868「ギリシャ問題に思う」(5月17日(月)〔晴れ〕)

世界の金融市場がギリシャ問題で揺れている。EUに加盟するのはある財政条件をクリアーしなければいけない。ところが政権は出来るだけ国民の満足の行くような政治を行なわねばならぬ。そうしなければ選挙で負けてしまう。
国民の満足の行く生活・・・・働けば十分の収入が得られ、秩序が保たれ福祉の行き届いた生活・・・・・しかしそれには金がかかる。EUに入れば、それに一歩近づくことが予想された。そのため政権は、自国の経済状態を粉飾して報告し、EUに入れてもらった。
新政権が出来て調査したところ財政状態は引き返しがつかぬくらい悪化していた。このままでは国債が償還できぬ、と言い出した。それには各国が驚いた。ヨーロッパの国の銀行が大丈夫か、と疑問を持ちながらもギリシャの国債を買い、助けてきた。それが紙くずになるかも知れぬ!格付け会社はギリシャの国債の格付けを下げた。投資不適格!
ユーロはどんどん下がった。かって1ユーロ168円まで行ったものが、今115円を割ろうとしている。ヨーロッパ各国協調融資を決めた。

しかしそれでも下がり続けている。一つにはこれ終わりになるのか、という疑問。一時しのぎには成るが、その次の償還のときは大丈夫か。ギリシャと同じような問題を抱えているスペインやポルトガルでも同じようなことがおこらないか、等々の不安。
それにこの救済策がすんなり実行されるか。救済策を受けるにはギリシャは財政再建に向けて多くの政策を採るころを約束させられた。ギリシャは国民の5人に一人が公務員の国、主な収入は観光・・・・そんな国であるが国民の思考は過激。われわれの生活をどうしてくれる、これは自分たちの責任ではない、給料カットなどとんでもない、というわけである。下手をすれば政権がひっくり返り、義務を履行しないかも知れぬ。

融資の金は最大がドイツで28%、フランスが20%出すのだそうである。ところがドイツでは「仕事をしないで酒ばかり飲んでいるギリシャを何故われわれの税金で救わねばならないのだ。」地方政治では早くも反対野党が勝っているとの事。政権が変ってしまえば何が起こるか分からない、国家同士の約束すら当てにならぬ、ということは歴史が証明しているし、今でも普天間がそうだ。こうなってくるとEUそのものが崩壊し、ユーロの意味がなくなってしまうのではないか、みんなそのように恐れている。
通貨だけ統合して、各国の経済は自主性に任せたのがいけない、これからはEUとして監視を強める、EUからの脱退、除名をどのようにするか。曖昧だなどの議論が出ている。当然のことである。誰しも楽をしたい、その集まりが同盟を作ったようなものであるから、中には他人の懐ばかり狙うやからが出てくるというものだ。信用できるはずのものが実は信用できず借金を踏み倒されそうに成る、その結果大騒ぎという構図は、サブプライム問題とまったく同じに見える。
しかしこの問題は他人事ではない日本はGDP比で見れば、ギリシャに倍する借金をしているのだ。ギリシャ問題のような問題が起こらない、と考える方が不思議だ。そしてその根本を探ってゆくと、本来国家は国民の税金の範囲内でやってゆくべきであるのに、借金をしてそれ以上の楽をさせる政策をとってきた、そのツケが来ているのだ。

ところで以下の議論は私の乏しい知識を集めての臆断。
今回のEUのとろうとしている政策でこれしかないだろうなあ、と思う政策がある。国債の買取である。日本がこれだけ財政状態が悪化しながら問題を起こしていないのは、国債を銀行が買い取り、景気の悪いときにはそれを国が買い取り、資金を民間に流すのである。国債を外国に売ってしまえば日銀の庇護から離れざるを得なくなる。そのもたれあいが銀行に国債を売らせず、従って市場における国債の価格も安定しているのではないか。(そしてそれが将来限界に近づくことを恐れて政府は郵政民営化を逆戻りさせようとしているのではないか。)同じようなことをアメリカもやっている。民間銀行に国債を買わせ、景気をよくしようと思えばそれを吸い上げて連邦準備銀行傘下の12の銀行がお札を増刷して供給する。ついでに今行なわれようとしている出口戦略は供給する際の金利を上げ、引き締めようとしている。
ヨーロッパも同じ方向に向かうのではないか。必要なときに各国の発行する国債を買い入れ、資金を供給するシステム、つまりはそれを通じて各国の経済をコントロールする。
しかし個人的にはやはりユーロは売り。なんと言っても大事なのは自国民、利益のぶつかり合いはそう簡単にやむとは思えない。そしてその内紛がユーロの信用度を低くしてゆく。

(追記)29日の日経新聞夕刊に「世界の市場5月大荒れ」の記事。株価指数で見ると今回の危機でドイツが3.1%、英国6.6%、フランスが7.9%下落、しかしこれらに較べると米国やアジアの諸国の株価の下落が目立った。日経平均は11.7%の下落。また為替は円に対してユーロは暴落、ドルはそれほどではないが、新興国通貨が軒並み下落した。風が吹けばどこの桶屋が儲かるのか・・・・世界経済はなかなか難しい。

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