866「民主党政権が教えたもの」(5月18日(火)〔晴れ〕)

上野に事務所を構えている税理士に20年以上お世話になっている。その人は80歳以上、実質は息子さんが継いでいる。今日はアパート経営について先方の作った申告書類を承認し、捺印することで伺う。しかし10分くらいですみ、後は雑談である。
最初は先生の「教師と公務員はボケやすいというがなぜだろうか。」という発言。私はこの前読んだ「絶対ボケない生活」から受け売りで答える。「公務員は、責任は取らずに言われたことを恙無くこなしていればいい。学校の先生はオヤマの大将で十年一律同じことを繰り返している。そんな創造力を発揮させない仕事の連続がボケを生むのではないですか。」
先生は言う「しかし公務員も大変だよ。税務署にいることは随分頭を使った。」

失言!この先生はもと公務員だった、と思いだした。今で言う査察官のようなことをやっていたという。色々な手法で脱税をしようとする連中を摘発するのだから人を疑ってかかるようになり、目つきまで変ってきたとか。しかし「世の中は皆から納められた税金で正しく動いている。オレたちは税金を治めさせることを通じて国家を支えている。そんな自負があった。」
すると私はつい反論する。「税金を払うことは市民の義務である、それはそう思う。しかしそれが正しく使われているのか。最近の政治家の動きなど見ると「無駄に使われている。」と感じ、税金を何とか払わない方法を考えるのです。」「そうだね、そこのところはどうしても疑問に思う。」「あの鳩山さんのお母さんら毎月1500万円もらっていた、という事件。もらっても知らなかった、といえば罪にはならない。ばれなければそのまま脱税してしまえばいい、そういうことになりませんか。」すると先生も同調し「上がそういうことをやればみなそれに従う。税務署としてもそういう考えに成るんだろうね。」

私は更に言う。「民主党政権は随分問題なことをやったけれど、長い目で見ると日本人の倫理観を一段下げてしまったことではないか。たとえば国会議員、秘書が逮捕されても「私は知らなかった、まだ司法の判断が出ていないから」などと押し通す。そして国会の場で説明することすら拒んでしまう。自民党政権も決してほめられたものではなかったが、こういうことがあれば議員辞職までは行かなくても党を離れたり、役職を辞任したりして一応の形を整えた。秘書の行動は自分の責任というスタイルをとった。それを「そんなことをする必要は無いよ。」と率先して教えてしまった。効果はすぐに表れた。北海道教祖から選挙資金をもらった女性議員。申し訳ない、遺憾だ、とリップサービスを繰り返すくせに辞任のジの字も言わないではないか。」
そんなことを言うと盛り上がってしまった。

中旬、日本経済新聞に掲載された「軽すぎた約束」は興味深かった。
5回に分かれており第1回は「財源なき夢物語」現実直視か、放漫加速か、である。マニフェストでは消費税は上げない、子供手当て、高速道路無料化など夢を振りまいたが、新規政策16.8兆円を集める算段がない。
続いて「一に選挙、ニに選挙」国民のため?党のため、子ども手当の実施はタイに500人の子を持つと称するものが申請に来るなど問題点が多い。無理やり参議院選挙に合わせて支給しようとし、十分検討しない法案を上程している。
第三は「脱コンクリートの虚実」利益誘導、理念押しやる、である。公共工事を減らしたが地方の悲鳴でその方針がゆがめられようとしている。
第四は「司令塔なきマネー活性化」未来を開く戦略はいつ、は特に郵政問題が極端。ようやく財源が必要、そのためには経済活性化が必要、とわかっていても郵政民営化のように国民から金を吸い上げる政策を取る。
第五は「「普天間」のツケ重く」経済・アジア外交にも影、迷走が日米関係のみならず周辺諸国にも影を投げかける。
第一で「小沢一郎氏は「「財源なんてなんぼでもある。」とし07年度参院選で増税論にフタをした。」とあった。そしてその思想は今でも受け継がれているようで、消費税増税に「まずは無駄をなくしてから。」と慎重だそうである。
これらと考え合わせると、民主党政権はもう一つ教訓を残してくれた。「実現性なんかかまわずに国民に夢を届けよ。政権をとればこっちのもの。」

別の友人が言っていた。「総理大臣のみならず大臣様ともなれば、われわれは尊敬したいと考えている。現政権はそんなものではない、と決定的に教えた。」

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