2007年の春であった、と思う。おばさんの薦めるワールドリートオープンは、100万円投資して、月に8000円程度のリターンになるというものであった。年率9.6%。私には悪くない投資に思われた。「世界の不動産に投資するんでございますよ。賃料収入などが配当に当てられます。ですから安全ですよ。」おばさんの言葉が私の買いたい気持ちを後押しした。投資信託の単価は気に留めなかったが確か12000円くらいであった、と思う。
ところがそれがどんどん下がる。そしてそれがあのリーマンショックへと続いた。とうとう投資信託単価は4000円くらいになった。配当も100万円に対して6000円にさがった。余り下がるから、投資家の不安を解消しようとして説明会が開かれた。そのときには為替の話が随分強調された。しかし為替だけでこの下落は説明しきれぬ、何があるのか、疑問に思った。
ところが世界があわてて景気対策を採ったおかげで少し持ち直したらしい。配当は6000円で安定する雰囲気。投資信託単価は1000円くらい回復した。しかしその程度であるから売ればとんでもない損害になる。
そこで逆を考えた。今月に6000円もらっているが12000円もらうにはいくら投資したらいい?40万円ということでまた投資した。月々の配当は12000円になった。しかし40万円に対して月6000円というのは年利18%にもなる。こんなに高いのだから、この投資信託は絶対に上がるぞ、と考えた。ところが上がらない。今もって5000円である。損をしたのも悔しいが、理由が分からないのは気に入らない。
別の証券会社に行ったところ、ハイイールドオープンというものを薦められた。3年ものだが年利が10%を越える。ハイイールドであるだけに、ハイリスクなところがある。米国の格付けB-Dクラスも株を運用するという。「しかしリーマンショックが再び来るなら別ですが、そうでなければ安心ですよ。私どもの読みでは、ここ2,3年はアメリカは悪くはありません。」「実は証券会社はずっと高い運用実績を上げているのです。商売ですからね。」そこで損の上塗りにならぬことを念じながら少し買った。
そして思った。「日本の社会とアメリカの社会は違う。国債は少し下がったが、トップクラスの投資信託でも5%以上、それがB-Dともなれば10-20%は当たり前の世界なのではないか。」
そう考えると、実はワールドリートオープンの投資対象は、株式市場のように投資対象としてランクづけすればずっと下のほう、アメリカ人にとっては当たり前の利率、それゆえに単価があがらないのではないか。
ところでもう一つ私が疑っていることがある。円は今90円強、円高に振れて80円、70円になり、輸出産業が打撃を受けるのでは、と恐れられている。しかし実は逆で、少し長期に見れば120円、130円あるいはそれ以上になる可能性が高いのではないか。日本は、やはり人口の老齢化の進展が激しく、技術的にも価格的にも途上国に追い上げられ、世界での市場を失ってゆく、内需はそんなに伸びない、と考えるからだ。現政権の政策にも不安。少し円安になって「よかったじゃないか。」などと発言する閣僚がいるようでは・・・・。
国家が景気を救う最大の政策は、輪転機を回してお札をどんどん増刷し、自国通貨安を推進し、輸出を奨励することだと聞いた。しかし行き着く先は国家の破綻。アルゼンチンの例がある。近いことを現在の日本も行っているように見えるが、円安にならないのは国債の多くを日本人が持ち、まだ安全に見えるからに過ぎない。しかし自国通貨安を招くことは出来るが、反対は簡単にはできない。
またドルに対して円安になるという仮定に対する不安は、ドルもまた弱い通貨、ということ。たとえば人民元に対して円安に振れることは確実、やがて1人民元=30円などという時代がきても不思議ではない。日本の将来を不安視するなら、やはり資金を外貨で運用するにことを薦める。そうしなければ来るべき円安の不安に耐えられない。
話を元に戻してワールドリートオープンは、資金を取り崩して配当しているのではないか、やがて配当を下げるのではないか、と言う不安。しかし案外少ないのかもしれない。
向こうの世界では、投資した金が10年以内に返るのは当たり前。考えてみれば20-30年前の日本はそうであった。金利は10%近かった。それゆえ固定金利で預けていた者は、その後大きな利益を感じた。不動産でも同じであった。それが景気刺激のために政府が低金利政策を続けた結果3%だの5%だのという数字が常識になってしまった。
その後ワールドリートオープンは、主としてアメリカの不動産に投資していた、それも「不動産を取得して賃料収入」などというものではなく、それに関連した債券に投資していたと分かった。それゆえに市場の影響をもろに受けた、と解釈すべきであった。
さてこの反省を踏まえて今後どうすべきか・・・・考えろ、考えろ!(通信628参照)
註 ご意見をお待ちしています。
e-mail agatha@bekkoame.ne.jp
home-page http://www.bekkoame.ne.jp/~agatha