848「何でこんなに可愛いのかよ」(3月18日(木) 晴れ)

「何でこんなに可愛いのかよ、孫という名の宝物、爺ちゃん、あんたにそっくりだよと、人に言われりゃ嬉しくなって、下がる目じりが、下がる目じりが恵比須顔・・・・」
大泉逸郎の演歌。1999年に彼はこの歌でメジャーデビューした。94年に初孫が誕生し、あまりの可愛さに、生後3日目に友人の荒木良治に作詞を依頼し、自らが作曲を担当してできたとか。2010年、お孫さんも16歳か、17歳になっているはず、どんなに成長されたか?

長崎旅行の土産に古賀人形を買ってきた。長崎県の古賀という地域で作られる、郷土人形である。京都の伏見人形、宮城の堤人形と合わせて、「日本三大土人形」と呼ばれ、人形の収集家の間で、とても重宝がられる人形。400年位前に京都の土器師によって伝えられたもので、オランダ人や唐人のモチーフと素朴でカラフルな色付けが人気の秘密とか。
土産というものに厄介なところがある。後から渡すのにどうするか、ということ。別に家を構えていると案外身内であっても行き来の無いものである。だから生ものなどはよほど考えて買わないといけないのだけれど・・・・・。今回は娘夫婦が孫を連れてやってきてくれることになった。「今日は会社を休んだのです。これから三人で井の頭公園に遊びに連れてゆきます。」という婿殿。受け取るためにわざわざ会社を休んだのではないのだろうな、と心配した。「面倒だったら持っていってやろうか。」と電話口で言ったが、彼女は「じゃあ、明日行く。」と気軽に言っていた・・・・・。

久しぶりに見る孫は1歳半、すっかりたくましくなっていた。言葉はまだだが、どこにでも歩いてゆく。あらゆるものが興味の対象らしい。ガスストーブの電源コードをあわてて引き抜く。突然ストーブがついたりしたら事故になりかねぬ。TVのリモートコントローラをいたずらされてはかなわぬから、ビデオのそれをわたす。携帯電話は古いものがあった。「テイッシュはだめよ。全部出してしまう。」と母親。
静か、と思った瞬間、彼が隣の部屋に行ったことに気がついた。大人3人、追跡。床の間に私の作った陶器のお茶碗が置いてあった。それを早くもいじっている。あわてて引き離すと、今度はまだたたんでいなかった私の蒲団に乗っかりご満悦である。
「この子は他の子とくらべても活発なのよ。目が離せない。」と母親、つぶらな瞳で私を見上げる。父親は合気道、母親もジョギングが好き、という手間だから丈夫なのだろう。結構なことだ。写真を撮ろうとするが構えるとそれは何だ、という様子でカメラに向かってくるからシャッターを切るチャンスがない。
食うほうもすっかり成長している。ケーキを3つ用意したところ、母親から「この子のはないの。」と抗議されてびっくりした。台所からかミルフィーユまがいを持ってきたが、まだ食えぬという。「いいわ、こちらのを少し分けてあげるから。」とお茶の時間が始まったが、婿殿のケーキをよほどうまいと感じたらしい。口に入れてやるのを辞めるとワーワー騒ぎ出す。とうとう婿殿のケーキをほとんど食ってしまったらしい。申し訳ない。
私にそっくりかどうかはまったく分からない。少なくとも娘夫婦は自分たちのどちらかに似ている、とは思っても、私にそっくりでは気に入らぬだろう。

「もみじみたいな小さな手でも、今につかむよ幸せを・・・・・」
「強く育てよ、大空泳ぐ、五月節句の鯉のように、親の背よりも大きくなって、独り立ちする二十歳がきたら、祝い言葉を、祝い言葉をかけてやろ。」
そうだ、きっと幸せをつかんでほしいものだ。出世してほしいものだ・・・・親ばかちゃんりん、いや、爺馬鹿ちゃんりんの夢は膨らむ。
もうそのもみじみたいな手は、私の手をしっかりつかみ、意思を感じさせる。やわらかい、すべすべした温かい肌。もっとも普段親しんでいないから、抱き上げるとちょっと不安になるらしい。早くおろせ、という様子。おろしてやると両親の方にすり寄ってゆく。
五月節句の鯉は、彼らはマンション住まいだから大きいものは無理なのだろう。しかしちょっと田舎に行けばいくらでも見られる。あの鯉のように本当に大きくなって日本を、世界を、場合によれば宇宙を飛び回ってほしい・・・・。

しかしこの子が二十歳になる。
私は87,8歳。生きているかどうか分からぬ。死んでなくても病院のベッドかも知れぬ。
日本はどんなに変わっているのだろう、世界はどんなに変っているのだろう。でも元気でいたなら、私も祝い言葉を、祝い言葉をかけてやろ・・・。
嵐のようなひと時が過ぎ去って又一人になる。そろそろ自分の昼飯の用意・・・・彼らは何を食っているのだろう。でもなんとなく心が弾み幸せを感じる・・・・。

註 ご意見をお待ちしています。
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読者から次のようなメールをいただきました。

こいのぼりについてひとこと。
黒い鯉と赤い鯉が有るが、どちらを上にするのか、ご存知ですか。
大勢の人に聞いてみると
「男が上だ。」などという答えが多い。小生いつも教えてあげる。
「コイに上下のへだてなし。」といってどちらが上でもいいんだよと。
しかし、これは冗談。正解は矢張り黒が上みたいですね。