90「孫娘」(8月15日 晴れ)

午後、長女が孫娘をつれて、次女と一緒に、我が家に預かっている和服の手入れをしにやってきた。

孫娘を見るのはもう1年半振りくらいだろうか。
この4月に小学校にはいり、すっかり落ち着きも出てきたように見える。身長130センチ以上、体重27キロとかいっていた。大きいほうなのだと思う。ずいぶん陽に焼けているから、水泳にもいっているのだろう。ただ歯並びがあまりよくないな。

子供というのは、親の言動を聞いたり、行動を見たりしながら、それを真似、受け入れられるかどうか試しながら成長してゆくのだろうか。

湯上りにシッカロールをつける母親を評して「どうしようもない女だ。」と、生意気に言ってみたり、ふざけて調子に乗るとこちらのシンボルをつかんで驚かせたり・・・。叱らなければいけない、と分かっているのだが、むこうも調子にのったりしてなかなか思うに任せぬ。

いつか長女が言っていた。「私は勉強が出来なくて悔しい思いをしたから、この子はうんとしごいてT大医学部にいれるんだ!」・・・やめとけ、やめとけ、製造元が悪いのに、いくら手を加えても無駄だ。」と助言したが、聞き入れた様子はない。

だからお勉強について親はずいぶん仕込んでいるらしい。

今では孫娘は、両親が宿題として与えた難しい漢字を毎日書いている。九九もすらすらとでてくる。学校の授業では社会が好きだが、理科は実験が苦手だ、といっていた。

しかし、明るく、元気で青白い秀才という風情ではないから安心した。

エネルギーは無限である。

万華鏡で遊んだり、神経衰弱やババ抜きをやらされたり、私の小学校時代の日記を見たり、挙句の果てはオウマサンをしてくれだと・・・。

夕方になって食事に出かけようということになった。

長女は、この際フランス料理を主張。多分余り亭主に食わせてもらっていないらしい。次女は中華料理を主張。彼女はお肉こってりが好きである。ところが孫娘は回転寿司を主張。「また、この次にしましょうね。」と母親が説得しても聞くものではない。

じゃあ、アミダできめようということになった。3本、線を引き、適当に横棒をいれて孫娘に引かせる。ところが、これが見事に回転寿司に当たってしまった。もういくら説得しても「だって、約束したじゃない。」と引っ込まぬ。

適当なところで、私が仲裁に入る。「子供との約束はやっぱり守らなければいけないじゃないか。」そういいながら、財布に思いをはせ、腹の中でにんまりする。

荻窪まで歩いてゆき、少し時間があるのでボーリングをすることにした。母親によると孫娘は好きなのだそうだ。

ボーリングのレーンを子供用にする、というのをはじめて知った。ガーターにならないようにレーンの左右にガードレールをつける。6ポンドのお子様用ボールというのも始めて知った。親指以外に指を入れる穴が4つついている。つまり指を全部突っ込む。

左右の様子をみてこちらがよいというと、孫娘はボールを抱えてレーンそばに走ってゆく。まるでバケツで水を運ぶ風情だ!それからやっとボールを投げ出す。ボールは左右のガードレールにぶつかりながらゆっくりごろごろと進む。ピンが2つか3つゆっくり倒れる。それでもスコアが大人にくらべ少ないのが気になるのか、「どうして倒れるの。」などしつこく聞いてくる。4人だったし、孫娘も疲れる様子なので1ゲームでやめにする。

終わってさあ、回転寿司。

母親に教えられて、板前氏に「かんぴょうまき、さび抜きでいくら・・・・。」など一丁前のことを言っている。にこにこと「へい!」とくそまじめに、しかし愛想良く答えるのが、板前氏の商売のうまいところ。最後には長女にけしかけられて口いっぱい葡萄とメロンをほおばっていた。

終わっていよいよお別れ。「また、おいでね。」と小さな孫娘の頭をなでる。オカッパ頭のちょっと汗臭い感触が指に伝わる。

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