845「バレンタインデー」(2月14日(日)曇り)

ラジオ体操から帰ってくると、向こうから小柄なおばさん。「阿笠さん!」
Tおばさんだった。「これ。お返しはいらないわよ。今日しかないものね。」
緑色のパッケージに包んだ小さな箱。バレンタインデーのチョコレートである。
おばさんは多分私より5つか6つ年上。
ご亭主がラジオ体操に熱心で、私が始めた頃は指導員で元気に見本を見せていた。
しかし5年位前になくなった。癌とも聞いたがよくは知らぬ。おばさんは、ご亭主が亡くなった当初元気が無かったが、それでもラジオ体操だけは来続けた。見る見る元気になった。女性は亭主が亡くなると開放されて元気になる・・・・とは私の仮説。

私は朝6時5分に家をでてジョギングでラジオ体操の行なわれる公園まで歩いてゆく。
するといつもとぼとぼ公園にむかっているおばさんを追い抜くことになる。
「そう、それじゃあなたは私の弟と同じ年齢だわ。」時々そんな一言、二言の会話が生まれる。おばさんがバレンタインのチョコレートを始めてくれたのは3年位前だった、と思う。
もらいっぱなしでいいものかどうか迷った。迷った末、ホワイトデー頃に安物のチョコレートを買ってきて、おばさんの家に行き、ポストに放り込んできた。
「あんなことをしなくていいのに。」といいながら、おばさんは満更でもない風だった。それが慣例になって、去年もそのスタイル、今年もそうなるのだろう。チョコレートは、だんだんグレードアップしてきて今年は外国製、4粒も入っていた。

贈り物はもらうと嬉しい、しかし最近はあげることも楽しい、と考えるようになった。贈る相手がいるではないか。贈り物を用意するだけの元気があるではないか。経済的余力があるではないか。しかしそれも後何年続けられることか、そこまで考えが及べば立派?
そして贈り物に対して、相手のリアクションがあるとなお嬉しい。
「あーら、ありがとう。」だから女性の場合、特に礼儀の第一にお礼を言うことを教えられる?女性から男性にあげるときでも同じ。世の中は常にgive and take!
それが分かっているから、今年もおばさんにお礼をしないわけには行かぬ、と感じる私。

今年はバレンタインチョコレートを3箇所からもらった。他に孫娘とガールフレンドのAさん。孫娘は1月の末にもらってしまったから、もう「早めに!」とお返しを済ませてしまった。「おいしかったよ。」なるメールが届いた。過去形になっているところが気になった。あれは20粒もある、みんな食ったのではないだろうな。残り二人は、これからゆっくりとおかえしを考える。バレンタインは、こんな風に考えれば二重の楽しみ?
Aさんのチョコレートは、生協で買った日本製、と言っていた。しかし中々おいしい。この頃は中に酒の味がついたやわらかい餡のようなチョコレートの入っている物が好かれるらしい。ちょっと高級感がある。中に入ったパンフレットを見ると、技術をベルギーから仕入れてベルギー風に仕上げたらしい。チョコレートは欧米製・・・欧米のチョコレート製造技術についてはどこかで述べた。しかし最近はすぐに技術が海を渡る時代、チョコレートもしかりということか。

よく義理チョコに反対する女性がいる。あれはしかし考えてみると、一つには女性が贈りながら相手に特段の関心がないからである。関心がなくみんなが贈るから贈る、あるいは営業用、それだけだからである。もう一つは贈られたほうが、チョコレートが嫌いか、相手の魂胆を見抜くか、その女性に魅力を感じていないかである。本当は無理にでもありがたみを感じるべきで、義務を果たしていないのだ。
あなたは、今年は貰いましたか。奥さんだからいつも面倒見ている、そのお礼だからいいじゃないか・・・・いけません。大仰に喜んで見せ、ホワイトデーには高級チョコレートを用意してデイナーのご招待し、ベッドに入ってからは・・・・・知りません!とにかく奥さんでも心の隅ではお返しを期待していると思いますよ。
きれいに成るのは女性自身の役目、それを作るのを土台で支えるのは男性の役目!

(追記)3月14日  ガールフレンドのAさんとTおばさんにチョコレートを贈る。Aさんは「息子からももらったわ。私なんかじゃなくて他にあげる女友達はいないのかしら。」と妙なことを言っていた。息子さんは30ン才と聞いている。

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