886「行旅死亡人」(8月6日〔金〕晴れ)

各地で100歳以上の高齢者の所在確認が取れなくなっていると、大きな問題になっている。生きているのか死んでいるのか分からない。それでいて年金が支払われていたりする。この問題はもっと大きくなるような気がする。つまり100歳以下だって、そのような人が沢山いるのではないか、と考えるからである。
父は、東京都の職員であった。88歳で亡くなったときに、受給の証拠の書類を発見し、東京都に連絡した。しかしそうしながら「もし連絡しなかったらどうなるのだろう。」と思った。どうも死亡届を区役所に提出しても、雇い主だった東京都に連絡が入っている様子はない。ましてやこれが民間の会社であったらどうなるのか。届けがなければ終身でついている年金は永久に払い続けることになるのか。
同時にこの問題はこのような状態に陥らぬためにはどうしたらいいか、陥ったらどうしたらいいか、遭遇したらどうしたらいいか、などわが身に当てて考えさせる。

たとえば、私のアパートにも、86歳になる一人ものの女性が住んでいる。
アパートに引っ越してきた当時はご亭主と一緒であったが、一昨年に他界された。
「緊急時の連絡先」として、おばさんは山梨で保育所を経営しているという甥をあげた。
しかし万が一の場合、誰が発見するだろう、そして情報を得て大家はどう対応すべきか心を悩ましている。
この問題について、まず甥に連絡するがどうしても対応してもらえぬ場合、どうするか。2チャンネルというサイトの次の書き込みが参考になりそう。無断コピーで申し訳ないが・・・・・
「んー老人の孤独死に遭遇したことあるけど?
いつも元気でお見送りしてくれた婆ちゃんがここの所顔見せないから勝手に玄関入って(幼い頃から顔馴染みだからよく邪魔してた。)横になってTV見てるのかなーって声かけたら、固まってたし嗚呼、死んでるのか…その時は、ぜんぜん悲しいよりも脱力感の方が大きいね。
身寄りのない婆ちゃんだから、警察に連絡して役所の人が勝手に葬儀しちゃったけどね。
・・・・・・・〔役所に〕悲しみをぶつけるのは、仕方ないけどさ。一番大事なのは、ご近所付き合いじゃねぇ?って思うんだよね。役所なんて定期的な日付に巡回訪問してくれるだけでも、婆ちゃんはありがたいって本人も言ってたし、役所の人には「邪魔帰れ!」だけどね。
そう言うわけで、孤独死を防ぐには人との係わり合いは、歳を取っても取って無くても誰かに見とって貰えるようにだけはしておくことだと思う。」

珍しく夕刊フジを買った。電車の中で隣の男が読んでいた記事が気になったからだ。
「不明高齢者どこへ行った?大半が自宅で行き倒れか」そして中段には「死亡届出されず、住民票だけ生存」テロップだけ見れば、中身は推定がつくが抜粋すると
「100歳以上の所在不明者が急造している問題で、自ら失踪した人のほか、自宅で死んでも「身元不明遺体」になり、死亡届が提出されない高齢者が複数存在することが分かった。「自宅などで本人と推測はできても、身寄りがないのでDNA鑑定で本人と断定できない」〔警察関係者〕というのが理由。忽然と消えた高齢者の中には相当数、自宅で「行き倒れ」になった人がおり、住民表上は生き続けている可能性が出てきた。
(葬儀社の話では)「・・・・親族がいなければ役所が火葬許可を出し、遺骨を共同墓地などで管理するという。」遺骨は事実上「無縁仏」に成るわけだが、自治体は「行旅死亡人取扱法」にもとづき、発見時の状況や特徴を官報に公告として掲載して、遺族が名乗り出るのを待つ。・・・・月に数件は自宅での「行旅死亡人」が掲載されている。
・・・・・宗教と日本人の関係を取材してきたジャーナリストの広橋隆氏は「核家族化がすすみ、先祖を祀るといった宗教観が変わってきた。核家族はさらに核分裂し、法律や行政も都市型の高齢化社会に追いつけていない。社会がバラバラになっている」と嘆いている。」

今朝のYAHOOニュース「所在把握の調査方法検討=高齢者不明、関係閣僚が初会合」
「政府は6日夕、全国で高齢者の所在不明が相次いでいる問題に関し、国会内で関係閣僚による初会合を開いた。所在把握のための調査方法に関しては、個人のプライバシー保護も踏まえ慎重に検討する必要があるとの認識で一致した。・・・・・・席上、仙谷由人官房長官が総務、法務、厚生労働、警察の4省庁に協力を要請。千葉景子法相と中井洽国家公安委員長は、遺体で見つかった男性の家族が年金を不正受給した疑いのある事件を踏まえ、問題事例の対策を検討すべきだとの認識を示した。」 当然のことと思う。

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