるように見える。逆に70も越えてくると、先が見えてくるから欲望が抑えられ、ものを客観的に、やさしく見られるようになる。しかし活力が衰え、進取の気性が引っ込み、経験だけでものを考えがちになる。わが身が可愛いから、保守的にもなる。その両者の兼ね合いから政治家に一番向いているのは、50代後半から60台ではないか、と思う。」
「会社は、60歳定年でいいのかもしれない。なぜなら司令塔は一本でいいし、司令塔、つまり役員には、一般には60歳ルールは適用されない。一般社員は会社を発展させなければならぬ、そのため動き、新しいことに挑戦しなければならない、それゆえに60歳という線もある程度うなづける。しかし政治の世界は、違うように思う。新興国ならいざしらず、国家は発展すればいい、と言うものではない。老人や子供も含めた幸せな社会を、いかに発展させてゆくかが問題なのである。そうと成れば老人の知恵もまた必要になるのではないか。」
「それゆえにテレビ討論などでもしばしば首相経験者などが呼び出され、いろいろ意見を聞かれる。大抵の議論はまたあんな事を言っている、とチャンネルを変えてしまう私も、こういう話は良く効く。とにかく公平感があり、そこから何らかのヒントが得られる、と感じる。」
「それに日本はこれから高齢化社会を迎えようとしている。そういう時に、当事者である老人の国政への道を閉ざしてしまうのは、いかがなものか。もちろん年齢による線引きも必要かもしれない。しかし70歳はいくらなんでも若すぎるように見える。80くらいであるのなら、まだうなづけるのだが・・・・・。」

「考えてみればある条件の者は候補にしない、というのは逆差別のように思う。代議士の息子は、候補にしないなどもその例だ。民主主義というのはおかしなものだ。金もあるやつも、無いやつも、頭のいいやつも、悪いやつもみんな一人前として扱う。その割り切りのすごさには驚くし、不満も多い。しかしそれゆえに納得せざるを得ないところも多い。その上に、更に条件をつけて、あるものを排除するというのはおかしい。」
みなさんは一体どのようにお考えですか。何?年よりは引っ込んでいろ?後で臍をかむようなことがあっても知りませんよ。

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